元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

障害年金の「障害認定日」とは?

2015-02-09 06:30:09 | 社会保険労務士
なんで初診日から1年6か月も過ぎないと障害が認定されないのか?1年6か月立たなくても障害が認定される場合も!!

 公的年金の障害年金(国民年金・厚生年金)は、基本的には、障害の原因となった初診日がその保険の被保険者の間に受診したものであって、「障害認定日」において障害の程度が一定の障害の程度であることと、3分の2は保険料を納めていることが条件として満足すれば、認定され支給されることとなっています。

 ここで「障害認定日」とは、何ぞやということになるわけですが、これは初診日から1年6か月を経過した日、あるいはそれまでに治癒しているときは、治癒した日となっています。ここで「治癒」とは、症状が固定化するという表現を使っていますが、これ以上治療を続けてもよくなることが期待できない状態をも含むとされています

 なにかしらの病気・けがで治っても、一定の障害が残った場合に障害による障害年金の支給を行うのですから、1年6か月の間に治った場合はその時点で、治らない時は1年6か月の期間の治療を行い、その時点で障害がどの程度残ったかを見極めようというわけです。

 ところが、これは例外があって、次の場合にはその日が障害認定日とされています。

1、咽頭全摘出の場合は、全摘出した日
2、人工透析治療を行っている場合は、透析を受け始めてから起算して3か月を経過した日
  ただし、この3か月を経過した日が、初診日より1年6か月経過した本来の障害認定日よりも後の場合は、本来の1年6か月経過した日が障害認定日となる。
3、人工骨頭または人工関節を挿入置換した場合は、その挿入置換した日
4、切断又は離断による肢体の障害は、切断日又は離断日
5、心臓ペースメーカー、人工弁、植え込み型除細動器を装着した場合は、装着した日
6、人工肛門、尿路変更術、新膀胱の造設を施術した場合は、造設・手術した日
7、在宅酸素療法を行っている場合は、在宅療法を開始した日(常時使用の場合)
8、心臓移植、人工心臓、補助人工心臓の場合は、移植日又は装着日
9、脳血管障害の場合は、初診日から起算して6か月経過した以後に医学的観点から、それ以上の機能回復がほとんど認められないときに認定される。初診日から起算して6か月までは、症状が固定したとは認められない。
10、神経系の障害で現在の医学では根本的治療法がない症状の場合は、今後の回復は期待できず、初診日より6か月経過した日以後において気管切開下での人工呼吸器使用、胃ろう等の恒久的な措置が行われ、日常の用を弁することができない状態であると認められたとき
11、遷延性植物状態の場合は、障害に至った日から起算して3か月を経過した日以後に、医学的観点から、機能回復がほとんど認められないと認めたときに認定される。

  
 これらのほとんどは、一般的に普及している医学の段階で、手術等を行った場合は、その時点で、施術等も終わり、できるだけのこともして、これ以上治療の効果が望めないなどのケースを具体的に取り上げたものと理解できます。だから、1年6か月を待たないというわけでもないというわけです。

 ここで、透析については、開始後3か月となっていますが、その時点で安定できると考えられるからでしょう。脳血管障害の場合も、倒れる等してから6か月で落ち着き安定するといわれていますが、逆にいえば、6か月の間に治療を集中的行うべきだといわれています。いずれにしても、こういった具体的な場合は、治療の効果が期待できないと考えられときに、障害認定日とするということでしょう。

 なお、在宅酸素療法とは、自宅や外出先でポータブル式の酸素ボンベで酸素を補う、日常生活に復帰できるような自宅療法の事ですから、その開始時点での障害が認定できます。<以上、最後の3段の文章は、元病院医事係の経験を踏まえて>
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年休の労働者の請求する「時季」とは、長期休暇のことなの?!

2015-02-02 05:38:15 | 社会保険労務士
年休取得は原則1日単位でしたが、そのうち時間も認めることに・・・その理由とは。

 普通に年休といっていますが、年次有給休暇は、使用者に請求すれば、その時点で年休の権利が発生することになっています。(ただし、その日に休む人が多くいて、どうにもならない場合など「事業の正常な運営を妨げる場合」は、使用者はこの休みの日を別の日の変更することができますが・・・。)

 この労働者の「請求」を「時季」指定権といっていますが、「時期」ではなくて、あまり見なれない時季という字が使われています。この文書を書いている最中に、試しにこの辞書で調べてみると、ありましたありました、「季節、シーズン」のこと、「行楽の時季、時季外れ」というふうに使うとのこと。私あまり国語に詳しくないんで、あるんですね、区別して使う意味があるんですね。

 そこでもう一度法律を見てみると「使用者は、・・・有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない」となっています。(労働基準法39条4項)。時季とは「シーズンを加えた時季」であり、要するに時間と季節を合せた概念です。法律はあえてそのような文言を採用しています・・とあります。(ビジネスガイド’15・1月号P94)、私が労働基準法を勉強していた初めのころ、これは季節を踏まえた長期休暇の意味であるというような記述を読んだのを覚えています。年休の取得状況は、労働者が自ら取得した日数は8.6日で取得率47.1%となっていて、非常に低いのです。(平成25年就労条件総合調査) 私も昔宮仕えの身分でしたので、職場環境が許されざる環境にあることは十分認識しています。自分自身上司の立場にあるときは、長期休暇を取る部下をうらましながら、半分いやみを言っていましたので・・・。

 法律が初めはそのような長期休暇をとるような文言を採用した証左としては、有給休暇は私が勤めていたころは、取得する際は、一日単位が原則で、その理由として、一日単位でないと体が休めないからということでした。一日単位に区切ってしか認めず、本当のところはもっと大きな単位の長期休暇をとってほしいという労働省の方針があったのでしょう。それがなぜか半日、さらに時間単位の休暇が認められるようになったのは、なかなか取得率があがらなかったという原因があるからでしょう。

 労働省のキャンペーン・ポスターを見かけましたが、北極にオーロラを見に行く場面が描かれており、「自分休暇が必要です」と書かれ、長期休暇(ただし、厚労省は「年始年末休暇を連続休暇にスイッチ」のように連続休暇という用語を使用しています。)の必要性をうたっていました。まだまだブラック企業という言葉がなくならない限りは現状では困難でしょうが、厚生労働省の呼びかけがそこを一歩進める手がかりにしていただければありがたいですね。
 
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