後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔79〕「糸巻きの聖母」をレオナルド・ダ・ヴィンチ展で見ました。

2016年03月17日 | 美術鑑賞
  私はなぜか、昔からレオナルド・ダ・ヴィンチに惹かれました。新しくできたばかりの中学校の図書室で借りたのがダ・ヴィンチの伝記でした。非嫡出子としてフィレンツェ共和国のヴィンチ村に生まれたレオナルド・ダ・ヴィンチはなぜ万能の天才になったのか、その天才の実際はどうだったのか、知りたかったのです。とりわけ絵画は好きで、海外旅行先にダ・ヴィンチの作品があると、必ず足を運んだものです。
 趣味が高じて、ダ・ヴィンチの絵画作品一覧をつくりました。18点まで数えましたが、そのなかでまだ見てないのが次の3点です。
・「最後の晩餐」(1495-97、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会壁画)
・「ブノワの聖母」(1475-78、エルミタージュ美術館蔵)
・「リッタの聖母」(1490 - 91、エルミタージュ美術館蔵)
  20年前にミラノを訪ねたとき「最後の晩餐」は修復中でした。そして、エルミタージュ美術館はいまだ訪れていないので、ヨーロッパ旅行のときに立ち寄れないかと思っています。
  はたしてダ・ヴィンチ作品全踏破はいつになることでしょうか。

●私の調べた「ダ・ヴィンチ全絵画」
①フィレンツェ
「キリストの洗礼」(1472 - 1475、ヴェロッキオと共作、ウフィッツィ美術館蔵)
「受胎告知」(1472-75、ウフィツィ美術館蔵)
「東方三博士の礼拝」(1481-1482、未完、ウフィツィ美術館蔵)
②ミラノ
「最後の晩餐」(1495-97、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会壁画)
「音楽家の肖像」(1490頃、アンブロジアーナ図書館)
③バチカン
「聖ヒエロニムス」(1480- 1482、未完、バチカン美術館蔵)
④パルマ
「ほつれ髪の女」(1506-08頃 パルマ国立美術館蔵)
⑤パリ
「モナ・リザ」(1503-06、ルーヴル美術館)
「岩窟の聖母」(1483-1486、ルーブル美術館蔵)
「聖アンナと聖母子」(1508-1510、ルーヴル美術館蔵)
「洗礼者ヨハネ」(1513-16、ルーヴル美術館蔵)
⑥ミュンヘン
「カーネーションを持つ聖母」(14780-80アルテ・ピナコテーク蔵) 
⑦クラクフ
「白貂を抱く貴婦人」(1485-90、チャルトリスキ美術館)
⑧サンクトペテルブルク
「ブノワの聖母」(1475-78頃、エルミタージュ美術館蔵)
「リッタの聖母」(1490 - 91、エルミタージュ美術館蔵)
⑨ロンドン
「岩窟の聖母」(1495 - 1508、ナショナルギャラリー蔵)
「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」(1499 - 1500、ナショナルギャラリー蔵)
⑩エディンバラ
「糸巻きの聖母」(1501、スコットランド・ナショナル・ギャラリー蔵)
⑪ワシントン
「ジネヴラ・デ・ベンチの肖像」(1474-86、ナショナル・ギャラリー蔵)

 「レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦」展が江戸東京博物館で開かれています。その概要は次の通りです。

●レオナルド・ダ・ヴィンチ-天才の挑戦(江戸東京博物館サイトより)
 日本とイタリアの国交樹立150周年を記念し、イタリアが生んだ天才レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の展覧会を開催します。本展はイタリア政府が都内の公立博物館1館のみでの開催が希望され実現した展覧会です。
 今回の展覧会では、自然観察を通じて真理に近づこうとしたレオナルドの挑戦を、日本初公開の絵画 《糸巻きの聖母》(バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト)と直筆ノート「鳥の飛翔に関する手稿」(トリノ王立図書館)を中心に紹介します。
 《糸巻きの聖母》は、イギリスの貴族バクルー公爵家が所蔵し、レオナルドの故郷イタリア、作品のあるイギリス以外の場所では初めて出品されることになりました。2009年にようやく、スコットランド・ナショナル・ギャラリーで一般公開されることになった至宝です。
 また、レオナルドの手稿の中でも人気の高い「鳥の飛翔に関する手稿」も、日本初公開となります。本展の図録で、日本側の監修者である斎藤泰弘氏(京都大学名誉教授)による待望の新訳も発表されます。
 2点とも、本展のテーマである「見えない世界を探る(beyond the visible)」ために、レオナルドが行った人間観察・自然研究が集約された円熟期の傑作です。このほか、花や子どもを観察した日本初公開の真筆素描7点(うち1点は弟子との共作)、レオナルド派による日本初公開の珠玉の絵画、神話化・伝説化されたレオナルドの生涯を表した版画など約70点と、素描から忠実に再現した関連模型を通じ、天才の挑戦を体系的に展観します。
 また、レオナルド・ダ・ヴィンチは都市計画にも深い見識があり、「都市史」を研究テーマとする江戸東京博物館において紹介するにふさわしい展覧会です。

  東京都立の美術館は、第3水曜日は65歳以上は無料(シニアデー)になるのを皆さん知っていましたか。東京都美術館、東京都現代美術館、庭園美術館もそうです。ついでにいうと、上野の西洋美術館は常設展が65歳以上は無料です。ここにはなんと日本で唯一フェルメール作品がありますよ! 真作ではないという研究者もいますがね。その真贋を確かめるためにも、いつか訪れるのを楽しみにしています。
  3月16日(水)、9時過ぎに江戸東京博物館に着きました。9時半開館ですが、すでに30人ほどの同年輩の人たちが入口前に並んでいました。しかしそこは風が吹いていてけっこう寒いのです。「中に入れてくれないかしら。」と後ろの人がささやいたときでした。
「中に入ってチケットをお求めください。」と係の人が言いました。そして、さらに待つこと10分、9時25分入場ということになりました。
  《糸巻きの聖母》にたどりつく前に「鳥の飛翔に関する手稿」や真筆素描、レオナルド派による絵画、レオナルドの生涯を表した版画などをじっくり鑑賞しました。そして《糸巻きの聖母》に並ぶこと10分、さすがダ・ヴィンチでした。レオナルド派の絵画とは歴然とした違いがあります。絵の構図や背景、マリアの優しさやキリストの愛らしさなど、どれをとっても超一流でした。かつてエディンバラに行ったときは丁度月曜日で、スコットランド・ナショナル・ギャラリーは休館していました。長年の夢がついに叶いました。
  帰りはお茶の水駅で途中下車して久しぶりに古本店街をぶらつきました。

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