経営上突然の雇止めが必要でなければ、トラブル防止からは一呼吸置くことも必要か
有期労働契約(雇用期間の定めのある労働契約のこと、これに比して定めのない場合は一般的には定年まで勤められる契約である。)についても、期間の更新をまんぜんと続けていると、突然雇止め(労働期間が満了により雇わないこと)にしたときには、雇止めの有効性が問われトラブルとなる可能性がある。
「労働契約法第19条は、(1)有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合(第1号)、又は(2)労働者が有期労働契約の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合(第2号)に、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められないものである。
したがって、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新又は締結の申し込みを承諾したものとみなされ、有期労働契約が同一の労働条件(契約期間を含む。)で成立することとしたものであること」(通達)となっています。
これは、労働契約法の24年の改正規定ですが、実は、すでに判例の積み重ねにより一般化された内容であり、単にこれを条文化し、立法化して、より明確化した形で有期労働者の保護を図ろうとするものです。<雇止め法理の明文化> というのも、新しい条文は、一般的にはしばらく公布期間を置き周知してから、施行するのが普通なのですが、この条文は、すでに判例によりその内容が認められているため、平成24年の公布日が即施行日となっています。
さて、先に漫然と契約更新をしている場合と書きましたが、長期にわたって反復継続されて、更新がなされてきた契約や、はてまた従前の更新手続きが不明確で、事実上期間の定めのない状態になっている場合などには、この規定により、契約更新がなされたと考えられる場合があります。こういった場合の雇止めについては、経営上緊急に行わなければならないでなければ、「猶予期間」を置き一呼吸することが、労働者にとっても突然の雇止めではなく次のような「緩和措置」を設けることにより、労使のトラブルを防ぐことになります。
すなわち、「今回の更新をもって最後とし、次期更新はしない」あるいは「×月×日の期間満了をもって本契約は終了する」といった条項を、今回更新する契約の中に入れ込んで、次回の契約はしないことをうたうのです。契約ですから、お互いの自由な意思で行われた合意であれば、有効であると考えられます。そのような同意がなされた場合には、「合意契約による期間満了の契約の終了」となり「雇止め」には該当しませんので、問題はありません。(全国社会保険協会連合会事件平成13大阪高裁決定など多数)
しかしながら、注意しなければならないのは、労働契約法の19条2号において、すでに労働者に更新の合理的期待が生じていると認められる場合であれば、契約更新とみなされる点です。次回の更新をしない旨の条項を入れるのであれば、その旨を労働者に説明を十分に行い、真に理解を得ていなければ、なりません。というのも、労働者が納得して次回の更新はしないという「更新の合理的期待を放棄した」といえることが必要だからです。(近畿コカコーラ事件・大阪地裁H17.1.13判決)、さらに「お互いの自由な意思で行われた合意」であればとサラリと言いましたが、使用者側から提案するこの更新契約にあっては、あくまでも強制にならない自由な意思での合意が必要ということです。
なお、有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合に当該労働者が無期労働契約の申し込みをしたときは、使用者はその申しこみを承諾したものとみなすという規定も(改正契約法18条)ありますので、改正が適用になる平成25年4月1日以降の有期労働契約から起算して5年の期間が経過したものにあっては、無期労働契約になることも考えますので、これについても留意が必要です。
参考;雇用法改正 日本経済新聞出版 安西愈著
有期労働契約(雇用期間の定めのある労働契約のこと、これに比して定めのない場合は一般的には定年まで勤められる契約である。)についても、期間の更新をまんぜんと続けていると、突然雇止め(労働期間が満了により雇わないこと)にしたときには、雇止めの有効性が問われトラブルとなる可能性がある。
「労働契約法第19条は、(1)有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合(第1号)、又は(2)労働者が有期労働契約の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由が認められる場合(第2号)に、使用者が雇止めをすることが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、雇止めは認められないものである。
したがって、使用者は、従前の有期労働契約と同一の労働条件で労働者による有期労働契約の更新又は締結の申し込みを承諾したものとみなされ、有期労働契約が同一の労働条件(契約期間を含む。)で成立することとしたものであること」(通達)となっています。
これは、労働契約法の24年の改正規定ですが、実は、すでに判例の積み重ねにより一般化された内容であり、単にこれを条文化し、立法化して、より明確化した形で有期労働者の保護を図ろうとするものです。<雇止め法理の明文化> というのも、新しい条文は、一般的にはしばらく公布期間を置き周知してから、施行するのが普通なのですが、この条文は、すでに判例によりその内容が認められているため、平成24年の公布日が即施行日となっています。
さて、先に漫然と契約更新をしている場合と書きましたが、長期にわたって反復継続されて、更新がなされてきた契約や、はてまた従前の更新手続きが不明確で、事実上期間の定めのない状態になっている場合などには、この規定により、契約更新がなされたと考えられる場合があります。こういった場合の雇止めについては、経営上緊急に行わなければならないでなければ、「猶予期間」を置き一呼吸することが、労働者にとっても突然の雇止めではなく次のような「緩和措置」を設けることにより、労使のトラブルを防ぐことになります。
すなわち、「今回の更新をもって最後とし、次期更新はしない」あるいは「×月×日の期間満了をもって本契約は終了する」といった条項を、今回更新する契約の中に入れ込んで、次回の契約はしないことをうたうのです。契約ですから、お互いの自由な意思で行われた合意であれば、有効であると考えられます。そのような同意がなされた場合には、「合意契約による期間満了の契約の終了」となり「雇止め」には該当しませんので、問題はありません。(全国社会保険協会連合会事件平成13大阪高裁決定など多数)
しかしながら、注意しなければならないのは、労働契約法の19条2号において、すでに労働者に更新の合理的期待が生じていると認められる場合であれば、契約更新とみなされる点です。次回の更新をしない旨の条項を入れるのであれば、その旨を労働者に説明を十分に行い、真に理解を得ていなければ、なりません。というのも、労働者が納得して次回の更新はしないという「更新の合理的期待を放棄した」といえることが必要だからです。(近畿コカコーラ事件・大阪地裁H17.1.13判決)、さらに「お互いの自由な意思で行われた合意」であればとサラリと言いましたが、使用者側から提案するこの更新契約にあっては、あくまでも強制にならない自由な意思での合意が必要ということです。
なお、有期労働契約の通算契約期間が5年を超える場合に当該労働者が無期労働契約の申し込みをしたときは、使用者はその申しこみを承諾したものとみなすという規定も(改正契約法18条)ありますので、改正が適用になる平成25年4月1日以降の有期労働契約から起算して5年の期間が経過したものにあっては、無期労働契約になることも考えますので、これについても留意が必要です。
参考;雇用法改正 日本経済新聞出版 安西愈著