絹糸のしらべ

一絃の琴、きもの、文学etc…日本人のDNAが目を覚ます・・・

エリート夫婦の事件

2007年11月11日 11時11分19秒 | Weblog
「八月の…」あっという間に読めてしまいました。。。
それだけ面白いかというとそうでもない。
読みやすい、平易である、しかしそこに感情や現実に切り込んでいくような
鋭さがあるわけではない。
普通の人の日常とその感情の流れを細かく書いているけれども
これが現代の日本人の日常だ、とか言われても自分にはピンとは来ないが…。
近現代文学史のいわゆる「私小説」の平成版か?
(ああ、そうじゃないですね、フィクションでした)

ふ~ん、で終わった自分の読後感、しかし、ふとある事柄に思い至った。
それはちょっと前に起こった、エリート夫婦の事件(妻が夫を殺してバラバラにした)だ。
この小説でも、離婚話前に夫婦がどうでもいいことで衝突する場面がある。
それはある種平常心を逸脱した、えもいわれぬ行為である。
しかし、主人公達は「刃物沙汰」にはならず別れていく。。。
現実のエリート夫婦は、相手の未来を奪う行為にまで発展していった。
いまや、芥川賞受賞作品よりずっと劇的な現実が存在するということか?
(驚くような事件が多すぎる)