元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

障害年金の初診日の証明とカルテの保存の長期化について

2014-06-29 04:24:59 | 社会保険労務士
初診日の証明は、病気が長期にわたって進行する場合は、カルテの保存がされてなく困難。

障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
 1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
 2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
 3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
 なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことで、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日といいます。

 障害年金で<この本*>の著者が、残念に思うことの一つとして、1の初診日を証明できない結果障害年金を受給できずに、泣いた人が多くいると言っています。その例として、幼少のころにてんかん発作を起こし、家庭の事情や本人の都合で転院を繰り返し、治療は継続して行ってきたにもかかわらず、だんだんと重症になっていったという例。最近になって日常生活にも支障をきたし、働き続けることが出来なくなってきたので、障害年金を受け取ることを考えるようになったとのこと。しかし、初診日の証明は、30年前にさかのばなければならず、簡単にはできません。

 また、糖尿病の場合、初めはなんら体のどこも異常はないので、ほおっておく方が多いのですが、透析しなければならなくなって、いざ障害年金を受給することを考えときに、糖尿病での初診日を証明しなければならず、何十年前もさかのばなければなりません。

 カルテの保存期間は、医師法により5年です。5年を過ぎれば廃棄されても法的には問題ありません。最後に受診してから5年ですので、ずっとその病院にかかっていれば、初めの受診からその病院に保存され続けますので問題はないのですが、一生もの間、同じ病院にかかるという人は、そう多くはないでしょう。その人の会社の転勤がありますし、子供の頃ですと親の会社の都合で、引っ越すこともあります。転勤でなく、いろいろなことで実家にもどなければならないこともあるでしょう。そんな家庭の事情等で転院をしなければならないことになってきます。

 そうなるとカルテが残されてなく、初診日の証明ができなくなります。最初の例に挙げたてんかん発作のカルテについても、最初にかかった病院でのカルテの保存はなかったとのこと、そこで今まで通院した病院すべてにあたった結果、20年前、20歳を過ぎて通院していて、そのカルテには「○歳の時に発作を起こし、継続的に通院治療を行っている」と書かれていました。しかしこれだけでは初診日の証明にはなりません。そこで、現在厚労省で認めている「初診日に対する第三者の申立書」という書類について、学校の先生、友人などに何歳の何月ごろに発作を起こした旨を記憶のある限り、記入していただいたとのこと。しかし、結果は「初診日が確認できないため不支給」であり、さらに審査請求しても棄却文には「初診年月日、医療機関名、医療機関所在地、診療担当科名などを明らかにする書類としては困難」というものであったという。

 その場でけがをした時の後遺症であれば、申請はすぐにするでしょうから問題にならないでしょうが、徐々に進行する病気にあっては、いつが初診日であったかの証明ができずに、障害年金の受給が出来なかった例が多くあげられています。確かに、最初に挙げた支給基準の3要件の1において、初診日が証明できなければ、2の保険料納付要件も満たしているかも分からず、3の障害認定日も特定できないことになり、初診日の証明は全ての要件の基礎的データといってもいいと思いますが、なんとかならないのでしょうか。著者が訴えるのは、カルテの法的保存期間の長期化です。今の医師法では5年になっていますが、もっと長くならないのかということですが、医師法では、一般的な病気を考え診療のための保存する期間と病院の保存の負担(紙で保存する場所的な問題等)を考え5年となっているものと思われます。しかし、病院によっては不法行為によって訴えられたときのことを考え、その時効の20年を保存期間とするところもあると聞いておりますので、長期保存は不可能ではないと思われます。

 一般的には現在のところ、法的には難しいでしょうが、これだけデジタルの技術が進んで来て、カルテの電算化もなされてきたので、近い将来、長期保存は不可能ではないと思われます。現在でも、病院の指針として、患者本位の病院のために、不法行為等云々だけでなく、カルテの保管庫の容量等の問題がなければ、カルテ保存の長期化の検討をお願いしたいものです。

 *本;参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修

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障害年金という最強の社会保障<誤解の多い障害年金、その2>(第5回)

2014-06-23 04:28:11 | 社会保険労務士
誤解の多い障害年金~「働いても障害年金は受けられる」!!

前回同様、障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
 1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
 2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
 3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
 なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことを、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日としています。

 この本*の中で、誤解の多い障害年金として、「働いても障害年金は受給出来る」ことが紹介してあります。必ずしも働いているからと言って、障害年金を受給できないことではないということです。
 そこで、最初の回に申し上げたこの1級・2級・3級の障害の程度を再度申し上げます。

 1級 身の周りの事はかろうじてできるが、それ以上の活動はできない状態。活動範囲は、室内に限定。
 2級 家庭内の軽食つくりや下着の洗濯など極めて温和な活動は可能だが、それ以上の活動はできない状態。労働により収入を得ることは不可能。活動範囲は家の中に限定。
 3級(厚生年金のみ) 労働に著しい支障や制限があるが、短時間労働や軽作業など職場の理解や援助などの配慮の下で就労が可能。

 これから考えると、少なくとも3級は労働が基準の前提となっているように思われます。3級のレベルとしては、労働に著しい支障や障害があるが短時間や軽作業はできることになっています。2級であっても、労働できないように思われますが、著者は4人以上に人工透析患者の障害年金2級の受給を決定していることが報告されていますので、傷病等によっては一律ではなく認められるものもあるようです。国のデータでも65歳未満の障害年金受給者のうち、3割以上の方が働いているとされています。

 基準では「現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活が向上したものと捉えず、その療養状態を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状態、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で日常生活能力を判断すること」とされています。人によっては、休職明けの軽作業、障害者枠での就労や知的障害者の福祉作業など収入も作業自体も様々です。

 著者が懸念していることとして、国の動きとして、平成25年4月には障害者の法定雇用率が従来の1.8%から2.0%に引き上げられたにかかわらず、就労の事実をもって判定が×と出されたかのようなものがあるようになったとのこと。しかし、判定が納得できなければ、審査請求・再審査請求がありますのであきらめる必要はないと著者は言っています。

 ただし、現在の制度では、最初の回で示したように、国民年金では2級までしか支給が認められていませんので、ここのところが国民年金ではなかなか認定の状況によっては限界もあるようです。(厚生年金では3級まで支給されます。)

*この本:参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修

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<障害年金とカルテの保存期間>



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障害年金という最強の社会保障<公的年金は老齢年金だけではない>(続き、第4回)

2014-06-15 18:09:03 | 社会保険労務士
誤解の多い障害年金!!

前回同様、障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
 1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
 2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
 3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
 なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことを、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日としています。

 この本*の中で、誤解の多い障害年金として、紹介してあります。
 
 その1 障害年金と障害者手帳は基本点に関係ない

 障害者手帳と障害年金は、全く関係なく、別物であるということです。ひとまとめに障害者手帳といいましたが、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳と3種類ありますが、もっともよく知られているのが、身体障害者手帳です

 身体障害者手帳は、等級区分は最重度の1級から軽度の7級まであります。医師の中にも、この等級区分と間違えて、障害年金は厚生年金でいうと1級から3級まで(ただし国民年金では支給されるのは1級・2級までしかありません。)なので、あなたは4級なので年金は出ませんというケースがあるとのことである。この等級区分は、全く別物であり、同じレベルの等級区分ではないということをご理解いたたきたい。療育手帳も同様に、障害年金の等級とリンクするものではありません。

 ただし、最後の精神障害者保健福祉手帳については、ほぼ障害年金に区分が準拠しています。このため、例えば障害年金を受給できた後に、精神障害者福祉手帳を申請する場合は、障害年金の証書を添付すれば改めて医師意見書の提出は不要である。(しかし、その逆の場合は、診断書の提出が必要とのことである。) 区分がほぼ同じというだけで、福祉サービス等を受けるための認定である手帳の交付と年金受給では、もともと法律関係が違うため、本来は別物という認識は持っている必要があります。

*この本:参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修

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<障害年金という最強の社会保障~第1回NO.1へ>
<障害年金という最強の社会保障~第3回NO.3へ>
<障害年金という最強の社会保障~第5回へ>
<障害年金とカルテの保存期間>




   (その2へ続く) 
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公的年金=障害年金という最強の社会保障<会社を辞める前の健康診断=自己防衛です>(続き、第3回)

2014-06-07 18:35:49 | 社会保険労務士
 知らなかったためにもっともらえるはずだった障害年金<会社を辞める前に健康診断を>

 前回同様、障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
 1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
 2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
 3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
 なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことを、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日としています。

 「障害年金のヒント」の本の中で、長年の会社勤務が年金に反映されなかった男性が出てきます。サラリーマンとして、長年の間勤めてきたBさんは、その長年の間、同じ期間について、厚生年金に加入していました。老後の余暇を妻と有意義な時間を過ごすため、定年前の早期退職という道を選びました。ところが、退職後、すぐに脳梗塞で倒れて、リハビリの甲斐なく、妻の介護が必要になってしまいました。

 この場合、倒れて担ぎ込まれた日が、初めて病院にかかった日ですので、この日が初診日となりますが、このとき、加入していた年金が、国民年金なのか、厚生年金なのかで年金支給額は、大きく違います。

 彼の場合、会社を辞めてしまっていますから、加入していた年金は、国民年金です。国民年金の障害年金(定額部分)の2級は、月6万5000円程度ですが、会社勤めの場合、厚生年金ですとこの定額の年金6万5000円に加え、会社でもらっていた給料に比例した年金額(報酬比例部分)が月10万円が支給されたとのこと。

 ところが、このような例に加え、全くやるせないような例があるようです。それは、忙しさから病院にいく暇がなく、退職してから病院に行ったがために、初診日が国民年金加入時になったという例が少なくないとのこと。この場合、「障害年金」の制度を知っていれば、多くはもっと早く受診して、厚生年金加入期間に病院に駆け込んでいたはずです。どうせ退職したら病院に行く暇はあるのだからと放っていたのが一生金額は違う年金を受給することになったというわけです。

 このように、辞めてからの初診日では、厚生年金という報酬比例部分、すなわち長年勤めていた部分は年金に反映されないのです。

 私の先輩は、辞める前に綿密な健康診断をしていた方もいますが、辞めてからすぐに倒れるよりは、もしもその健康診断で異常が指摘されたら、その時が初診日ですから、厚生年金で見てもらえます。確かに、健康診断ですから、年1回行う会社の健康診断と違い、全額自己負担となりますが、そのことの損得勘定よりも、もしもの場合を考えて、健康診断を受けておくのも一つの自己防衛かもしれません。

 
 もちろん、会社を辞める前に、すでに体の異常を感じているのであれば、健康診断ではなく、健康保険証の使える病院受診を考えてください。健康保険証を使っての受診は、会社を辞めてからの「国民健康保険」と働いているときの「健康保険」では、最近では、一般的には3割の自己負担ですので、そのときの負担額には違いはありませんが、もしも後遺症を残した場合の「障害年金」の額には、一生ものの大きな支給額に差が生じてまいります。会社を退職する前に、健康診断を受けておくことが、障害年金をもらうことになった場合に、厚生年金という働いてきた分に比例する年金をもらえることにつながるのです。

 参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修

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障害年金という最強の社会保障<公的年金は老齢年金だけではない>(続き、第2回)

2014-06-01 18:10:22 | 社会保険労務士
さらに、「20歳前傷病による障害年金(=障害基礎年金)」があります

 前回、障害年金について、述べさせていただいたところですが、ここで障害年金の支給基準の3つの要件について、再度まとめてみます。

 1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
 2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
 3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)

 なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、言葉としては、前回あえて言わなかったところですが、前回においては、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」として、説明していたものですが、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日としています。

 ところが、さらに例外的に、認められているのが、国民年金の加入要件ではない「20歳未満」に病院にかかり、すなわち「初診日が20歳未満」の場合においても、支給される場合があるのです。しかし、支給は、国民年金加入要件である20歳を過ぎてからになります。20歳未満の時に初診日があるということは、後天的な病気・ケガだけでなく、先天的な疾病も含みます。支給は20歳未満にはならないのかとの声が聞こえてきそうですが、そこは児童関係の手当等として国の福祉政策に挙げられているところで、20歳を過ぎてからの国民年金の障害年金の支給とは区別されています。一般的には1年6か月後の「障害認定日」が、20歳前のときは、20歳に達した日に、あるいは障害認定日が20歳に達した日より後になったときは、その20歳を過ぎてからの障害認定日において、障害の程度が1級・2級の程度にあれば、国民年金の障害年金が支給されるというわけです。

 これが前回出てきた、16歳のときにバイク事故を起こし、年金支給が認められ「まっとうな人生を送ります」といった青年のケースです。 

 この場合は、上記3の障害認定日要件だけ満たしていれば支給されます。説明したように1、被保険者要件は、問われていませんで、さらには、「国民年金の加入要件である20歳」より前の保険料は当然支払っていないことになり、2の保険料納付要件も問わないことになっていますので、全く一般の障害年金とは、別物といえそうで、より福祉的観点から支給されるものといえそうです。というのも、ほかの政令で定めた年金を受給していたり、一定額を超える所得がある場合には、支給されないことからも言えそうです。

 なお、厚生年金はどうかというと、20歳前から雇用されている方でも、厚生年金の加入要件がある方は、厚生年金に加入していますので、先に述べた1、2、3の要件を満たしていれば、厚生年金としての障害年金が普通に支給されます。この場合、1級から3級までの病気・ケガの程度に応じて支給がなされることになります。

<障害年金という最強の社会保障~第1回NO.1>

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<障害年金とカルテの保存期間>








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