後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔570〕矢部顕さんのお便り「ウクライナのお嫁さん」と『ひとが生まれる』(鶴見俊輔)のあれこれ。

2023年03月03日 | メール・便り・ミニコミ
 このブログでお馴染みの矢部顕さんから「ウクライナのお嫁さん」というエッセイが届きました。以前にブログに掲載させていただいた続編になっています。
 さらに、今回は『ひとが生まれる』(鶴見俊輔)にも言及されています。鶴見俊輔は日本の知性とも言われる人で、同志社大学での矢部さんの恩師と聞いています。実は私の手元にある『ひとが生まれる』は矢部さんからいただいたものでした。



◆ウクライナのお嫁さん

 私の友人(年齢は一回り以上の年下)で、チェルノブイリ原発救援活動でウクライナに派遣されていた人がいました。片道切符で行ったのですが、18年間ウクライナで暮らして、数年前に故郷の岡山に帰ってきたときには、うつくしいウクライナのお嫁さんと一緒に帰ってきました。
岡山の何か所かで彼を講師に反原発の講演会をしました。もっとあちこちで反原発の講演会をやりたいと考えていた私。
 お嫁さんは、遠い国の岡山で寂しいだろうと思いラボに誘いました。子どもたちの演じる「てぶくろ(ウクライナ民話)」などを見せてあげたり、ラボの若いお母さんと友達になれればいいかなと考えたところ、そうこうしているうちに妊娠して、お身体の調子がすぐれず、実現しませんでした。
 最近の年賀状に写真には、二人のかわいいお嬢さんが写っていました。二人の子どものお母さんになっています。
 帰省して、彼はしばらくは翻訳などの仕事をやっていたのですが、栃木県の大学からの誘いがあって、転居してしまいました。

 ラボでは国際交流参加者の課題図書として、『ひとが生まれる』(鶴見俊輔著)の中の「中浜万次郎」を子どもたちは読んでいます。1980年からですから40年以上です。なんと、彼・竹内高明くんは、大学の社会思想史の教材として『ひとが生まれる』を使っているとのことでした。 昔からの愛読書だったそうです。
 第一章は「中浜万次郎」ですが、第二章「田中正造」、第三章「金子ふみ子」の2人とも栃木県に関係するからとのこと。彼の勤務する大学は栃木県にあって、田中正造が戦った足尾銅山も近いし、金子ふみ子は最後に栃木刑務所で自殺したのでした。
 鶴見さんのこの本は、やさしいことばで人間の深い精神性やあるべき社会を中学生に語りかけていますが、大学生の授業で利用していることに竹内くんのセンスを嬉しく思いました。

 お嫁さんのお母さんはウクライナで無事のようでしたが、夫婦でのウクライナ支援活動に取り組んでいて忙しそうでした。以下は最近の彼からのメールです。
 「ロシアのウクライナ全面侵攻が始まり、連れ合いの家族はとりあえず無事なものの、諸団体のウクライナ支援の手伝いや、連れ合いが友人たちと始めたささやかな支援活動の手伝いで忙しい日々が始まりました。連れ合いは昨年7月、支援物資を持って単身キーウに行ってきました。その際の印象を「チェルノブイリ救援・中部」の機関紙に書いたものがありますので、興味がおありでしたらご覧下さい。以下のURLで、2~3ページ目です。」(2023.3.2.)

         http://www.chernobyl-chubu-jp.org/poreshe192_20221215.pdf

                                                      矢部 顕

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