後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔610〕2023夏・ドイツ後期ゴシックとフランスロマネスクを歩く②  まずは、「ハンス・ブリュッゲマンの旅」からスタートです。

2023年10月08日 | 美術鑑賞
 7月31日(月)、2人はフランクフルトに向かうJALの機上にいました。緑は18回目のドイツ旅行、私は16回目でした。
 昨年の2月にロシアがウクライナを侵略し始めてから、ロシア上空を通らない飛行ルートに変更されています。行きは北極海上空へ迂回するため、以前より2時間ぐらい飛行時間が増して、15時間くらいになっています。ちなみに帰りはロシアの南を通るルートで13時間ぐらいでしょうか。戦闘が続けられている黒海なども通って13時間、なんとも不気味な、実に複雑な感情がわき起こってきました。
 フランクフルト空港に無事到着し、珍しくここで1泊しました。
 今回の長旅は、「ハンス・ブリュッゲマンの旅」からスタートです。
 ハンス・ブリュッゲマンについてはブログ〔517〕に詳述しました。昨年の旅で初めてブリュッゲマンに出合いました。ロストックに住む友人のヨーラとヘルヴィックに車で大祭壇のあるシュレスヴィッヒに案内してもらいました。その時に手に入れたブリュッゲマンの図録が今回の旅の手引き書になっています。

 「ハンス・ブリュッゲマンの旅」は、まずフランクフルトから初めての陸路でデンマークのコペンハーゲンに入りました。コペンハーゲンに2泊、ドイツのシュレスヴィッヒ近くのタープに2泊、リューベック1泊までがそれになりました。




*コペンハーゲン駅


*チボリ公園

 コペンハーゲンのデンマーク国立博物館では雄大なブリュッゲマンのゲオルク像に出合うことができました。一部屋に頭上高く展示されているのですが、あまりに巨大すぎて、どうしてもその全体像を写しきれないのです。まさに勇敢に戦うゲオルクと竜の迫力は凄まじいものがあります。ボーデ博物館にあるリーメンシュナイダーの穏やかなゲオルク像と対比すると実に興味深いものがあります。昨年も訪れた、シュレスヴィッヒ大聖堂のブリュッゲマンの大祭壇〔ボルデスホルマー祭壇〕や巨大なクリストフォロスとキリスト像と相通じるリアルで迫力ある造形です。




*シュレスヴィッヒ大聖堂

 リューベックの聖アネン博物館に伝ブリュッゲマンの「跪く使徒像」を目差したのは大正解でした。著名な作家の彫刻があるわけではないのですが、リューベックを中心とした地域の彫刻家の作品が多数所蔵されているのです。バイエルン国立博物館のヴェニガー博士はかつてここで仕事をしていたことがあったと後日聞いてびっくりしました。ここで出している図録『聖アネン博物館の祭壇』を購入してホテルのベットの上で穴が空くほど眺めたのでした。





*カタリーネン教会、エルンスト・バルラハの作品、外壁上部に設置されている。

*カタリーネン教会、ゲオルク像

 あっ、シュレスヴィッヒのホテルが満室で予約できなくて、電車で十数分のタープに居を構えたのは大正解でした。とても静かな美しい街で、ホテルの人も親切でした。お手頃価格で広く綺麗な室内でした。