渡世人 ボランティアへ
災害地に行って来ましたぜ。日陰者の我々はこういう時には損得勘定無しで、かけつけます。組の親分が、現地の親分さんに話をつけてから参ります。
喧嘩ばかりが我々の仕事じゃござんせん。しかし今回ばかりは驚きました。現地の悲惨さも‼️ですが、堅気の皆さんが沢山押しかけてます。ボランティア?って言うんですか、大した時代だ。しかし我々の長年にわたる統率力とは違います。頂けねえ連中がいっぱいいました。勝手に人の家に上がり込んでドンドン片づけるなど、善意の押し付けをする奴が一番多い。作業道具を持たず来て、やることが出来ない奴も多い。自分の食料や水、活動に必要な道具を持参するのは、常識だ。手ぶらで来て避難所にズケズケ上がり込む連中は論外だ。
インスタ用に写真を撮ることに夢中になっている奴等には、一発食らわしてやりました。傷害罪だと騒いでいたが、回りの人達も笑ってました。何か政治家だかが来ていたが、奴らは視察したという事実だけだ。マスコミが帰ったらトットと帰っていった。黒塗りの運転手付きの車に泥を投げつけてやったぜ。回りから拍手喝采だったが、先生は何も言わず帰っていったよ!
とにかくテレビは、美しいボランティアの話や、かわいそうな被害者の顔を映すが、とんでもない連中ばかりだ。ワシは、言わないが現実はどろどろしたものだ。それにしてもマスコミもとんでもない。泥の中から子供が出てきたのに、直ぐ親にマイクを向ける。そんなことやって良いのか?内の若いのが、そいつに飛び蹴りを入れてマイクと機械を粉々にしていたよ。気持ちは分かる。その若いのは、は率先して遺体の運搬を手伝い群がるマスコミをさばいていたのだ。我慢の限界に来ていたのだ。遺族の方たちに手を取って感謝されたが、腕に彫り物を見つけて眼が点になっていた。
とにかくボランティアですか?あいつらはまず、ワシらの組に来てくれ、ちゃんと教えてやる。
それにしてもおかしくないですか、こんな時に人様に施すのは我々渡世人の勤めだ。そりゃそうでしょう?税金も払わず人様の上前をハネテ生きている。しかし堅気の方は、ちゃんと働いて税金も払って世の中に施す。これが当たり前だ、ボランティアとかいうのですか?あれじゃ月曜からの仕事は満足にはできねえ。ボランティアは渡世人とか売名行為の芸能人に任せなさい。
そして最後は、この方の出番だ。