初診日の証明は、病気が長期にわたって進行する場合は、カルテの保存がされてなく困難。
障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことで、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日といいます。
障害年金で<この本*>の著者が、残念に思うことの一つとして、1の初診日を証明できない結果障害年金を受給できずに、泣いた人が多くいると言っています。その例として、幼少のころにてんかん発作を起こし、家庭の事情や本人の都合で転院を繰り返し、治療は継続して行ってきたにもかかわらず、だんだんと重症になっていったという例。最近になって日常生活にも支障をきたし、働き続けることが出来なくなってきたので、障害年金を受け取ることを考えるようになったとのこと。しかし、初診日の証明は、30年前にさかのばなければならず、簡単にはできません。
また、糖尿病の場合、初めはなんら体のどこも異常はないので、ほおっておく方が多いのですが、透析しなければならなくなって、いざ障害年金を受給することを考えときに、糖尿病での初診日を証明しなければならず、何十年前もさかのばなければなりません。
カルテの保存期間は、医師法により5年です。5年を過ぎれば廃棄されても法的には問題ありません。最後に受診してから5年ですので、ずっとその病院にかかっていれば、初めの受診からその病院に保存され続けますので問題はないのですが、一生もの間、同じ病院にかかるという人は、そう多くはないでしょう。その人の会社の転勤がありますし、子供の頃ですと親の会社の都合で、引っ越すこともあります。転勤でなく、いろいろなことで実家にもどなければならないこともあるでしょう。そんな家庭の事情等で転院をしなければならないことになってきます。
そうなるとカルテが残されてなく、初診日の証明ができなくなります。最初の例に挙げたてんかん発作のカルテについても、最初にかかった病院でのカルテの保存はなかったとのこと、そこで今まで通院した病院すべてにあたった結果、20年前、20歳を過ぎて通院していて、そのカルテには「○歳の時に発作を起こし、継続的に通院治療を行っている」と書かれていました。しかしこれだけでは初診日の証明にはなりません。そこで、現在厚労省で認めている「初診日に対する第三者の申立書」という書類について、学校の先生、友人などに何歳の何月ごろに発作を起こした旨を記憶のある限り、記入していただいたとのこと。しかし、結果は「初診日が確認できないため不支給」であり、さらに審査請求しても棄却文には「初診年月日、医療機関名、医療機関所在地、診療担当科名などを明らかにする書類としては困難」というものであったという。
その場でけがをした時の後遺症であれば、申請はすぐにするでしょうから問題にならないでしょうが、徐々に進行する病気にあっては、いつが初診日であったかの証明ができずに、障害年金の受給が出来なかった例が多くあげられています。確かに、最初に挙げた支給基準の3要件の1において、初診日が証明できなければ、2の保険料納付要件も満たしているかも分からず、3の障害認定日も特定できないことになり、初診日の証明は全ての要件の基礎的データといってもいいと思いますが、なんとかならないのでしょうか。著者が訴えるのは、カルテの法的保存期間の長期化です。今の医師法では5年になっていますが、もっと長くならないのかということですが、医師法では、一般的な病気を考え診療のための保存する期間と病院の保存の負担(紙で保存する場所的な問題等)を考え5年となっているものと思われます。しかし、病院によっては不法行為によって訴えられたときのことを考え、その時効の20年を保存期間とするところもあると聞いておりますので、長期保存は不可能ではないと思われます。
一般的には現在のところ、法的には難しいでしょうが、これだけデジタルの技術が進んで来て、カルテの電算化もなされてきたので、近い将来、長期保存は不可能ではないと思われます。現在でも、病院の指針として、患者本位の病院のために、不法行為等云々だけでなく、カルテの保管庫の容量等の問題がなければ、カルテ保存の長期化の検討をお願いしたいものです。
*本;参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修
⇒ <障害年金という最強の社会保障~第1回NO.1へ>
⇒ <障害年金という最強の社会保障~第2回NO.2へ>
⇒ <障害年金という最強の社会保障~第3回へ>
⇒ <障害年金という最強の社会保障~第4回へ>
⇒ <障害年金という最強の社会保障~第5回へ>
障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことで、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日といいます。
障害年金で<この本*>の著者が、残念に思うことの一つとして、1の初診日を証明できない結果障害年金を受給できずに、泣いた人が多くいると言っています。その例として、幼少のころにてんかん発作を起こし、家庭の事情や本人の都合で転院を繰り返し、治療は継続して行ってきたにもかかわらず、だんだんと重症になっていったという例。最近になって日常生活にも支障をきたし、働き続けることが出来なくなってきたので、障害年金を受け取ることを考えるようになったとのこと。しかし、初診日の証明は、30年前にさかのばなければならず、簡単にはできません。
また、糖尿病の場合、初めはなんら体のどこも異常はないので、ほおっておく方が多いのですが、透析しなければならなくなって、いざ障害年金を受給することを考えときに、糖尿病での初診日を証明しなければならず、何十年前もさかのばなければなりません。
カルテの保存期間は、医師法により5年です。5年を過ぎれば廃棄されても法的には問題ありません。最後に受診してから5年ですので、ずっとその病院にかかっていれば、初めの受診からその病院に保存され続けますので問題はないのですが、一生もの間、同じ病院にかかるという人は、そう多くはないでしょう。その人の会社の転勤がありますし、子供の頃ですと親の会社の都合で、引っ越すこともあります。転勤でなく、いろいろなことで実家にもどなければならないこともあるでしょう。そんな家庭の事情等で転院をしなければならないことになってきます。
そうなるとカルテが残されてなく、初診日の証明ができなくなります。最初の例に挙げたてんかん発作のカルテについても、最初にかかった病院でのカルテの保存はなかったとのこと、そこで今まで通院した病院すべてにあたった結果、20年前、20歳を過ぎて通院していて、そのカルテには「○歳の時に発作を起こし、継続的に通院治療を行っている」と書かれていました。しかしこれだけでは初診日の証明にはなりません。そこで、現在厚労省で認めている「初診日に対する第三者の申立書」という書類について、学校の先生、友人などに何歳の何月ごろに発作を起こした旨を記憶のある限り、記入していただいたとのこと。しかし、結果は「初診日が確認できないため不支給」であり、さらに審査請求しても棄却文には「初診年月日、医療機関名、医療機関所在地、診療担当科名などを明らかにする書類としては困難」というものであったという。
その場でけがをした時の後遺症であれば、申請はすぐにするでしょうから問題にならないでしょうが、徐々に進行する病気にあっては、いつが初診日であったかの証明ができずに、障害年金の受給が出来なかった例が多くあげられています。確かに、最初に挙げた支給基準の3要件の1において、初診日が証明できなければ、2の保険料納付要件も満たしているかも分からず、3の障害認定日も特定できないことになり、初診日の証明は全ての要件の基礎的データといってもいいと思いますが、なんとかならないのでしょうか。著者が訴えるのは、カルテの法的保存期間の長期化です。今の医師法では5年になっていますが、もっと長くならないのかということですが、医師法では、一般的な病気を考え診療のための保存する期間と病院の保存の負担(紙で保存する場所的な問題等)を考え5年となっているものと思われます。しかし、病院によっては不法行為によって訴えられたときのことを考え、その時効の20年を保存期間とするところもあると聞いておりますので、長期保存は不可能ではないと思われます。
一般的には現在のところ、法的には難しいでしょうが、これだけデジタルの技術が進んで来て、カルテの電算化もなされてきたので、近い将来、長期保存は不可能ではないと思われます。現在でも、病院の指針として、患者本位の病院のために、不法行為等云々だけでなく、カルテの保管庫の容量等の問題がなければ、カルテ保存の長期化の検討をお願いしたいものです。
*本;参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修
⇒ <障害年金という最強の社会保障~第1回NO.1へ>
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