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プライドと情熱—ライス国務長官物語 |
Antonia Felix,渡邊 玲子 | |
角川学芸出版 |
アントニア フェリックス 著 : プライドと情熱 ライス国務長官物語
を、読みました。
前政権で国務長官在任中、大統領よりも強い存在感を醸し出していたコンドリーザ・ライス。
時として、恐ろしい形相で演説する様子なども伝えられていたので
影の支配者的なイメージがなかったわけではありませんが、
そんな印象よりも、強く感じてしまうあふれる知性とはなにか?知りたくてこの本を読みました。
コンドリーザが皆から親しみを込めて“コンディ”と呼ばれていることから
アメリカでコンディというタイトルで、長官在任中に発行されているので、
あの当時イラク戦争で散々叩かれた事へのソフトな反論や、
強権的なイメージに対して、芸術面やスポーツの分野で
彼女が非常に類稀な才能を持っていることや、マイノリティーの地位向上の
土台作りとして、青少年の自立支援センターの設立などの
ボランティアにも積極的に尽力しているといった美談で飾られていました。
しかし、その美談を差し引いてもなお、コンディの魅力は素晴らしく
多くの人を魅了しても余りあるものなのだと思いました。
人種差別の最も激しい南部の街で生まれ育ったコンディ。
しかし、賢明な父と母はその差別の中で生まれて連鎖してゆく
憎悪や恐怖から大切な娘を切り離しました。
出来るだけ、そのようなシーンから遠ざけ
やむえぬ理由で、そういう場面に遭遇したときは
「アナタとは関係ないことなのよ」と、きっぱりと言い切りました。
そして、白人よりも2倍素晴らしい人間になる事。
それを教育の核心に据え、英才教育を施します。
その期待に見事に応え、それ以上の結果を成し遂げてゆくコンディ。
パーティードレスを抜群のプロポーションで着こなすことができるのも
お今もなお、健康維持や仕事での高いポテンシャルを保つために
厳しいトレーニングを欠かさない証拠です。
女性でしかも黒人で、この地位までこの若さで上り詰めた陰には
多くの敵があるのは、必然ですが
その才能と、能力はやっぱりすごいなと思います。
そして、彼女のルーツである祖父母たちは奴隷ながらも
大学教育を受けた努力家であったというのも、
やはり血のなせる業なんだろうなと思いました。