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エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

蠟梅

2016年12月30日 | ポエム
そうなんですよ・・・。
もう蠟梅が咲いているのです。



しかも、甘い香りを放ちつつ。
実に、けしからぬ佇まい。
あまりにも、人の気を引くのです。



思わず、匂いに誘われてしまい我を忘れそうになってしまうのです。
蠟梅は、咲くと同時に朽ちてゆく。
まず最初に、花弁が茶色になって饐えてゆくのである。

花の盛りは、あまりにも短い。
その短さの中に﨟長けた美しさを秘めているのである。







「蠟梅や目尻の端の素とにほふ」







ソシンロウバイである。

ぼくは思わず、引き寄せ口づけた。
手に触れる刹那、蠟梅は震えた。



それが風によるものなのかどうか、分からない。
或いは、人の邪な気配に震えたのかもしれない。



そうであったとしても、限りなく嬉しい。



     荒 野人