書棚等に設置され職員がいつでも閲覧(日音退職金事件)暫定的就業規則が全員に示され新規者には就業規則の配布(レキオス航空事件)
労働契約法第7条の規定では、労働者が詳細な労働条件を定めずに労働契約を締結した場合に=というか、一般的には雇う雇われるというような合意のみの労働契約を結ぶ場合が多いが=(1)合理的な労働条件が定められている就業規則であること (2)就業規則を労働者に周知させていたこと
という2つの要件を満たしているときには、労働契約で詳細に定めなかった部分は就業規則の内容の労働契約を結んだことになる。すなわち、詳細に定めていない労働契約をこの就業規則の内容で「補充」するのである。
合理的であるかは、個々の労働条件について判断するほかはないが、問題は周知の意味である。裁判では、必ずしも労基法106条の規定する周知方法による必要はないとされている。この労基法の106条の周知とは、(1)常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け (2)書面の交付 (3)磁気テープ・磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、各作業場に労働者がそれらの記録を常時確認できる機器の設置 のいずれかの方法で行うことになっているが、労働契約法7条(就業規則の内容が労働契約を補充する場合)の「周知」については、この労基法109条で定める方法以外でもよいことになる。
そこで、この周知は実質的な「周知」で足りるとされるが、それは事業場の労働者集団に対してこの就業規則の内容を知り得る状態に置いていたことと解されている。この周知方法によって、新規の労働者も採用時または採用直後において、当就業規則の内容を知り得ることが必要である。知り得る状態なので、労働者が見たかどうかは問われない、見れる状態にしておけばよい。
概略ここまでは、このブログのどこかに書いた記憶がある。さてここからであるが、労基法106条の3つの方法以外に実質的な周知といっても、この3つ以外には、どんな場合があるのか。考えてみれば、なかなか思いつかないところである。実質的な周知でいいといっても、労基法106条に掲げる周知で、すべて言いつくされているような気がするからである。掲示・備え付け、書面を各自に交付、パソコン等での閲覧以外に他に考えられるかである。
しかし、裁判では次のような例がある。(あ)就業規則が各事業場で管理職員の机の中や書棚に設置され、事業場の職員がいつでも閲覧できる状況にあった場合(日音・退職金事件、東京地判平成18・1・25)(い)会社設立時に暫定的就業規則の内容が当時の従業員全員に示され、その後、新規採用者に就業規則が配付されていた場合(レキオス航空う事件、東京地判平成15.11.28) 要は、3つの方法ほどではなくても、新規従業員を含めて、皆にいつでも知り得る状態にすれば、この要件を満たすということであろう。
ところで、労基法106条の周知とは、労基法や就業規則等を労働者に知ってもらうためのもの(整備の方法)であって、厳格な3つの方法しか、罰則・取締法規たる労基法(30万円以下の罰金、労基法106条違反)の中では示されていないが、労働契約法第7条の周知は、「周知」がなされていれば、就業規則の内容が契約の内容そのものとなる民事的な要件であって、この「周知」の意味は労働者が必要な時に見れるということであればよいということであろう。
参考;労働法 林弘子著 法律文化社
労働法 菅野和夫 弘文堂
労働契約法第7条の規定では、労働者が詳細な労働条件を定めずに労働契約を締結した場合に=というか、一般的には雇う雇われるというような合意のみの労働契約を結ぶ場合が多いが=(1)合理的な労働条件が定められている就業規則であること (2)就業規則を労働者に周知させていたこと
という2つの要件を満たしているときには、労働契約で詳細に定めなかった部分は就業規則の内容の労働契約を結んだことになる。すなわち、詳細に定めていない労働契約をこの就業規則の内容で「補充」するのである。
合理的であるかは、個々の労働条件について判断するほかはないが、問題は周知の意味である。裁判では、必ずしも労基法106条の規定する周知方法による必要はないとされている。この労基法の106条の周知とは、(1)常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け (2)書面の交付 (3)磁気テープ・磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、各作業場に労働者がそれらの記録を常時確認できる機器の設置 のいずれかの方法で行うことになっているが、労働契約法7条(就業規則の内容が労働契約を補充する場合)の「周知」については、この労基法109条で定める方法以外でもよいことになる。
そこで、この周知は実質的な「周知」で足りるとされるが、それは事業場の労働者集団に対してこの就業規則の内容を知り得る状態に置いていたことと解されている。この周知方法によって、新規の労働者も採用時または採用直後において、当就業規則の内容を知り得ることが必要である。知り得る状態なので、労働者が見たかどうかは問われない、見れる状態にしておけばよい。
概略ここまでは、このブログのどこかに書いた記憶がある。さてここからであるが、労基法106条の3つの方法以外に実質的な周知といっても、この3つ以外には、どんな場合があるのか。考えてみれば、なかなか思いつかないところである。実質的な周知でいいといっても、労基法106条に掲げる周知で、すべて言いつくされているような気がするからである。掲示・備え付け、書面を各自に交付、パソコン等での閲覧以外に他に考えられるかである。
しかし、裁判では次のような例がある。(あ)就業規則が各事業場で管理職員の机の中や書棚に設置され、事業場の職員がいつでも閲覧できる状況にあった場合(日音・退職金事件、東京地判平成18・1・25)(い)会社設立時に暫定的就業規則の内容が当時の従業員全員に示され、その後、新規採用者に就業規則が配付されていた場合(レキオス航空う事件、東京地判平成15.11.28) 要は、3つの方法ほどではなくても、新規従業員を含めて、皆にいつでも知り得る状態にすれば、この要件を満たすということであろう。
ところで、労基法106条の周知とは、労基法や就業規則等を労働者に知ってもらうためのもの(整備の方法)であって、厳格な3つの方法しか、罰則・取締法規たる労基法(30万円以下の罰金、労基法106条違反)の中では示されていないが、労働契約法第7条の周知は、「周知」がなされていれば、就業規則の内容が契約の内容そのものとなる民事的な要件であって、この「周知」の意味は労働者が必要な時に見れるということであればよいということであろう。
参考;労働法 林弘子著 法律文化社
労働法 菅野和夫 弘文堂