そうなんですよ・・・。
もう蠟梅が咲いているのです。

しかも、甘い香りを放ちつつ。
実に、けしからぬ佇まい。
あまりにも、人の気を引くのです。

思わず、匂いに誘われてしまい我を忘れそうになってしまうのです。
蠟梅は、咲くと同時に朽ちてゆく。
まず最初に、花弁が茶色になって饐えてゆくのである。
花の盛りは、あまりにも短い。
その短さの中に﨟長けた美しさを秘めているのである。

「蠟梅や目尻の端の素とにほふ」

ソシンロウバイである。
ぼくは思わず、引き寄せ口づけた。
手に触れる刹那、蠟梅は震えた。

それが風によるものなのかどうか、分からない。
或いは、人の邪な気配に震えたのかもしれない。

そうであったとしても、限りなく嬉しい。
荒 野人
もう蠟梅が咲いているのです。

しかも、甘い香りを放ちつつ。
実に、けしからぬ佇まい。
あまりにも、人の気を引くのです。

思わず、匂いに誘われてしまい我を忘れそうになってしまうのです。
蠟梅は、咲くと同時に朽ちてゆく。
まず最初に、花弁が茶色になって饐えてゆくのである。
花の盛りは、あまりにも短い。
その短さの中に﨟長けた美しさを秘めているのである。

「蠟梅や目尻の端の素とにほふ」

ソシンロウバイである。
ぼくは思わず、引き寄せ口づけた。
手に触れる刹那、蠟梅は震えた。

それが風によるものなのかどうか、分からない。
或いは、人の邪な気配に震えたのかもしれない。

そうであったとしても、限りなく嬉しい。
荒 野人