この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 下 (100周年書き下ろし) | |
白石 一文 | |
講談社 |
白石一文 著 : この胸に深々と突き刺さる矢を抜け (下)
を、読みました。
主人公カワバタタケヒコは、ミリセカンドを感じることがある。
ほんの一瞬で、何かの流れが変わる瞬間。
若手政治家Nのスクープは、社会に大きな反響を呼んだが、
何者かの圧力で、記事の続行は不可能に。
そして、グラビアアイドルとその事務所の男とは
なにやらキナ臭い話になって行く中、
主人公が見つけ出す、人生の真理とは?
深々と突き刺さる矢とは、いったい何なのか?
混沌とした社会情勢、世界経済。
その背景や、統計、また論文など、
沢山の引用の果てに、作者が見せたかった世界は
実はとてもシンプルそのものでした。
格差に苦しむ沢山の人々や、
巨万の富を得ている、有名人や企業家。
そんな今の社会情勢は、昨夏読んだ
“罪と罰”の背景と似ている気がしました。
100年以上前の、極貧にあえいでいたロシアと、
2008年の東京が、なぜか重なることに、
得体のしれない恐怖を感じました。