元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

士業は何のために話をするのか!?

2011-11-30 07:40:47 | 社会保険労務士
 自分を受け入れてもらうために話をする!!

 社会保険や労働保険さらに労働基準法について、30時間の講義を行って参りました。今まで同じ組織の中での講義や消費者に対する啓発的なゼミナール等の経験はしてきましたが、それぞれ今まで別々の経験を持つ者の集まりという方が対象者でしたので、始めは本当にとまどいました。試行錯誤の連続でした。これを経験に、さらに講師としての技量に磨きをかけていきたいと考えています。
 
 ところで、講師をやる前に、買っていた本ですが、講師をやっているうちは、講義の内容をどのように教えるのかに集中してしまいまして、今やっと読んでいるところですが、早く読んでおくのだったと反省しております。
 
 「坪田まりこの士業のためのセミナー講師養成講座」です。まだ読みかけですが、最初から、考えもしなかった質問が投げかけられます。もちろん、題名のように、士業(社会保険労務士)をされている方でよりよき講師になろうとしている方へ向かっての質問です。これに対して、2・3回答が書いてありますが、その中で私の答えのように「自分の考えを相手に伝えるため」というのもよくあるとのことである。

 答えは、「自分を受け入れてもらうために話をする」である。ああなるほど、そうか、確かに的を得た答えであるが、なかなか思いつかない答えであった。そこに話の起点をおいて、坪田まりこ氏は話を始めるのである。士業の方は、確かに何かを伝えたくて話をすることが多いのであるが、同氏の言うように、まず受け入れなければ、話を聞いてはもらえないのである。一本取られたような気がした。

 次に、プレゼンテーション能力を高めるポイントとしては、「誰が」(人間的魅力)、「どのように」(話し方・伝え方)、「何を」(話の内容・構成)の3点があるが、この中でどれが重要かと問われます。これまた、一般的な答えとしては、1「どのように」2「何を」3「誰が」であるとのことである。国立大や理工系の学生、医者、実務家の士業では、1「何を」2「どのように」3「誰が」の順になるとのことである。これもなにか分かるような気はするのだが、正解は1「誰が」2「どのように」3「何を」の順番であるという。

 以下次のように述べていられる。士業の場合は実務家であるから、「何を」こそが一番のポイントになるとお考えの方も多いはず、しかし、聞き手を前にして話をする場合は、話の内容よりも見えるもの・感じるものがあり、それが「表情・姿、話し方・声の感じ」などであり、聞き手はこれらのものから、講師の人間性を感じてしまうものであるという。だから、多くの人が軽視している「誰が」(人間的魅力)が、実はプレゼンテーション能力のもっとも重要なことであるとしている。

 そこで、表情から笑顔の作り方、口元、お辞儀、身だしなみ等について述べているところであるが、答えを聞いてみると当たり前のことであるが、本当に気づかないことを指摘していただいた気がする。ここからスタートしない限り、いくら内容が良くても伝わらないと考えます。はっとさせられた思いです。

 これは、士業に限らず、何かを伝えようとするプレゼンテーション全体に対する心構えなのではないかと思った次第ですが、いかがですか。



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試用期間はどれくらいの期間が適当なのでしょうか!?(就業規則の掲載事項)

2011-11-23 04:03:26 | 社会保険労務士

就業規則で、試用期間の延長制度を設ける!!

 地方公務員では、企業での試用期間に当たるものとして、条件付き採用期間というのがあります。これは、期間が6か月となっています。その期間、その職務を良好な成績で遂行したときに正式採用になるものとされています。公務員であれば、法律で定まっているので、簡単には「条件付き採用期間」は変更できませんが、企業であれば、この試用期間について、不利益変更の問題はありますが、就業規則等で期間の変更は可能でしょう。

 では、試用期間はどれくらいの期間が妥当なのでしょうか。これには法的な規制があるのでしょうか。特に規制はありませんし、制度を設けることも自由です。一般企業では、3か月から6か月が多いといわれています。しかし、あまりにも長くなると、従業員としての地位が不安定な期間になるため、労働者に不当な不利益を強いることになり、公序良俗に違反し無効となると考えられます。

 改正前の労働基準法が、労働契約の期間は1年を超えてはならないとしていたことから、試用期間も最高で1年と解すべきであるとされていたとしている解釈があります。1年は長すぎるのではないということになるが、一年が長すぎるから無効だということには、判例を見る限り、ないとのことです。(昭45.7.10大阪高裁。大阪読売新聞社事件、採用から退職までの意法律知識ー安西愈著)、これに対し、見習い期間2か月とその後の試用期間1年がある事案で、無効としたものがあります。(ブラザー工業事件、名古屋地判昭59.3.23、就業規則モデル条文ー中山慈夫著)これは、中途採用者を原則2か月の見習期間とし、入社時から6か月を経過した後に3か月ごとに行われる試用社員登用試験に3回以内に合格した者を試用社員に登用し、試用社員は6か月後から3か月ごとに行われる社員登用試験に3回以内に合格すれば社員に登用され、さもなくば解雇という制度でした。(労働紛争解決実務講義、河本毅著)これは、誠に、長きにおいて社員を不安定な立場に置き、労働者にとって過酷なものを強いると言うべきでしょう。

 総じて、裁判例からいうと、1年までは認められるようであるが、結局のところ、その内容等が影響するものと思われ、1年経過してはじめて1サイクルというような、また業務内容が季節において変動するような合理的な理由があれば、1年の試用期間も認められるものとすべきでしょう。(リスク回避型就業規則作成マニュアル森・岩崎共著を参考) 例えば、学校教員のような場合は、1年単位でカリキュラムが組まれるため、適格性評価期間として合理性があるとしています。(就業規則モデル条文、中山慈夫著)

 さて、法律論はさておき、実際のところ、どれくらいの期間が適当なのだろうか。使用者側にとっては、長ければ長いほどその適性や能力を見抜けることになるが、漫然と長くあっても、見抜けなければ、意味はないものであるし、労働者側にとっては、地位の確保からいって、短ければ短いに越したことはないことになる。

 私の経験から申せば、業種や業務内容にもよるが、知識・能力・態度等の適性については、3か月では判断するのが難しい事例も発生しそうであるし、6か月ほどあれば、ある程度の判断は可能と思われるところである。また、持病との病気を隠していた場合はどうだろうか。腰痛があった場合に、3か月は隠し通せるが、病状にもよるが、6か月も隠しながら作業や勤務に就くには無理であろう。

 では、精神的な面で堪え得るかは、精神的に追い込まれる状況を作らない限り、確かめようがないが、その場面を作ることは、人権から考えて難しいであろうし、また、6か月で日常の通常の業務を行っている限りは難しいであろう。しかし、これは1年を試用期間としても、そういった状況が来ない限り、判断は難しいであろう。

 考えるに、精神面は別にして妥当な線は、6か月前後と思われる。そして、何らかの不安材料が見つかり判断に迷った場合には、試用期間の延長を、就業規則に記載することによって、その判断を確実にすることができると思われます。

<就業規則の期間延長規定の例>

「従業員としての適格性判定のために必要と認めた場合は、3か月を限度として試用期間を延長することがある」(就業規則モデル条文 中山慈夫著)
 「前項の試用期間は、事情により短縮し、もしくは入社の日から1年を超えない限りで1回に限り延長することがある。なお、延長する場合は、2週間前までに本人に通知する。」(「就業規則」ここが問題です 北村・桑原著)
 
 
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就業規則の周知をしない場合のデメリットについて!!

2011-11-16 04:25:55 | 社会保険労務士
 

就業規則周知がなければ、懲戒処分もできないことになります!!

、委託の職業訓練の手伝いをさせてもらっており、「人事労務の基礎知識」という講座の講師をしています。その中で、就業規則を見た方がありますかと聞いたら、あまり手が上がらなっかったところです。それが本当とするならば、彼らの勤めていた会社では、労働基準法第106条の就業規則の周知をしていないことになります。この場合の周知方法も規定されていて、1、常時の作業場の掲示、2、書面の労働者への交付、3、パソコン等の磁気媒体での常時確認できる機械の設置の方法によるとなっています。これは、やかましいことを言うならば、法令違反ということになり、30万円以下の罰則となります。
 
 と言うよりは、むしろ周知しないことからくるデメリットが大きいのではないかと思われます。「就業規則が法的規範としての性質を有するものとして、拘束力を生じるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要するというべきである。」(フジ興産事件・最2小平15.10.10)とされ、法的規範としての就業規則といえるためには、まずもって従業員がこれを知る得る状態にあることが必要であり、実質的な周知が必要であるとされています。ということは、こういった周知の状態にない限り、就業規則の拘束力は生じていないところであり、就業規則に懲戒の規定があって、当該規定に基づいて従業員を辞めさせようといっても、出来ないことになります。
 
 また、「労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を周知させていた場合には、労働契約はその就業規則で定める労働条件による。」(労働契約法第7条)とされていますが、これも周知していない限りは、就業規則は、労働契約の意味をなさないことになります。日本の一般的な労働契約は、「労働します、賃金の支払い」の合意だけですませる場合が多いので、詳細な労働契約が必要になりますが、周知がない限り、代わるべき労働契約としての就業規則もないことになります。

 さらに、「労働者と合意できなかった場合であっても、就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合については、変更後の就業規則を労働者に周知させたうえで、就業規則の変更が一定の事情に照らして、合理的なものであるときは、その変更後の就業規則による。」(労働契約法10条)とされていますので、これまた、就業規則を不利益に変更する場合については、必ず労働者への周知が必須の要件とされています。会社が利益の改善等の図るためには、どうしても労働者の労働条件の不利益な変更に持っていかざるを得ない場面も出てくると思うのですが、いかがでしょうか。。

 総じて、労働者を統制していくうえで必要な就業規則に関するものとして、いずれも労働者への周知が必ず必要とされるものということができます。懲戒処分であれ、詳細な労働契約を必要とした場合であれ、労働条件の不利益変更であれ、必ず労働者への周知は必要べからざるものなのです。そうでなければ、労働者への統制は不可能になるのです。

 これらのデメリットを考えたとき、周知徹底はやはり必要なのではと考えますが、いかがでしょうか。

*労働契約法での周知については、労働基準法による周知とは違って、一定の定められた方法は必要とされていません。


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黙示の残業命令について

2011-11-09 04:56:01 | 社会保険労務士
 

県社労士会の「必須研修会」の中から(第3回)

 今回は、短く参ります。県労働基準局の専門監督官の話から、強調されたことがありますので、付け加えておきます。残業は命令しない限り、残業したとは認められないということです。したがって、残業手当も支払わなくってよいことになります。ただし、やっかいなのは、言われているように、「黙示の命令」と認められる場合です。典型的なのは、残業しなければできないような仕事を依頼するような場合です。
 
 そこで、監督官がおっしゃるのは、普段から、残業せずに早く帰れと口を酸っぱくして言うことだということだそうです。そういえば、私も努めていた頃、早く資料を作ってもらいたくて、居残りするようなことが目に見えているのに、見て見ぬふりで帰ったこともありました。これって、完全に黙示の命令か、それに近いですよね。

考えてみると、経験から申し上げると、日本文化の特徴ともいえる、「あ・うん」の呼吸がいきているような気がします。こわいですよね。部下と上司がうまくいっている時の方が、このあうんの呼吸がありますからね。言葉に出してなくても、残業しろということになります。出来れば残業してほしい場合、どっちつかずの場合にも、使いますしね。逆に、関係がうまくいってない時は、「それは、課長、残業しろということですか」ということになりますので、黙示は使えず、言葉に出した命令になります。
 
 この黙示の残業命令については、前にも書きましたが、慢性的に残業をしているような職場の場合は、それを管理監督者が何も言わずに、そのまま帰ることは、これも完全に黙示の命令をしていると考えられるでしょう。



   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####井
 
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採用にあたって誰を雇用するかは自由!!

2011-11-04 04:15:21 | 社会保険労務士

労働基準法3条の労働条件には、「採用」は含まれない。

 従業員採用にあたっては、誰を雇うかは、原則として会社の自由です。これは、憲法に直接の規定があるわけではありませんが、22条(職業選択の自由)や29条(財産権の保障)等の解釈として、「営業の自由」として保障されているところです。

 労働基準法3条は、信条を理由として、労働条件について差別的取り扱いをしてはならないとされていますが、これは「雇い入れ後における労働条件の制限であって、雇い入れそのものを制約する規定ではない」(昭48.12.12三菱樹脂事件)とされています。

 そこで、だれを雇うかは、面接等を行うなどを行って、会社の自由な基準で採用することができます。どっかの会社のように、「ついてる人」を採用することだって、もちろんあり得ます。
 
 ただ、次の法律には留意しなければなりません
1 男女雇用機会均等法
 性別を理由とした募集・採用差別を禁止。採用・募集の際、ウェイトレス、カメラマンなど性別を表すことばだけでなく、身長・体重・体力要件をつけること、いわゆる総合職の募集・採用にあたり転居を伴う転勤要件を付けること等を禁止
2 雇用対策法
 募集採用について、年齢にかかわりなく雇用の機会を求める。
3 労働組合法
 労働組合から脱退することを雇用条件とすること、又は労働組合に加入しないことを条件に採用することなどを禁止。
4 障害者雇用促進法
 事業主に対して一定比率以上の障害者雇用を義務付ける。

 以上ですが、注意すべきは、いずれも、採用・募集の際に平等の機会を与えるというということであって、職歴・能力などの面から採用した結果が、男性ばっかりだったりすることだって、ありうるわけです。雇用の「機会の平等」さえ守れば、違反はしないことになります。ただ障害者雇用促進法にあっては、一定率の障害者を義務づけており、守らなければそれだけのデメリットがあるということで、誰を雇うかは自由とはいえ、一定のしばりがあることには違いありません。そこで、思うところ、障害者率を満足しない自治体で良くとられている方法としては、「障害者枠」を設けて採用するという方法もとられていましたね。
  
 <参考> ビジネスガイド2011.11 採用・内定・試用期間をめぐるグレーゾーンQ&A 向井蘭 著


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   #####<いつも読んでいただきありがとうございます。>####井
 
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