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パリ控訴院 タンカー沈没による環境汚染で国際石油会社トタル等の有罪判決を支持(その2完)

2010-04-17 15:15:43 | EU加盟国・EU機関の動向

(2) パリ大審裁判所刑事法廷判決における法律等の解釈
 裁判所は「環境法は有責者の過失責任の追及には直接または近因原因を与えたことを要しない」と考え、トタルの責任はチャーター主または積荷主としてではなく船舶の航行につき“Ship Vetting Services”の責任者としての管理責任を問うている。“Ship Vetting Services”とは、「船主の評判」、「過去の検査記録」、SIRE(Ship Inspection Report Programme)

CDI(Chemical Disribution Institute)」、「manning」等に代表される様々な情報をもとに、各船に評価・点数付けをする情報管理システムであり、傭船時の参考に供されるものである。(Vetting Servicesの内容につき詳しくは「国際タンカー船主協会(intertanko)」のサイト等で確認できる)

 このヴェッティングの利用慣行は、輸送を外部委託するという主要石油メジャーの取組により準備された。メジャー自身が所有する船団を売り払い、特定の会社からタンカーを雇い入れて石油の搬送を始めたとき、船舶の安全性等にかかる情報管理システムである“vetting system”を導入した。
 石油会社は調査を命じ常時アクセスできる「船舶調査報告(Ship Inspection Report)」と呼ばれるデータベースを調べた結果を記録することでタンカー等輸送追跡を維持した。この慣行は任意であり、石油会社の好意に依存する。

 パリ大審裁判所の裁判官は、トタルの行為はエリカ号につき次のような情報があるにも拘らずチャーターしたこと自体が「無謀(recklessly)」であったと判断した。
①トタルが情報管理システム(vetting system)を利用して調べた時点で、エリカは造船後23年経過していた。
②エリカ号は3つの国の旗と8つの異なる名前をもっていた(旗の変更は船の所有権が移転していることを想定させる)。また、エリカ号は4社の査定会社により分類・査定されているが、最新の3か月前(5年間の特別調査の間)に4社の管理会社により取組まれていた。
③エリカ号が搬送するものは極めて腐食性の高いものであった。

(3)民事責任に関する裁判所の判断
 原告の大部分は、すでに汚染に伴う物質的損害に関し「国際油濁補償基金(IOPCF)」または国から何らかの補償を得ていた。裁判所は原告に物質的な損失が残っており(すなわち、IOPCFからの補償が支払われなかった)、また観光地である地元は風評低下や公共的な損失を被ったと判断した。
 最終的に、裁判所は環境面での被告に損失補償の請求権を認めたのである。

(4) Christine Gateau弁護士のパリ大審裁判所刑事法廷判決へのコメント
 刑事裁判では、通常、裁判所は被告に対し最も処分の軽い法律を適用する。また法律を厳密かつ狭義に解釈しなければならない。
 本件の場合、裁判所の「MARPOL条約」の適用を回避する試みはこれらの2つの原則をひそかに侵害した。
 海洋汚染につき損害をもたらした目的物(タンカー)につき被告に適用した「事実上のコントロール(de facto control)」の概念は刑事責任の範囲を広げた。法廷はとりわけ石油の輸送チェーンの他の主役が破産するなどから、最も資産を持つ先(トタル)を対象とすべく国内法や国際法を解釈したと思われる。そのような法解釈は懸念材料である。

 エリカ号判決は、諸刃の剣である。一方では、石油会社に対し海事事故やその責任を回避するため石油製品の搬送システムの見直しに導くことになる。しかし、他方では石油会社に対し(1)新たな規則等による責任回避の試みや、(2)スペイン沖で沈没した石油タンカー「プレステージ号」の場合のように貨物の主有権が一時的に十分な支払能力のない会社に譲渡されるといったより不透明(more opaque)なシステムの導入を誘導する可能性がある。
 また、既存の立法のもとで責任の根拠を提供するなら会社にモニタリング・システムの利用を思いとどまらせることになるかも知れない。

(5)環境被害に関する損害裁判(Christine Gateau弁護士の解説)
 今回の大審裁判所の判決は環境被害に係る初めての判決ではないが、エリカ号判決は注目すべき判決ではある。最も重要な点はこの主の海洋汚染事故における補償問題のガイダンスを提供する。

 今回の判決で裁判所は環境法第142-2条に基づき一定の条件の下でフランス環境保護協会(French environmental associations)自身による環境保護に関する損害賠償請求権を明確に認定した。(筆者注19)
 損害賠償請求権の決定の際、裁判所は汚染の規模、汚染の結果に対する同協会の役割および国内および国際的に見た協会の特性を説明しなければならない。

 フランスの行政機関は、特定の領域に関し環境の保護、管理および保全につき責任を負い、従って汚染につき脆弱性のある地域での実際の損害内容や証明すべきかたちでの地理的限度を環境面の損失補償を請求しなければならない。

 エリカ号事件で裁判所は、ブルターニュ地方のモルビアン県当局(Département du Morbihan)とフランス鳥類保護連盟(Ligue pour la Protection des Oiseaux:LPO) (筆者注20)の請求につき、前者については100万ユーロ(約1億2,700万円)、後者については30万ユーロ(約3,810万円)をそれぞれ認めた(なお、筆者は判決文にもとづき正確に確認できていないが、LPOのパリ控訴院判決に関するプレス・リリースではLPOは同義的責任賠償(10万ユーロ)、物質的損害賠償(30万ユーロ)および環境破壊に関する責任(30万ユーロ)につき裁判所の支持が得られたと述べている)。

 その他の原告は裁判所が証拠として認めるため必要とする条件を充足しなかったため棄却された。しかしながら、本判決は損害補償に当るフランスの伝統的補償原則の考えが守られ、とりわけ懲罰的損害賠償の考えは否定された。

5.タンカーによる海洋汚染対策にかかる米国やEU主要国の法整備の状況
 「油流出による海洋汚染をいかに最小限にとどめるかは、事故を想定して事前にいかに準備するかにかかっている。過去に大きな事故を経験し、その一方では石油開発を発展させてきた英国や米国は、未然防止のために多額の資金を配分するようになった。事故が起きてから除去費用や賠償費を支払うよりも、防止のために資金を振り向けた方が安上がりであることを石油メジャーは経験で学んだのである。油濁防止の先進国である英国及び米国は、法律に裏付けされた緊急時対応計画を準備しており、周到な事故対策措置をとっている。」( 「石油流出に関する危機管理体制の国際比較」より引用)

(1)海洋汚染対策
 IMO(当時はIMCO)は、1973 年に海洋汚染に関する国際会議を開催し「1973 年の船舶からの汚染の防止に関する国際条約」を締結した。この条約は、規制対象となる油の範囲を従来の重質油だけでなく全ての油に拡大するとともに、有害液体物質、汚水等も規制対象に含めること等によって海洋汚染を防止するための包括的な規制を指向した内容となっている(その後。1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年議定書( International Convention for the Prevention of Pollution from Ships, 1973, as modified by the Protocol of 1978 relating thereto)いわゆる「MARPOL 条約(MARPOL 73/78)」が採択された。

 本議定書は、1983年(昭和58年)10月2日に発効(議定書の規定により、附属書IIについては、1987年(昭和61年)4月6日に発効)し、わが国においても「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律」(昭和45年12月25日法律第136号)を全面改正し、同日から議定書の規定を施行した。なお、議定書の附属書のうち、附属書I(油に関する規則)および附属書IIは強制附属書として議定書締約国は全て実施する義務があるが、附属書III(船舶からのふん尿等の排出に関する規制)~V(船舶からの廃棄物の排出に関する規制)については選択附属書として実施を選択できることとされている。
 
(2)国際的な油濁汚染補償制度
 石油タンカーの積荷である原油や重油等(いわゆる黒油)および燃料油である重油の油濁事故については、「1992年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(1992年責任条約)International Convention on Civil Liability for Oil Pollution Damage)CLC」および「1992年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約(1992年国際基金条約)International Convention on the Establishment of an International Fund for Oil Pollution Damage)FC」の油濁2条約による補償体制が確立されている。油タンカー以外の船舶の燃料油による油濁事故については「海事債権についての責任の制限に関する条約(Convention on Limitation of Liability for Maritime Claims:LLMC)」の枠内で対処されてきた。

 このため、これら油濁事故による損害に対して確実な賠償を確保する観点から、1996年より保険付保の強制化を主な目的としてIMO法律委員会で審議されてきた。その結果、「燃料油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約(International Convention on Civil Liability for Bunker Oil Pollution Damage:通称バンカー条約)」に関する外交会議が開催され、2001年3月23日に採択された。(筆者注21)

 一方、IMO では、海洋汚染防止に関する国際世論の高まり等を背景に、条約の改正を行ってきており、2004年年4 月には、附属書IV(船舶からのふん尿等の排出に関する規制)および附属書V(船舶からの廃棄物の排出に関する規制)の改正案が、第51 回海洋環境保護委員会(MEPC51)において採択されている。

(3)米国の法整備と危機管理体制
 エクソン・バルディーズ号の事故を契機に、「1990 年油濁法(Oil Pollution Act of 1990:OPA)(33 U.S.C. 40)」が成立した。その内容は石油業界からみれば極めて厳しく、環境保護の立場からみれば最も先駆的な内容といわれている。

 なお、主要国がIMO の国際条約に加盟し、それらに準拠して国内法を定めているのに対し、アメリカはこれらに加盟せず、諸外国では受け入れ難いような厳しい条件をつけたOPA.を油流出事故の法的根拠にしていることが特徴である。

 また、危機管理体制としては、①国家緊急時対応計画NCP:National Contingency Plan、②地域緊急時対応計画RCP:Regional Contingency Plan、③地区緊急時対応計画ACP:Area Contingency Plan がある。

(4)英国の法整備と危機管理体制
 英国の緊急時対応計画は、1995 年the Merchant Shipping Act(1997 年修正)および国際条約であるOPRC 条約に準拠している。1998 年the Merchant Shipping
(Oil Pollution Preparedness, Response and Co-operation Convention) Regulations は、特に港湾当局に対して国家緊急時対応計画と互換性のある石油汚染緊急計画を作成することを義務付けている。

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(筆者注19) このような解釈については、ロンドン大学キングズカレッジのダナイ・パパドプロウ博士(Danai Papadopoulou)が「環境破壊におけるフランス環境保護協会の役割―エリア号事故における優遇(The Role of French Environmental Associations in Civil Liability for Environmental Harm: Courtesy of Erika)」論文で論じている。

(筆者注20) フランス鳥類保護連盟は鳥類を指標に、その生息環境の保護を目的に活動する国際環境NGO「バードライフ・インターナショナル(BirdLife International)(本部・英国ケンブリッジ)」のフランスのメンバー団体である。

(筆者注21) 日本船主協会サイトの解説等から引用。

[参照URL]
http://www.foe.co.uk/resource/briefings/wake_erika_oil_spill.html(世界的NGOであるFriend of the Earthのエリカ号事件に係る環境破壊対策の英国政府への働きかけ声明文)
http://www.total.com/en/about-total/special-reports/erika/legal-proceedings-601454.html(トタルのHPにおける裁判の経緯解説)
http://www.total.com/en/about-total/news/news-940500.html&idActu=2329
(2010年3月30日のパリ控訴院判決を受けた解説:トタルのHPにおける裁判の経緯解説)
http://jurist.law.pitt.edu/paperchase/2010/03/france-appeals-upholds-oil-company.php(ピッツバーグ大学ロースクールのPaperchase:控訴院判決の解説)
http://www.internationallawoffice.com/Newsletters/Detail.aspx?g=ebb82b1d-afeb-4701-84af-762ef0191a4b&redir=1(弁護士Christine Gateau氏の判例評釈論文)
http://www.legifrance.gouv.fr/affichCodeArticle.do;jsessionid=BD182B0988E5B9B577EC049127DA110A.tpdjo04v_2?idArticle=LEGIARTI000006833265&cidTexte=LEGITEXT000006074220&dateTexte=20080802 (フランス環境法第218-22条)
http://www.legifrance.gouv.fr/affichCodeArticle.do;jsessionid=D9E3E89971016C30919295E48ABBA962.tpdjo04v_1?idArticle=LEGIARTI000006832963&cidTexte=LEGITEXT000006074220&dateTexte=20080324(フランス環境法第142-2条)
http://www.imo.org/Conventions/mainframe.asp?topic_id=255 (IMOの「MARPOL条約(MARPOL 73/78)」に関するサイト)
http://www.imo.org/Conventions/contents.asp?topic_id=256&doc_id=666(バンカー条約の内容)

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パリ控訴院タンカー沈没による環境汚染で国際石油会社トタル等の有罪判決を支持(その1)

2010-04-17 14:29:45 | EU加盟国・EU機関の動向

 

 Last Updated:April 1,2021

 2010年3月30日、フランスのパリ控訴院(Cour d’appel de Paris)は1999年12月12日に発生した老朽タンカー「エリカ号(Erika)」の沈没とそれに伴うフランス史上最悪というブルターニュ海岸の重油汚染問題につき2008年1月16日に出された第一審のパリ大審裁判所(Tribunal de grande instance)刑事法廷の判決を支持し、エリカの依頼主である「トタル(Total.S.A.) (筆者注1)および老朽船(25年前に建造され腐食問題等があった)の航行性・安全性認定につき十分な検査義務懈怠につきイタリア国際船級認定協会会員会社リナ(RINA) (筆者注2)に各37万5,000ユーロ(約4,613万円)の過失・注意義務違反による「罰金刑」を言い渡した。

 また、これら2社はフランスの複数の地方自治体や団体等に対する「損害賠償金」として各2億60万ユーロ(約250億円)の支払が命じられた。

 さらに個人の責任に関しては、エリカ号の船主であるジュゼッペ・サバレーゼ氏(Guiseppe Savarese)と同船の技術・海運管理者であるアントニオ・ポララ氏(Antonio Pollara)に対し各7万5,000ユーロ(約9,450万円)の最高額の罰金刑が科された。

 この裁判問題は、フランス・ドイツだけでなく米国のメディアやロースクール (筆者注3)も環境法裁判問題として大きく取り上げられている。しかし、わが国では一部のブログ等で紹介されているのみである。(今回のブログ原稿執筆中にも4月3日午後5時過ぎ、オーストラリアのグレート・ケッペル島から約70km東の浅瀬で中国最大の海運グループ所有(中远集团(Cosco Group)の石炭バルク船「深能一號(Shen Neng 1)」(筆者注4)が座礁したニュースが入ってきた。深能一號は1993年製造、全長230m、65,000トンの石炭と950トンの燃料重油を積んでおり、重油がすでに漏れ出しており、今後、船体が折れる恐れもありクイーンズランド州政府は連邦政府と対策を協議していると現地メディアが報じている)。

 世界的に見てわが国の原油輸入量は最大規模である。今後のわが国の石油資本のチャーター責任等を問われうる問題として現時点での可能な限り正確な内容を紹介する。またエリカ号は日本が造船した船であり、わが国でも 老齢シングルハルタンカーの油流出事故を契機とした造船・保守・安全技術等から見たわが国の対応や、国際海事機関(International Maritime Organization: IMO)(筆者5)を中心とする課題の取組等が行われているが (筆者注6)、専門外の筆者はあくまで裁判の過程およびフランス環境法の海事事故罰則法等を中心に紹介する。

 海に囲まれたわが国では1997年1月大しけの島根県沖において、C重油約19,000キロリッター(k/l)を積んで上海からペトロパブロフスクへ航行中のロシア船籍タンカー「ナホトカ号」(建造後26年経過)に破断事故が発生、沈没した事故の記憶も新しい。(筆者7)

 なお、筆者は本文で述べるとおり今回の判決の根拠となる「環境法」の罰則規定とパリ控訴院の判決文との比較が必須と考えたが、現時点では判決分野や詳細な解説資料は入手できていない。(筆者注8)トタル等被告は今後フランスの最高裁に当たる破棄院(Cour de Cassation)(筆者注9)への上告の可能性につき判決内容に基づき慎重な見直しを行っており、裁判の経緯はなお環境裁判の先例として注目すべき問題といえる。

 今回は、2回に分けて掲載する。

1.事実関係と裁判の経緯 (筆者注10)
 1999年12月12日、トタルがチャーターした有害性の高い燃料(toxic fuel)C重油約3万トン以上を搭載したマルタ船籍タンカー「エリカ号」が荒天の中で2つに分断した。(筆者注11)
約2万トン以上の有害燃料がフランス西ブルターニュから30海里のガスコーニュ湾に流失し、約400キロメートル以上のフランスの海岸は継続的な汚染を被り15万羽以上の鳥が死んだ。

 7年間にわたる調査に続き、13週にわたる裁判所の審理の後、2008年1月16日にパリ大審裁判所刑事法廷は最終的かつ海事法や海洋汚染環境問題で最も重要な影響を持つ判決を下した。(筆者注12)

2.海運事故の複雑性の背景
 1980年代以降、メジャーズはより安価な搬送船隊をセールスし始めたが、石油の船舶での搬送体制はますます複雑化している。すなわち多くの会社が関わり以下述べるとおりエリカの最後の輸送旅で見られるとおり、責任関係も極めて不明確になってきているのが現実である。
①エリカ号の所有者はマルタのテヴェーレ・シッピング(Tevere Shipping)であるが、その主たる株主がジュゼッペ・サバレーゼ氏である(同氏はロンドン住で個人としてエリカ号の財務、管理、法律、商業、船体保険およびP&I保険につき責任をもつ立場であった)。
②船級証書の発行担当の船級認定会社は、イタリアのRINAであった
③エリカ号は日本で1975年製造された(他の同規模のタンカーより鉄鋼が10%少ないなど安価なことから非常に人気のある船であった)。
④エリカ号はマルタ国旗(マルタ国籍)を掲げていた。(筆者注13)
⑤期間契約傭船主(time charter)はセルモント・アームシップ(Selmont Armship)であった。
⑥トタルは、所有者のほか、船積会社、航海チャーター主、安全保障機関(vetting agency)という4つの法人格として活動していた。

 原告は、フランスの州(province(地域圏))、環境保護協会、フランス沿岸地域、重油の撤去に多大な負担を負った関係機関、町等であった。

 さらに驚いたことに、パリ大審裁判所刑事法廷は通常海運オイル流失等の補償機関である「国際油濁補償基金(IOPCF)」による補償を否定した。

3.裁判の経緯
(1)2005年11月、ダンケルク商業裁判所(Tribunal de Commerce de Dunkerque) (筆者注14)が指名した専門家グループによる司法調査(judicial inquiry)が完了した。

(2)2007年2月~6月、パリ大審裁判所刑事法廷 (筆者注15)で審理が行われた。

(3)2008年1月16日パリ大審裁判所刑事法廷判決が下りた。1月末にトタルや検事および数人が判決を不服として控訴した。1月16日、トタルの同判決の解説。

1月25日、トタルは(1)汚染の犠牲者に直ちにかつ取消不能な形で裁判所が定めた補償金を支払うこと,

(2) 海上輸送の安全性を向上させるという望ましい目標に反し、不当であると判断した裁判所の決定に対しては上訴する、旨公開した。

(4)2009年1月5日、パリ控訴院で控訴審理手続が開始された。

4.パリ控訴院判決を巡る法的論点
 パリ控訴院判決が支持した2008年1月のパリ大審裁判所刑事法廷判決につき筆者の友人もいる国際的なロー・ファーム“HoganLovell LLP”の海事法専門の若手弁護士Christine Gateau氏の論文「裁判所は重油流失にかかる待ち焦がれた判決を下す(2008年4月30日 Court Issues Long-Awaited Decision on Oil Spill Liability)」が詳細な分析を行っており、本ブログでも全面的に引用した。類似のものがないだけに貴重な分析論文である(なお、ガトー弁護士の論文は登録(無料)しないと閲覧は出来ない)。

Christine Gateau氏

(1)フランス環境法の刑事責任の規定内容
 後述する「MARPOL条約」は、船長(commanding officer)や船主(owner)等は海洋汚染を引き起こす原因となる行為を意図をもって行ったとき、または当該行為が炭化カーボン(Hydrocarbons)の流失原因に関し船に損傷を与えるであろうことの蓋然性を認識していたときのみ責任を問われると定める。

 しかしながら、フランスの2010年4月3日最新改正統合版「環境法(Code de l'environnement)」(筆者注16)Article L218-10条 (筆者注17)はこのMARPOL条約に規定にかかわらず別の原則すなわちArticle L218-22条に基づく構成要件を異にした刑事罰を定める旨明記している。(筆者注18)

 すなわち、同条(L218-22)は概要次のとおり定める(筆者が仮訳)。
第Ⅰ項「フランスおよびその他の船籍の船長等船舶や石油プラットフォームのコントロール責任者が刑事法典121-3条に定める条件のもとで軽率(imprudence)、過失(négligence)または法律・規則の不遵守(inobservation)を引き起こしたとき、および1969年「油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約」に定める領海、公海上で海難事故につき炭化カーボンの流失の回避等の措置を怠ったときは、現行規定に基づき罰することができる(Sans préjudice des peines prévues)。
 当該違反行為が218-10条に言う船舶や石油プラットフォームにあたるときは、2年以下の拘禁刑および20万ユーロ(約2,500万円)以下の罰金刑を科す。」

第Ⅱ項「第1項に定める海事事故が、直接または間接的に法律や規則等に基づく特別な安全および慎重保持義務の明らかな意図的違反であり、環境に対する重大な被害を与えたとされるときは、次の各号の刑に処する。
第1号 船舶または石油プラットフォームが218-10条にあたるときは5年以下の拘禁刑および 50万ユーロ(約6,250万円)以下の罰金刑を科す。

第2号 船舶または石油プラットフォームが218-11条および218-12条にあたるときは、3年以下の拘禁刑および 30万ユーロ(約3,750万円)以下の罰金刑を科す。

第3号 船舶または機器が218-13条にあたるときは、6,000ユーロ(約75万円)以下の罰金刑を科す。
その違反行為が218-10、218-11および218-12にあたる船舶および石油プラットフォームにあたるときは、積荷の価値またはチャーター料(la valeur de la cargaison transportée ou du fret)の2倍相当額までを科すことができる。

第III項 本条第2項第1段落につき、以下の刑を併科できる。

第1号 違反行為が218-10条にあたる新造船により行われたときは、7年以下の拘禁刑および70万ユーロ(8,750万円)以下の罰金刑。

第2号 218-11条および218-12条にあたる船舶によるときは、5年以下の拘禁刑および50万ユーロ(6,250万円)以下の罰金刑。

上記罰金刑は、船舶の価値または積荷の価値またはチャーター料の3倍相当額までを科すことができる。

第IV項 本条第Ⅰ項、第Ⅱ項に定める罰則は、汚染原因を生じさせた船舶等の所有者、法律上の代表者(法人の場合、船舶および油プラットフォームの運行命令権を有する船長等)運航管理責任者に対し適用する。

第V項 現行規定により船舶の重大な安全性、および人命の危険ならびに環境汚染の回避のための投棄行為は罰することは出来ない。 

なお、フランス環境法は船舶やプラットフォームの積載量等により罰則の内容を定めており、関係条文である同法第218-10条、218-11条、218-12条につき参考までに仮訳しておく。

第218-10条
第Ⅰ項 フランス船籍の船長は、「1973 年の船舶からの汚染の防止に関する国際条約」および「MARPOL 条約(MARPOL 73/78)」ならびにその後の改正内容に基づき次の区分に該当する船舶による汚染につき10年以下の拘禁刑および100万ユーロ(約1億2700万円)以下の罰金に処する。
第1号 タンカーで総トン数が150バレル以上のもの。
第2号 タンカー以外で船舶の燃料タンク容量の総トン数が500バレル以上のもの。

第II項 上記現行規定による罰則は. フランス籍のプラットフォームにつき責任を有するものがMARPOL 条約附則第9、第10に定める違反行為を行ったときに適用する。

第III項 第Ⅰ項の罰金刑は、船舶の価値または積荷の価値の4倍相当額までを科すことができる。

第218-11条
フランス船籍の船長は、218-10条にいう条約の基づきMARPOL 条約(MARPOL 73/78)」ならびにその後の改正内容に基づき次の区分に該当する船舶による汚染につき7年以下の拘禁刑および70万ユーロ(約8,890万円)以下の罰金に処する。

第1号 タンカーで総トン数が150バレル未満のもの。
第2号 タンカー以外で船舶の燃料タンク容量の総トン数が500バレル未満でかつ設置推進力が150キロワット以上のもの。

第218-12条
第218-11条にいう刑罰は、第218-10条に定めるMARPOL 条約(MARPOL 73/78)」附則第9、第10に定める海への投棄の違反行為を行ったすべての港湾用エンジン付船舶、曳航用または後押し用エンジン付大型はしけ(tous engins portuaires, chalands ou bateaux citernes fluviaux, qu'ils soient automoteurs , remorqués ou poussés)に適用する。

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(筆者注1) 「トタル」はフランスを代表する国際石油ガス企業。英語名はTotal S.A.で、「トタール」ともいう。2000年にフランスの国際石油企業Total Fina SAおよび同じくフランスの国営石油会社Elf Aquitaine SAが合併してTotalFinaElf SAとして設立された。2003年に社名をTotal S.A .に変更した。世界各地で石油・天然ガスの探鉱、生産、輸送、石油精製・販売、石油化学および発電の事業を行っている。2006年の売上高は約1,300億ユーロ(約16兆3,800億円)、従業員数は約9万5,000名、純利益は約120億ユーロ(約1兆5,100億円)、保有する石油・天然ガスの確認可採埋蔵量は約110億バレル(石油換算)である。

(筆者注2) 日本の国際船級認定機関である「ClassNK」は、世界の90か国以上の政府から、その国に船籍を置く船舶に対して、海上における人命の安全のための国際条約、満載喫水線に関する国際条約、船舶からの汚染の防止のための国際条約、あるいは船籍国の国内規則に基づき検査を行い、証書を発行する権限を与えられている。エリカ号も最初の船級認定協会はClassNKである。
 今回の裁判の被告であるRINA (Registro Italiano Navale )も、ロイズ等と同様、国際船級認定機関である。

(筆者注3) エリカ号事件についてはピッツバーグ大学ロースクールの情報サイト“Jurist Paper Chase”が3月30日に報じている。そこでは、重油の流失事故に基づき厳しい罰(懲罰的損害賠償)を受けた事例として1989年3 月24 日エクソン・バルディーズ号がアラスカのプリンス・ウィリアム・サウンドで座礁して船体が亀裂し、41,600k/l の原油を流失した事故を取り上げている。

 本海事裁判では、裁判所により物的損害賠償のほかに懲罰的損害賠償(懲罰的損害賠償は、主に英米法において用いられる制度であり、加害者の不法行為の非難性が特に強い場合に抑止・制裁の意味を込めて実際の損害補填としての賠償に上乗せされて課される賠償のことを指す)が科された。

 この裁判について筆者なりに独自に調べたところ、元大東通商 安藤誠二氏「連邦海事法に於ける懲罰的損害賠償金 Exxon Valdez 号事件連邦最高裁判決 Exxon Shipping Co. et al v. Baker et al (USSC No. 07-219, Decided June 25, 2008)」において下級審から連邦最高裁判決にいたる長期間の裁判判決の内容を逐一詳細にまとめている。

 エクソン裁判についてはWikipediaでも詳しく解説されておりここでは省略するが、米国の懲罰的損害賠償制度についてはわが国でも最近、消費者庁「集団的消費者被害救済制度研究会」等の場で検討が行われており、おおもとの米国でもそのあり方を巡る一連の連邦最高裁判決や議論が高まっているといえる。

 安藤論文に基づきエクソン裁判の争点を整理すると次のとおりとなる。

Phase I(Exxon 社とHazelwood 船長の無謀(recklessness) 認定と付帯する懲罰的損害賠償金の可否)、Phase II(漁業者とアラスカ原住民に対する填補損害賠償金の確定)、Phase III(懲罰的損害賠償額の決定)の3 段階に分かれた。

Phase I では、Hazelwood 船長の酒癖、事故当夜の行為、および酒癖治療の無効化につきアンカレジ地方裁判所の陪審は、Hazelwood 船長とExxon 社が共に無謀であり、そのため懲罰的損害賠償金の責任妥当性があると判断した。

Phase II で同陪審員は漁業者に対する填補損害賠償金を2 億8,700万ドル(約266億9000万円)と裁定した。
 また、アラスカ原住民は2,250 万ドル(約20億9,200万円)の填補損害賠償金で和解した。

さらに、Phase III では、陪審はExxon 社に対して50億ドル(約4,650億円)、Hazelwood 船長に対して5 ,000ドル(約46万円)の懲罰的損害賠償金を評決した。これをエクソンが不服とし控訴しまさに地裁、連邦控訴裁、連邦最高裁を行き来するロングラン裁判が始まったのである。

 なお、安藤論文は2008 年7 月23 日脱稿であることから連邦最高裁から差し戻された後の第9巡回区連邦控訴裁判所の判決については言及していない。
 このため、筆者は2009年6月15日の同控訴裁判所の差し戻し判決内容につき補足しておくと、最終的に原告は請求権発生日からの利息約7,000万ドル(約65億1,000万円)を含む5億750万ドル(約472億円)を受け取ることとなった。

(筆者注4) 「深能一號」は中国最大の海運会社「中远集团総公司(Cosco Group:コスコ・グループ)」の所有船であり、詳細はWikipedia でも紹介されている。 IMOの船舶登録番号:9040871 1993年築 DWT(積載重量トン) 70181トン、 中国コスコ・グループ(COSCO グループ所有船)である。
 なお、4月7日夕方、筆者は中远集团HPの船舶所有一覧で「深能一號」を探したがなぜか見当たらなかった。

(筆者注5) 国際海事機関(International Maritime Organization : IMO)については外務省のサイトで詳しく解説されている。

(筆者注6) わが国の資料としては、 平方 勝ほか 先進的構造研究プロジェクトレポート「 単船殻タンカー延命使用(CAS適用)に関連するIMOの動向」(「タンカーによる大規模油汚染の防止対策に関する研究」の中の「ダブルハルタンカーの構造の経年劣化に関する研究」の成果のひとつ)、「油流出に関する国際シンポジウム(石油連盟主催の国際会議):「タンカー事故:周辺国の蒙る被害と課題 - 経済的・技術的視点から -」2003年2月における川野 始「タンカー構造と船体の破損強度について」、岩瀬 嘉之「IMOバラストタンク塗装性能基準と当社(大日本塗装株式会社)の国内認証制度への対応」等を参照した。

(筆者注7) 1997年1月2日未明,大しけの日本海(島根県隠岐島沖)において、暖房用C重油約19,000k/lを積んで上海からペトロパブロフスクへ航行中のロシア船籍タンカー「ナホトカ号」(建造後26年経過)に破断事故が発生、船体は水深約2,500 mの海底に沈没し、積み荷の重油は、約6,240 k/lが海上に流出。また、海底に沈んだ船体の油タンクに残る重油約12,500 k/lの一部はその後も漏出を続けている。(福井県衛生環境研究センターサイトから引用)。

 この被害に対する補償裁判について紹介しておく。1999年11月、地方公共団体、漁業関係者、観光業者などは、福井地方裁判所において「船主(プリスコ・トラフィック・リミテッド(ロシア)、「P&I 保険(船舶所有者または裸用船者が船舶の運航・使用または管理に伴って発生した法律上の賠償責任や費用を負担することによって被る損害に対して支払いする賠償責任保険。賠償金の額はその事故の大小にかかわらず、契約の際に取り決めた「事故てん補限度額」を限度とする。)会社」および「国際油濁補償基金(IOPCF)」を被告とする訴訟を開始した。同年12月、国(海上保安庁、防衛庁、国土交通省) および海上災害防止センターは、船主および船主責任保険組合:UKクラブ(UK P&I Club:英国)に対する請求訴訟を東京地方裁判所に提起した。

 その結果、2002年8月30日、国および海上災害防止センターが、ナホトカ号の船舶所有者に対して油防除により生じた損害賠償の支払いを請求した訴訟は和解した。これを受けて、地方公共団体、電力会社、観光業者並びに漁業関係者などが、船主・P&I 保険会社および国際油濁補償基金に提起していた訴訟も和解に至った(国や地方自治体等の請求総額358億1,400万円に対し補償総額は261億2,700万円である)。(地球環境研究Vol.8(2006)「ナホトカ号重油流出事故における地方公共団体の補償請求の査定基準について」国土交通省の公表資料から引用。

(筆者注8) 本文で述べるとおり、フランス環境法に定める罰則は罰金以外に拘禁刑もある。その意味で筆者はなぜ裁判所は個人責任があると判断したにもかかわらず拘禁刑を判示しなかったのかを判決文等で確認する必要があった。

(筆者注9) 破棄院はパリに1 庁設置されており、下級裁判所の判決に対する例外的不服申立てである破棄申立てを管轄する。

(筆者注10) 事実関係については裁判所の判決文が入手できていないため、トタル社公式サイトの情報控訴時の対外向け文書(Understanding ERIKA Appeal )(海事に関する専門用語の解説も兼ねている)国際的な海事事故補償制度や原告団の構成など詳しい)の解説等で補強した。

(筆者注11) エリカ号の沈没時の詳しい模様(動画)はトタルの特別レポートサイトで見ることができる。Timelineの画面右のvideoをクリックする。

(筆者注12) 主要国に支部を置き世界的な規模で環境問題に取組んでいるNGO“Friends of the Earth”の英国支部は2000年2月、環境破壊の側面かエリカ号事件を取り上げ、英国政府への強力な働きかけの声明文で訴えている。今回のブログではその詳細な内容の紹介は略すが、環境破壊の現実を踏まえた詳細な分析を行っている。

(筆者注13)「 船舶の国籍と管轄権問題」については海事国際法専門の山尾徳雄「船舶の国籍と管轄権」が参考になる。

(筆者注14) フランス司法省の商業裁判所の解説を参照されたい。

(筆者注15) 大審裁判所(Tribunal de grande instance)は、各地に181庁設置されており、その管轄は次のとおりである。

(A) 訴額が1 万ユーロ(約127万円)を超える民事事件の個人や法人の第一審を一般的に管轄する。3人の裁判官(裁判長、副裁判長、判事)の合議による審理が原則だが、家族間の紛争や子供に関する裁判等は単独裁判官による審理も行われる。各県に少なくとも1 庁は設置されている。なお、特許侵害訴訟第一審は、パリ等の10 庁の大審裁判所のみで審理され、第二審も、第一審と対応する10庁の控訴院で審理される。

(B) 刑事事件については、法定刑として10年以下の拘禁刑または3,759ユーロ(約48万円)以下の罰金にかかる犯罪に係る刑事事件の第一審を管轄する。原則として、3 人の裁判官の合議による審理が行われる。大審裁判所の刑事部は、一般に軽罪裁判所(Tribunal correctionnel:Criminal Court)と呼ばれている。

(C)大審裁判所には予審判事(juge d'instruction)が配置されている。予審判事は、重罪に対しては義務的に、軽罪および違警罪に対しては任意的に予審を行う。予審においては、犯罪の証拠収集および犯罪者の特定を行い、罪名を決定し、事実審理を管轄する各裁判所に当該事件を送付するか否かの決定を行う。その他、予審対象者に対する勾留の決定、保釈の許否等の決定を行う。(http://www13.atwiki.jp/japan-lm/pages/119.htmlを参照した。ただし、正確性を確保するため、フランス法務省および電子政府サイトである“Service –Public.fr”および“Legifrance.gouv.fr”の該当条文にもとづき修正した) 。

(筆者注16) フランス環境法の前回改正は、2004年3月である。

(筆者注17) フランス環境法の構成につき簡単に説明しておく。原文は“Legifrance.gouv.fr ” で検索すると分かりやすい。
今回問題となる刑事罰とMARPOL条約との関係に関する条文は、同法第1巻第1編第8章第1節第2副節第1パラグラフ(Livre Ier :Titre Ier :Chapitre Ier:Section 1:)が「違法行為と刑罰」に関する諸規定である(L218-1からL218-24である)。

(筆者注18) 2003年作成された資料であるが、フランスの海洋汚染事故研究センター(cedre:Centre de documentation et d'experimentations sur les pollutions accidentelles des eaux)」の海事事故に係る立法と刑事罰など処罰の規定(英文) 資料は貴重な資料である。また、環境法の条文内容は現行(筆者注9参照)の規定内容である。

[参照URL]

https://www.foei.org/press_releases/archive-by-subject/forests-and-biodiversity-press/prestige-oil-tanker-sinking-today-make-oil-companies-liable-damage-says-friends-earth
(世界的NGOであるFriend of the Earthのエリカ号事件に係る環境破壊対策の英国政府への働きかけ声明文)
http://www.total.com/en/about-total/special-reports/erika/legal-proceedings-601454.html(トタルのHPにおける裁判の経緯解説)

https://www.total.com/media/news/press-releases/paris-court-appeal-judgment-sinking-erika
(3月30日のパリ控訴院判決を受けた解説:トタルのHPにおける裁判の経緯解説)
http://jurist.law.pitt.edu/paperchase/2010/03/france-appeals-upholds-oil-company.php(ピッツバーグ大学ロースクールのPaperchase:控訴院判決の解説)
http://www.internationallawoffice.com/Newsletters/Detail.aspx?g=ebb82b1d-afeb-4701-84af-762ef0191a4b&redir=1(弁護士Christine Gateau氏の判例評釈論文)
http://www.internationallawoffice.com/Newsletters/Detail.aspx?g=ebb82b1d-afeb-4701-84af-762ef0191a4b&redir=1 (フランス環境法第218-22条)
http://www.legifrance.gouv.fr/affichCodeArticle.do;jsessionid=D9E3E89971016C30919295E48ABBA962.tpdjo04v_1?idArticle=LEGIARTI000006832963&cidTexte=LEGITEXT000006074220&dateTexte=20080324(フランス環境法第142-2条)

https://www.imo.org/en/About/Conventions/Pages/International-Convention-for-the-Prevention-of-Pollution-from-Ships-(MARPOL).aspx  (IMOの「MARPOL条約(MARPOL 73/78)」に関するサイト)

https://www.imo.org/en/About/Conventions/Pages/International-Convention-on-Civil-Liability-for-Bunker-Oil-Pollution-Damage-(BUNKER).aspx (バンカー(Bunker)条約の内容)

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