お馴染みの矢部顕さんから朗報が届きました。かねてから鋭意制作中だった松本輝夫さんの鈴木孝夫論が完成しました。さっそく書店に注文したいと思います。
■出版案内
松本輝夫著の鈴木孝夫論が発刊されます!
『言語学者、鈴木孝夫が我らに遺せしこと』(松本輝夫著)
発行:冨山房インターナショナル
出版:2023年4月5日
定価:2200円+税
A5判、並製、300頁
・書名案としてあった「鈴木孝夫 ――稀代の言語学者にして
『地救(球)原理』の先覚者」は、本トビラに掲出。
・表紙オビのキャッチフレーズ「地球を愛し、人類の叡智に望を
託した言語学者の大志と哲学、その軌跡を次世代へつなぐ一書!」
鈴木孝夫先生は、かつてラボ言語教育総合研究所の代表を務めていただいて
おり、そのとき私は研究所の事務局長でしたので、身近に接しさせていただき、
学識からの貴重なお話を聴くことや、お人柄から楽しい時間をもつことができました。
著者の松本輝夫さんは、ラボでの上司でありましたが、その頃も以降も、年上の
盟友としてのお付き合いをさせていただいています。
谷川雁研究会、鈴木孝夫研究会の主宰者として活躍されています。
矢部 顕
◆「沈黙は野蛮だ」
「たかが電気のためになんで命を危険に晒さなければ
ならないのか」…坂本龍一
鎌田 慧(ルポライター)
大江健三郎さん。そして坂本龍一さん。おふたり続けての計報は、打
撃が大きい。
坂本さんは福島原発事故の前の年、千駄ケ谷の区民会館でひらかれた
六ケ所村(青森県)の核燃料再処理工場への反対集会に参加された。
だから、原発反対でも「筋金入り」だった。
わたしの友人の高橋悠治氏(作曲家、ピアニスト)が、若いときから
の坂本さんと懇意だったこともあって「さようなら原発」運動の呼びか
け人をお願いして、2011年7月、代々木公園での「さようなら原発」17
万集会で発言して頂いた。大江さんや瀬戸内寂聴さん、沢地久枝さんも
同時に登壇した集会である。
「NO NUKES」のTシャツを着た坂本さんは、この公園は42年
前、18歳の時、日米安保改定反対の集会以来と言って「たかが電気のた
めになんで命を危険に晒さなければならないのか」。「福島の後に沈黙
しているのは野蛮だ」と続けた。被曝労働者や子どもたちの健康と命に
想いを馳せた発言だった。
坂本さんは発言するだけではなく、若い音楽家たちに呼びかけ、豊洲
PITでの「NO NUKES」コンサートを主催されていた。
まだ71歳。この早すぎる他界は認めたくない。ニューヨークとはメー
ルで交信していたが、こちらの老齢をいたわる優しいメールだった。
まだまだ活躍してほしかった。
(4月4日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
◆沈思実行(135)
米軍戦争の犠牲区域・沖縄
沖縄の石垣島、宮古島、奄美大島、与那国島がミサイル基地に−
本土の平和運動が問われている
鎌田 慧
沖縄・南西諸国のひとつ、宮古島。そこから長い橋を渡って伊良部島。
そして、小さな小さな下地島がある。
この島の真ん中を3000メートルの大滑走路が走っている。といって
も、ターミナルや売店があるわけではない。
日本航空や全日空のパイロット養成用に使われてきた。その訓練は最
近では米国でやっているようだ。だから、長大な滑走路が島の真ん中に
あるだけ、とみえる風景はやや異様だった。軍事利用されるのではない
か、と見学にいって不安だった。
と、この空港を米海兵隊が訓練に使いたい、と米軍が沖縄県に要請し
た、という。いよいよきたのか、との恐怖をあたえられた。
しかし、この空港は軍事目的には使用しない、との覚え書き、1971
年、琉球政府と日本政府との確認書「屋良覚書」がある。
79年にも沖縄県と政府間で「緊急時を除いて民間機が使用」との文書
もある。それに依拠して玉城デニー知事は「その方針、方向を堅持していく」と
強調している。
鹿児島県種子島そばの馬毛島は、日本政府が買収した途端に、自衛
隊基地にされる、と発表された。さらに露骨なのは与那国島だ。
台湾が望まれる、与那国島は「どなん」(渡難)の島と呼ばれてい
る。75年の海洋博の頃、石垣島まで行ったが、チケットを取れなかった。
そのあとも、上空まで飛行してなお雲厚く引き返した。19人乗りのカ
ナダ製小型機だった。銘酒「どなん」の社長は、石油基地建設に反対だった。
その島に自衛隊が駐留する話が降ってきた。過疎化対策が賛成派の主
張だった。2016年、沿岸監視隊が駐留した。
その後、ミサイル部隊がけろりとして配備された。いったん基地にな
れば、なにをしても自由。だまし討ちなのだ。
台湾から110キロ。戦前、戦後とも台湾との交流が盛んな平和な島だ。
しかし、米国の「台湾有事」の宣伝とともに、石垣島、宮古島、奄美
大島とともにミサイル基地にされ、最前線になった。
戦争になったら逃げ場がない。
また沖縄を犠牲地にするのか。
本土の平和運動が問われている。
(週刊「新社会」2023年2月15日第1295号8面より)
■出版案内
松本輝夫著の鈴木孝夫論が発刊されます!
『言語学者、鈴木孝夫が我らに遺せしこと』(松本輝夫著)
発行:冨山房インターナショナル
出版:2023年4月5日
定価:2200円+税
A5判、並製、300頁
・書名案としてあった「鈴木孝夫 ――稀代の言語学者にして
『地救(球)原理』の先覚者」は、本トビラに掲出。
・表紙オビのキャッチフレーズ「地球を愛し、人類の叡智に望を
託した言語学者の大志と哲学、その軌跡を次世代へつなぐ一書!」
鈴木孝夫先生は、かつてラボ言語教育総合研究所の代表を務めていただいて
おり、そのとき私は研究所の事務局長でしたので、身近に接しさせていただき、
学識からの貴重なお話を聴くことや、お人柄から楽しい時間をもつことができました。
著者の松本輝夫さんは、ラボでの上司でありましたが、その頃も以降も、年上の
盟友としてのお付き合いをさせていただいています。
谷川雁研究会、鈴木孝夫研究会の主宰者として活躍されています。
矢部 顕
◆「沈黙は野蛮だ」
「たかが電気のためになんで命を危険に晒さなければ
ならないのか」…坂本龍一
鎌田 慧(ルポライター)
大江健三郎さん。そして坂本龍一さん。おふたり続けての計報は、打
撃が大きい。
坂本さんは福島原発事故の前の年、千駄ケ谷の区民会館でひらかれた
六ケ所村(青森県)の核燃料再処理工場への反対集会に参加された。
だから、原発反対でも「筋金入り」だった。
わたしの友人の高橋悠治氏(作曲家、ピアニスト)が、若いときから
の坂本さんと懇意だったこともあって「さようなら原発」運動の呼びか
け人をお願いして、2011年7月、代々木公園での「さようなら原発」17
万集会で発言して頂いた。大江さんや瀬戸内寂聴さん、沢地久枝さんも
同時に登壇した集会である。
「NO NUKES」のTシャツを着た坂本さんは、この公園は42年
前、18歳の時、日米安保改定反対の集会以来と言って「たかが電気のた
めになんで命を危険に晒さなければならないのか」。「福島の後に沈黙
しているのは野蛮だ」と続けた。被曝労働者や子どもたちの健康と命に
想いを馳せた発言だった。
坂本さんは発言するだけではなく、若い音楽家たちに呼びかけ、豊洲
PITでの「NO NUKES」コンサートを主催されていた。
まだ71歳。この早すぎる他界は認めたくない。ニューヨークとはメー
ルで交信していたが、こちらの老齢をいたわる優しいメールだった。
まだまだ活躍してほしかった。
(4月4日「東京新聞」朝刊19面「本音のコラム」より)
◆沈思実行(135)
米軍戦争の犠牲区域・沖縄
沖縄の石垣島、宮古島、奄美大島、与那国島がミサイル基地に−
本土の平和運動が問われている
鎌田 慧
沖縄・南西諸国のひとつ、宮古島。そこから長い橋を渡って伊良部島。
そして、小さな小さな下地島がある。
この島の真ん中を3000メートルの大滑走路が走っている。といって
も、ターミナルや売店があるわけではない。
日本航空や全日空のパイロット養成用に使われてきた。その訓練は最
近では米国でやっているようだ。だから、長大な滑走路が島の真ん中に
あるだけ、とみえる風景はやや異様だった。軍事利用されるのではない
か、と見学にいって不安だった。
と、この空港を米海兵隊が訓練に使いたい、と米軍が沖縄県に要請し
た、という。いよいよきたのか、との恐怖をあたえられた。
しかし、この空港は軍事目的には使用しない、との覚え書き、1971
年、琉球政府と日本政府との確認書「屋良覚書」がある。
79年にも沖縄県と政府間で「緊急時を除いて民間機が使用」との文書
もある。それに依拠して玉城デニー知事は「その方針、方向を堅持していく」と
強調している。
鹿児島県種子島そばの馬毛島は、日本政府が買収した途端に、自衛
隊基地にされる、と発表された。さらに露骨なのは与那国島だ。
台湾が望まれる、与那国島は「どなん」(渡難)の島と呼ばれてい
る。75年の海洋博の頃、石垣島まで行ったが、チケットを取れなかった。
そのあとも、上空まで飛行してなお雲厚く引き返した。19人乗りのカ
ナダ製小型機だった。銘酒「どなん」の社長は、石油基地建設に反対だった。
その島に自衛隊が駐留する話が降ってきた。過疎化対策が賛成派の主
張だった。2016年、沿岸監視隊が駐留した。
その後、ミサイル部隊がけろりとして配備された。いったん基地にな
れば、なにをしても自由。だまし討ちなのだ。
台湾から110キロ。戦前、戦後とも台湾との交流が盛んな平和な島だ。
しかし、米国の「台湾有事」の宣伝とともに、石垣島、宮古島、奄美
大島とともにミサイル基地にされ、最前線になった。
戦争になったら逃げ場がない。
また沖縄を犠牲地にするのか。
本土の平和運動が問われている。
(週刊「新社会」2023年2月15日第1295号8面より)