元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

自己都合退職の申出期間は、1か月、2か月、14日前?

2012-09-22 20:13:17 | 社会保険労務士
 年休消化をするケースでは、1か月でも引継期間がなくなってしまいます!!


 全国社会保険労務士会連合会編の「中小企業における職場トラブルの防止」(パンフレット)において、リスクある就業規則として、「従業員が自己都合で退職する場合、少なくとも1か月前までに退職願いを提出しなければならない」というのが挙がっています。
 

 これがなんでトラブルを生じるのか?、年繰り越しの年休の権利を持っている従業員は、最大で40日の年休処理ができる者がいることになります。となると、30日前(あるいは1か月、ここでは30日に統一して表現します)に届け出をして、そのまま年休を行使して事務引継ぎをしない者もいるようです。
 

 就業規則の書き方としては、30日でも長いのではないかと考えられるところです。民法では、退職の申し出を行い、2週間経過すれば契約は解除されるとされているからです。(民法627条、月給者の場合は、さらに1・2か月の長いスパンでの期間が必要とされているところですが・・・)、そこであくまでも、就業規則に書く30日は、お互いの労使のルール、お互い納得して30日前に提出しましょうというこになります。ですから、確かに、インターネットで主張されているように、労働者側としては、2週間前に退職願いを出せば、退職はできるというのは当たっています。しかし、労使が納得して30日前までに出すというルール=就業規則ということであれば、だれも文句は言えないはずです。

 30日でも長いとすれば、全期間年休処理をしてしまい、引き継ぎの事務処理もできないことになった場合のトラブルをなくすためにはどうしたらいいのか?

 北村庄吾・桑原和弘氏は次のような、就業規則を紹介しています。(「就業規則ここが問題です」実務教育出版)

 第●条(自己都合退職)
 1 退職を希望する場合は、予め退職希望日の2か月前までに、退職する意思のあることを所属長に通知しなければならない。
 2 前項の通知の後、退職希望日の30日前までに、退職の理由を付した退職届を所属長を経て会社に提出した場合は、原則として退職届を  承諾する。
 3 第2項の退職届の提出が退職希望日の30日を過ぎた場合であっても、事情によりその退職届を承諾する場合がある。
 4 自己都合退職を希望する社員は、以下の規定を遵守しなければならない。
  (1)退職の日までの間に従前の職務について後任者への引継ぎを完了するため、退職日よりさかのぼって2週間は現実に就労しなければ    ならない。
  (2)退職の日までは、会社から業務上等の指示がある場合は、その指示に従わなければならない。
 5 自己都合退職を希望する社員が第4項の規定に違反した場合は、退職金の全部または一部を支給しないことがある。

 ここで、一般のモデル条文と違うのは、2か月間の「退職予告期間」を設けていることです。さらには、民法上の規定(2週間)からの対応として、3項が用意されています。
 当然のこと、引き継ぎ期間条項は必要です。(4項)、ここでは、2週間とされています。
 5項は、引き継ぎをしない者への罰としての「退職金の減額」ですが、退職金制度のない場合は、「懲戒処分」の規定を入れる方法がありますが、辞めるというのに、いまさら懲戒といっても、効果は薄いかも知れません。



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看護婦の深夜勤務手当は、時間外手当計算基礎に含めるの!?

2012-09-17 05:15:09 | 社会保険労務士
時間外手当計算基礎に含めるのは、「通常の労働」に対する支払額

 勤めていた○○県立●●病院では、3交代制を取っていました。では、深夜の12時ごろから勤務する者については、深夜勤務手当が出ていました。この深夜勤務手当は、労働基準法でいう割増賃金の計算基礎に入ってくるのでしょうか。例えば、基本月給32万円+深夜手当3万2千円=35万2千円の者がいた場合に、この人の1か月の平均の所定労働時間が160時間とした場合には、深夜勤務手当を除いた、32万円÷160時間=2000円が時間当たりの賃金となり、2000円×1.25(深夜は2割5分増し)=2500円(割増賃金時間単価)が一時間に支払う額になるのか、それと深夜手当を含めた35万2千円÷160時間=2200円(時間単価)の2割5分増しの2750円(割増賃金時間単価)となるのかということである。

 
 割増賃金の基礎となる賃金には含めないものとして、次のようなものは算入しないとして、これ以外のものについては、一般的には算入するものとして考えられています。(法37条4項、則21条)
 1、家族手当 2、通勤手当 3、別居手当 4、子女教育手当 5、住宅手当 6、臨時に支払われた賃金 7、1か月超の期間ごとに支払われる賃金(賞与等) 

 
 深夜勤務手当はこれのどれにも入っていません。では、計算基礎に含めなければならないのでしょうか。

 大前提として、この計算基礎の労働時間とは、「通常の労働時間」(法37条)としていますが、この通常の労働時間とは、「深夜でない所定労働時間に行われた場合」とされていますので、昼間の働いた場合の賃金で計算すればよく、深夜勤務手当は、計算基礎に含めなくてもよいことになります。割増賃金の時間当たりの単価は、2500円でよいのです。(昭和41.4.2基収1262号)




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「パパ休暇」とは?(育児休業法)

2012-09-10 04:39:29 | 社会保険労務士
 パパ休暇は、育児休暇の一部ですが、なぜパパ休暇なのでしょう。

 
  「パパ休暇」と呼ばれる休暇があります。原則1歳までの子供の育児に利用する、申し出た連続した休暇のことを育児休業法の「育児休暇」といいますが、パパ休暇は、本来はこの「育児休暇」に含まれるものです。出産後8週間以内に、父親が取る育児休暇のことを、この「パパ休暇」と特に呼んでいます。

 育児休暇は、イクメンという言葉があるように、男女の区別なく取れるものですが、女性の場合は、産後8週間は、労働基準法で母性の保護のために労働が禁止された「産後休暇」が取れますので、一般には、男性が産後8週間に取る「育児休暇」のことをパパ休暇と呼んでいるのです。

 結局のところ、産後の8週間は、母親は労働基準法の「産後休暇」で、父親は、申し出れば「パパ休暇」が同時に取ることができ、産後の忙しい時期、母親としても育児にそして大事な自分の体をいたわる時期に、夫婦で休暇を取ることができることになります。

 「パパ休暇」は、育児休暇に含まれるといいましたが、一般的には子供一人に、一回の連続した育児休暇しか取れないことになっており、パパ休暇を取ればこれも育児休暇になってしまい、その後は、子供が1歳までの間であろうと、パパは育児休暇はもう取れないことになってしまいますが、このパパ休暇の場合は、特に一回としてカウントとしなくてもよいことになっていますので、8週間内の短期のパパ休暇と本来の長期も可能な育児休暇が取れることになります。

 ところで、この「パパ休暇」は「出産日から起算して8週間を経過する日の翌日まで」とされています。この翌日までとは、中途半端なとお思いでしょうが、一方で産後休暇の方は、出産日の(翌日から起算して)8週間となっており、出産日当日は起算日には含まれずに翌日から起算することになっていますので、1日後ろにずれています。したがって、この産後休暇に合せて、パパ休暇の方は、出産日から起算して8週間を経過する日の翌日となっているのです。パパの「パパ休暇」もママの「産後休暇」も期間の終日は同じ日に合わせてあると考えられます。

 ところで、産後休暇は、出産日当日は、含まれていませんが、この当日の休暇はどうなるのでしょう。同じ労働基準法の産前休暇に、この出産日当日は、含まれています。この産前休暇の方に入るからです。労働基準法では、産前6週間は、請求すれば、出産日当日を含めた産前休暇が取れるからです。




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予防接種・健康診断にも使える「子の看護休暇」!!

2012-09-03 05:34:52 | 社会保険労務士
 就業規則が改正されていない場合は?

 
 退職する前の職場では、女性が多く「子の看護休暇」というのをよく利用されていました。だからといって、子の看護休暇は女性の親に限って認められたものではなく、子供が病気にときには、男女を問わず看護休暇を取れるものですが、実態として、まだまだ子供が病気の時に寄り添うのは母親の方が多いということなのでしょう。

 
 これは、育児・介護休業法の中で、「子の看護休暇」として設けられています。小学校入学までの子供を持つ両親で、子の病気・けがの世話等のために、事業主に申し出ることにより、1年度に5日まで看護休暇を利用できるというものです。

 
 さらに、22年6月から、次のとおり改正になっています。
 (1)小学校入学前の子供が、2人以上いる場合は、10日まで認められています。
 (2)病気・けがの世話だけでなく、予防接種や健康診断の受診にも認められるようになっています。
 2人以上の子供の場合は、10日までも認められるというだけでなく、理由が病気等だけでなく、予防注射や健康診断の「予防」のための措置にも認められるようになったということです。

 
 ところで、就業規則には、旧態依然として、「5日」とか「病気・けが」しか書かれていなかった場合は、どうなるのでしょう。これは、法律で認められているのものであり、就業規則にはどう書かれていようとも、従業員は法律どおりの申し出を行えば認められるものです。

 
 ただし、従業員には、就業規則によって周知するところもありますので、トラブルを防ぐためにも、法律に合わせて、会社の就業規則も改正しておいた方がよさそうです。


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