祭祀財産は、まずは慣習により承継するとなっているが、慣習には現在明確なものがあるのか??
後見人は、被後見人の相続に際して、原則的には法定相続に沿った主張を行うことになっています。例えば、母親と子供である被後見人が、相続人であった場合は、一般的には、母親の相続財産の1/2に対して、子供としての被後見人は相続財産の1/2を主張することになります。
ところで、この相続財産には、夫婦とか親子関係などの被相続人のみが持つことができるもの(これを一身専属権といいます。)は引き継ぐことはできませんが、これ以外の一切の権利義務を受け継ぐものとされています。例えば、住んでいた家屋の賃借権も引き継ぐことになっています。
被相続人のみが持つべき一身専属権を除いてといいましたが、所有権なのに、もう一つ承継の対象として全く別の考え方をするものがあります。それは、先祖を祀る道具で、相続財産とは異なるものとしてとらえられています。先祖を祭る道具とは、家系図、過去帳などの系譜、位牌、仏壇、仏具、神棚などの祭具、そして墓石、墓碑、墓地などの墳墓をいいます。
これらは、一般的には、その地方の習わし(慣習)により、先祖を祭ることになっている者が承継することになっていますが、被相続人が、遺言やその他の書面、口頭などで祭祀を主宰すべき者を措定をしたときは、その指定を受けた者が一番に祭祀財産を受け継ぐことになります。先祖の祀る習わしがはっきりせず、被相続人の指名もないときは、家庭裁判所の審判で決めるとなっているのです。(民法897条)
このように系譜、祭具、墳墓の祭祀財産にについては、その特殊性から、祭祀主宰者は必ずしも相続人である必要はないことになりますし、例えば被相続人の内縁の妻や一般の相続財産の放棄を行った者であっても、祭祀財産を承継できることになります。また、祭祀財産の承継は、放棄・承認の規定がなく、祭祀を主宰すべき者として指定を受けた者は、祭祀財産の放棄はできないと解されていますし、逆に祭祀主宰者は必ずしも祭祀を行わなければならない義務はなく、自由に処分できるともされています。(広島高裁昭和26.10.31)
さらに、その権利を受け継いだ者が他の者に譲ることも構わないとされています。
何度も言いますが、祭祀財産の承継については、考え方が一般の相続とは大きく異なっているのです。
私事で恐縮ですが、母が先に亡くなり残った父が死んだ場合で、我々子供が祭祀財産をどうするかということになったとき、田舎の事なので一般的には、慣習では長男が受け継ぐということでしたが、長男・次男も遠方で、結局3男であった私が受け継ぐことになりました。
ここらは、民法の規定を当てはめた場合、どう解釈すればいいのでしょうか。最近では、長男とかは関係なく、次げる者が次ぐようになっているように思えます。これも慣習として、近くの者が次ぐということになるのでしょうか。どうも慣習と言っても最近でははっきりしないようです。ここでは、家庭裁判所の審判を仰ぐまでもないと考えましたので、私がそのまま受け継ぐ形になっております。最近では祭祀財産の承継については、長男とかの慣習はすたれてきており、慣習が変化してきているのか、それとも慣習がなくなっているのかわかりませんが、はっきりいえるのは、慣習そのものがうやむやになっているのではないでしょうか。
(それとも、まだ長男という慣習は残っており、長男が受け継いで、単に私にその権利を譲ったとみるべきでしょうか。)
参考文献(一部引用を含む) 口語六法全書(自由国民社)、成年後見人死亡後の実務と書式(日本財産管理協会編、新日本法規)
後見人は、被後見人の相続に際して、原則的には法定相続に沿った主張を行うことになっています。例えば、母親と子供である被後見人が、相続人であった場合は、一般的には、母親の相続財産の1/2に対して、子供としての被後見人は相続財産の1/2を主張することになります。
ところで、この相続財産には、夫婦とか親子関係などの被相続人のみが持つことができるもの(これを一身専属権といいます。)は引き継ぐことはできませんが、これ以外の一切の権利義務を受け継ぐものとされています。例えば、住んでいた家屋の賃借権も引き継ぐことになっています。
被相続人のみが持つべき一身専属権を除いてといいましたが、所有権なのに、もう一つ承継の対象として全く別の考え方をするものがあります。それは、先祖を祀る道具で、相続財産とは異なるものとしてとらえられています。先祖を祭る道具とは、家系図、過去帳などの系譜、位牌、仏壇、仏具、神棚などの祭具、そして墓石、墓碑、墓地などの墳墓をいいます。
これらは、一般的には、その地方の習わし(慣習)により、先祖を祭ることになっている者が承継することになっていますが、被相続人が、遺言やその他の書面、口頭などで祭祀を主宰すべき者を措定をしたときは、その指定を受けた者が一番に祭祀財産を受け継ぐことになります。先祖の祀る習わしがはっきりせず、被相続人の指名もないときは、家庭裁判所の審判で決めるとなっているのです。(民法897条)
このように系譜、祭具、墳墓の祭祀財産にについては、その特殊性から、祭祀主宰者は必ずしも相続人である必要はないことになりますし、例えば被相続人の内縁の妻や一般の相続財産の放棄を行った者であっても、祭祀財産を承継できることになります。また、祭祀財産の承継は、放棄・承認の規定がなく、祭祀を主宰すべき者として指定を受けた者は、祭祀財産の放棄はできないと解されていますし、逆に祭祀主宰者は必ずしも祭祀を行わなければならない義務はなく、自由に処分できるともされています。(広島高裁昭和26.10.31)
さらに、その権利を受け継いだ者が他の者に譲ることも構わないとされています。
何度も言いますが、祭祀財産の承継については、考え方が一般の相続とは大きく異なっているのです。
私事で恐縮ですが、母が先に亡くなり残った父が死んだ場合で、我々子供が祭祀財産をどうするかということになったとき、田舎の事なので一般的には、慣習では長男が受け継ぐということでしたが、長男・次男も遠方で、結局3男であった私が受け継ぐことになりました。
ここらは、民法の規定を当てはめた場合、どう解釈すればいいのでしょうか。最近では、長男とかは関係なく、次げる者が次ぐようになっているように思えます。これも慣習として、近くの者が次ぐということになるのでしょうか。どうも慣習と言っても最近でははっきりしないようです。ここでは、家庭裁判所の審判を仰ぐまでもないと考えましたので、私がそのまま受け継ぐ形になっております。最近では祭祀財産の承継については、長男とかの慣習はすたれてきており、慣習が変化してきているのか、それとも慣習がなくなっているのかわかりませんが、はっきりいえるのは、慣習そのものがうやむやになっているのではないでしょうか。
(それとも、まだ長男という慣習は残っており、長男が受け継いで、単に私にその権利を譲ったとみるべきでしょうか。)
参考文献(一部引用を含む) 口語六法全書(自由国民社)、成年後見人死亡後の実務と書式(日本財産管理協会編、新日本法規)