
晴れた日の周辺の山々の色合いが 落ち着いた緑へと変化し始め 山肌に陽がさすと 美しさに目を奪われ うっとり眺めてしまう。ドイツトウヒの若葉も すこしづつ 大人びた一人前の針葉の形になりながら どこか初々しさがまぶしい。
遠い昔 学校に入りたての頃の 何にも知らない自分のようで その情景にぴったりの言葉を探しているうちに 日が暮れてしまう。
凡庸ながら…青葉の一語でいいのかもしれない。…もっとも その後かなり時間が過ぎても 不勉強がたたり脳内は相も変わらず青葉のまま…のつもりなのだが…枯れる寸前で言葉が出ない…というのが 冷酷なる現実なのでしょう。
でも…木々や山々の尊さを知ることができたのは 安寧に時間を経られたおかげではある かもしれない。
「青葉して針箱の中貝釦(ボタン):中山純子」