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オーストラリア連邦裁判所がACMAによる初めてのSMSスパム裁判の有罪判決を確定

2011-09-11 10:12:18 | 消費者保護法制・法執行



 わが国では、本ブログも含めオーストラリアの裁判所判決を詳しく引用する例は少ない。今回の紹介する連邦裁判決は、スパム犯罪に対する特徴のある判決である。

 すなわち、“Safe Divert”と呼ばれる詐欺手口を使い、香港を拠点とする出会い系サイト会社3社およびその幹部やオペレーター計5人が被告、携帯電話の活用、SMSチャット・ゲートウェイを利用、被告8人中7人に対する罰金刑合計額が2,225万豪ドル(約17億8千万円)と極めて高額であること等である。

 今回のブログは、これら犯罪の手口を解説するとともにスパム問題の規制・監督機関である「オーストラリア連邦通信メディア庁(Australian Communication & media Authority:ACMA)」「連邦競争・消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission :ACCC)」のスパムに対する近年の法執行や起訴の状況について紹介することが目的である。

 米国であれば、この種の犯罪の起訴や法執行は「連邦司法省」や「FBI」の独壇場になると思うが、オーストラリアではまず通信メディア庁(ACMA)
(筆者注1)による法執行・規制が優先している点がわが国の姿勢と共通性があるとも考え、紹介するものである(法執行の詳細な説明もACMA自身が行っていることも欧米各国とも異なる対応であり、興味深い)。
 また、法執行時のプレスリリースには必ずその根拠法令や最近時の関連法執行に関する解説を注記するのは英国と同じスタイルである。わが国も参考とすべき点であろう。

 取りまとめにあたり、以前にも本ブログ
(筆者注2)で取り上げたACCCが運営する詐欺阻止専門サイト“SCAM watch”等も参照した。(筆者注3)

 なお、この情報と併せ「オーストラリア連邦裁判所(Federal Court of Australia)」判例等検索サイトの先進性・機能性についても紹介する予定であったが、機会を改める。


1.ACMAの最近時の詐欺犯罪規制の実態
(1)オーストラリアにおけるスパム規制法や規則ならびに関係法令
A. 「2003年スパム法(Spam Act 2003)」は2004年4月10日に施行した。国際的なスパムの傾向の分析機関である“Sophos”のデータによると、それまではスパムメールの発信・中継頻度でみたオーストラリアは第10位であったが、同法施行後、第32位に下がった。(筆者注4)

 同法は、商業目的の電子メッセージの送信については次の要件を定める。
a.受取人の同意に基づき送信すること、その同意は明らかな意思表示もあるし、あるいは一定の行動や既存のビジネス関係に基づくものもある(consent 原則)。
b.発信者の特定できる情報を同時に発信しなければならない(identity原則)。
c.受取人が将来発信者から受取りを「オプト・アウト」できる容易な手段を提供していること(unsubscribe原則)。

 同法の適用範囲は、商業目的の「E-mail」、「インスタント・メッセージ」(筆者注5)、「SMS(ショート(テキスト)・メッセージ・サービス)」(筆者注6)、「MMS(マルティメディア・メッセージング・サービス:イメージベースの携帯電話間のメッセージ交換)」(筆者注7)が対象となる。ただし、ファクシミリ、インターネット・ポップアップ広告 (筆者注8)および音声によるマーケティング行為は除かれる。なお、マーケティング活動における電話呼出しとファクシミリは“Do Not Call Registry”の登録により受信拒否が可能である。
 同法25条に基づき反復した法人の違反者に対しては、1日あたり最高110万豪ドル(約8,800万円)、個人の場合は最高22万豪ドル(約1,760万円)の罰金刑(民事罰)が科される。(第4章 民事罰) (筆者注9)
 また、オーストラリアのスパム法第4章24条では連邦裁判所による民事罰たる科料(pecuniary penalty)、同章25条が民事罰の最高刑、同章26条はACMAが連邦政府に代り違反行為の6か月以内に連邦裁判所に民事裁判を提訴できる(民事罰裁判中に刑事訴追は出来ない(27条)。
 28条は裁判所による「付随的被害者救済命令(ancillary order)」規定である。同条にいう民事訴追を受けて裁判所が支払いを命じるもので当局は各種要因を考慮して算定(行為の態様、損害の程度、背景事情、違反歴等を考慮する旨法律に規定あり。具体的な算定ガイドラインは存在しない)のうえ制裁金の勧告額を提示)する。(筆者注10)

B.スパム法第6章は「当局との強制的約束(enforceable undertaking)」に関する規定である。(筆者注11)

(スパム法により、次の機関はその公的機能や言論の自由等から適用除外されている。政府関係省庁、登録された政党、慈善団体、宗教団体、教育機関(現在および元学生への通知))

C. 「2004年スパム規制に関する規則(Spam Regulations 2004)」
 2003年スパム法に基づき制定され、2004年4月8日に公布された。

D. 「1997年電気通信法(Telecommunication Act 1997」

E.業界の自主規制綱領の制定と監督機関による登録
 スパム法規制とは別にオーストラリアでは、電子マーケティングやインターネットサービス関連業界は3つの自主規制綱領(Code of Practice)やガイダンスを策定している。その一部は2006年5月3日付けの本ブログで詳しく説明しているが、さらに今回はまとめて補足する。
a. 「電子マーケテイング実践綱領(e-Marketing Code of Practice)」
 オーストラリア・ダイレクト・マーケティング協会(ADMA)等多くの業界団体が2003年3月策定、2005年3月16日に監督機関であるACA(オーストリア通信庁、ACMAの前身)に登録された。(全67頁)

b.「ベストDM実践ガイドライン(Best Practice Guideline) 」
 ADMAが2001年1月に他の産業界や消費者を中心に「ベスト・マーケティング実践ガイドライン(Best Practice Marketing Guideline) 」をまとめ、その後ADMAはDMの形態の変化に応じ次のようなガイドラインを策定、公表している。
Best Practice for Direct Mail 
Environmental Guidelines
Chance Draws and Competitions
Online Marketing Guidelines
Best Practice for Use of Data in Direct Marketing
Mobile Marketing Code of Practice
Best Practice for List Management

c. 「インターネット業界スパム実践綱領(Internet Industry Spam code of Practice)」 (全29頁)
オーストラリアのインターネット産業協会(IIA)が2005年12月(第1版)に策定、2006年3月16日にACMA登録された。

(2)オーストラリアにおけるスパム犯罪の急増とACMAの積極的な法執行の取組み
 ACMAの法執行は他の監督機関と同様な法執行を行っている。すなわち、「当局との強制的約束(enforceable undertaking)」(18件)、「法律に基づく正式警告(formal warnings)」(23件)、「法律にもとづく正式の違法通知(formal notice)」、「反則通知(infringement notice)」(筆者注12) (26件)、「スパム行為の停止にかかる裁判所差止命令(injunction)」(1件)、「連邦裁判所への告訴(prosecute a person in the Federal Court)」(2件)である。(括弧内はこれまでAMCAが行ってきた取扱件数)。
 ACMAのこれまでの主要な法執行活動の詳細は法執行専門サイトで一覧になっている。

2.差止命令から起訴、さみだれ式に下された連邦裁判所判決の概要
 AMCAサイトでは今回取上げた事件(QUD 426 of 2008)についてまとまった解説はない。前記法執行記録の中にまぎれており、分かりにくい。
 筆者の判断であらためて本訴訟の経緯のみ抜粋して時系列で解説する。なお、本裁判以降にもスパム裁判が行われており、その判決結果についても最後に追加する。

(1)2009年1月13日、AMCAは違法なSMSスパム行為を行ったことを理由にスパム法に基づき法人3社(Mobilegate Limited,Winning Bid Pty Ltd,Jobspy Pty Ltd )および個人5人(Simon Anthony Owen,Tarek Andreas Salcedo,Scott Mark Moles, Glenn Christopher Maughan,Scott Gregory Philips)を被告とするブリスベンの連邦裁判所への手続を開始した旨リリースした。

 起訴事由の内容は次のとおりである。
a.被告は、“Safe Divert”または“Maybemeet”と呼ばれるSMSのテキストデータをリレーするマーケティング・サービスを供給、広告、または販促した。
b.被告は、同時に捏造で作った出会い系サイトや偽の加入者プロファイルを利用してオーストラリアの携帯電話のアカウントを持つ利用者を金銭的な利益を不正に得る目的で騙した(1SMSメッセージあたり最高5豪ドルが費用として課金されるように設計した)。
その結果、犯人グループは200万豪ドル以上を違法に稼いだとACMAは見ている。

 また、ACMAは被告のデートサイトを利用するための誤解を招く見掛け倒しの表現の使用は「1974年競争取引および消費者保護法(Trade Practices Act 1974)」(筆者注23:参照)に違反すると告訴した。

 ACMAは、起訴状において宣言(declarations)、差止命令(injunctions)および刑罰その他の命令を求めた。また被害拡大を回避すべく「暫定差止命令(interim injunction)」もあわせて求めた。

(2)2009年8月14日、連邦裁判所(ローガン判事(John Alexander Logan))は被告5人(Mobilegate Limited,Winning Bid Pty Ltd,jobspy Pty Ltd, Simon Anthony Owen,Tarek Andreas Salcedo)に対する「差止命令」および「宣言」を下した。5人の刑罰に関する審問(hearing)は未定であるが、残りの3人の被告に対する審問は11月30日に行われる旨発表された。

(3)2009年10月23日、ブリスベンの連邦裁判所は被告5人に対し、「2003年スパム法」違反に基づく合計1,575万豪ドル(約12億6千万円)の罰金刑判決を下した。被告各人別の刑罰内容は次のとおりである。
a.Mobilegate Limited・・・・・・・・・・500万豪ドル(約4億円)
b.Winning Bid Pty Ltd・・・・・・・・・・350万豪ドル(約2.8億円)
c.Simon Anthony Owen・・・・・・・・・・300万豪ドル(約2.4億円)
d.Tarek Andreas Salcedo・・・・・・・・・300万豪ドル
e.Glenn Christopher Maughan・・・・・・・125万豪ドル(約1億円)

(4) 2009年12月16日、ブリスベンの連邦裁判所は次の被告2人に対し、計650万豪ドルの罰金刑を科した。10月23日の罰金刑と合計すると2,225万豪ドル(約17億8千万円)となる。
f.Jobspy Pty Ltd・・・・・・・・・・・・400万豪ドル(約3.2億円)
g.Scott Mark Moles・・・・・・・・・・・250万豪ドル(約2億円)

 ACMAは起訴状で、被告f、gは他の被告とともに本物の出会い系サイトのユーザーの携帯電話番号を入手する目的でにせのウェブサイト・プロファイルや許可なしに写真を掲載するなど複雑な手口を用いた。ACMAは被告は2005年後半以来この手口にかかったオーストラリア人の被害総額は400万豪ドル以上であると主張している。

(5)2010年11月5日、最後の被告h.Scott Gregory Philips(35歳)に対する連邦裁の判決が12月1日に下される予定である旨ACMAは公表した。
 フィリップ被告は元pinkbits.comおよびInternet Billing Servicesのオペレーターであり、またユーザーから本物の携帯電話番号の提示を勧誘する係りであった。

3.連邦裁判所における初めてのスパム有罪裁判例
 オーストラリア連邦裁判所は2003年スパム法16条、22条に違反したとするACMAの告訴に対し、2006年10月27日、 Clarity1 Pty Ltd社に対して450万豪米ドル(約3億6千万円)、 同社専務取締役Wayne Mansfield氏に対して100万豪米ドル(約8千万円)の科料を命じた(Australian Communications and Media Authority v Clarity1 Pty Ltd [2006] FCA 410)。
 同裁判の事実関係、双方の主張内容や判決の結論部分ならびにマーケッターの留意事項については“Australia FindLaw”が詳しく解析しているので参照されたい。その電子メール・マーケッターにとってのポイントが最後にまとめられているので引用する。
①オプト・アウトの道具を包含させることのみで、受信者に同意の推定を避ける義務を課すことにはならない。
②発信者と受信者の間のコミュニケーションが一方的であるときは「取引関係」があるとは推定されない。
③関連する電子メールアドレスを公開したからという事実のみでは「同意」があったとは推定されない。
④商業電子メールの送信はスパム法16条の適用を受ける。

(2)「当局との強制的約束(enforceable undertaking)」例
 ACMAのサイトで過去18件の合意内容の詳細が確認できる。

(3) 「反則通知(infringement notice)」例
・2007年6月21日、ACMAは「ピッチ・エンターテインメント・グループ(Pitch Entertainment Group)」および「インターナショナル・マシーナリー・パーツ株式会社(International Machinery Parts Pty Ltd)」に対し、スパム法違反を理由にそれまでの最高額の罰金(前者は1日あたり11,000豪ドル(約88万円)、後者は1日あたり4,400豪ドル(約352,000円))である。

4.恋愛詐欺サイトへの警告
 前述した“ACCC”が運営する詐欺阻止専門サイト“SCAM watch”では「デートと恋愛詐欺(Dating and Romance scams)」警告専門サイト
がある。ここでの詳細は省略するが、わが国でもすでに始まっているのかもしれない。

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(筆者注1) “ACMA”の組織の歴史的経緯について補足しておく。2005年7月1日、オーストラリア通信庁(ACA)とオーストラリア放送庁(ABA)が統合し、通信、放送分野の規制監督機関として“ACMA”が設立された。“ACMA”電気通信事業および放送事業の規制・監視、インターネット・コンテンツの規制、競争政策の施行、消費者保護、電子メディア環境の監視、周波数管理等を所掌する。

(筆者注2) 連邦競争・消費者委員会や1974年取引慣行法(The Trade Practices Act)について概要について参考とすべきわが国のサイトのURLをあげておく。
公正取引委員会
オーストラリアの弁護士

なお、筆者のブログ(筆者注23)では “The Trade Practices Act”を「 取引慣行法」というのは正確でないとし、意訳となるが「競争取引および消費者保護法」という訳語を用いた。日本語解説は内容的には唯一参考といえるものであり、そのまま引用する。

(筆者注3) ACCC は排除命令を出す権限がないため、被害者への救済は訴訟をもって実現しなければならない。具体的にACCC は、差止命令、一定の被害者のための損害賠償や付随的な命令を求める訴訟(第87 条1B 項、同条1C 項)、情報の開示や訂正広告を求める訴訟(第80条、第86C 条2 項、第86D 条)、事実認定(第83 条)、違法行為についての宣言(declaration)などを求める訴訟などの権限を持っている。

「反則通知(infringement notice):ACCCは、合理的な根拠があれば、反則通知(一種の行政罰)を発することができ、反則通知を受けたものは、過料を支払うことで後述する2010年競争・消費者法(Competition and Consumer Act)第224条に規定する措置(民事制裁金:pecuniary penalties)を免れるとしている(同第2編第6章第134条、第134A条)。一方、反則通知に規定された期間内に過料を支払わない場合には、ACCCは訴訟を含む措置を採ることができるとしている(同第2編第6章第134E条)(一般財団法人比較法研究センター主幹研究員 木下孝彦「オーストラリアにおける消費者の財産被害事案に係る経済的不利益賦課制度を含む行政措置について」から一部抜粋。なお、法律の英字表示、URLリンクは筆者が行った。

(筆者注4) “Sophos”は、毎年「ソフォス・スパム送信国ワースト12」を発表している。2010年7月~9月調査結果では、中国が圏外になり、上位12カ国の順位と割合は次のとおりである。
1.米国:18.6%、2.インド7.6%、3.ブラジル:5.7%、4.フランス:5.4%、5.英国:5.0%、6.ドイツ:3.4%、7.ロシア:3.0%、7.韓国:3.0%、9.ベトナム:2.95、10.イタリア:2.8%、11.ルーマニア:2.3%、12.スペイン:1.8%
 以上見るようにいわゆるIT先進国が軒並み並んでいる。なお、2004年8月時点では日本は第6位(2.87%)であった。
地域別で見ると、1.欧州:33.1%、2.アジア:30.0%、3.北アメリア:22.3%、4.南アメリカ:11.5%、5.アフリカ:2.3%、である。

(筆者注5) 「インスタント・メッセージ(Instant Message/Instant Messaging)」は,略して「IM(アイエム)」と呼ばれる。エンドユーザーが使うクライアント・ソフトのことを「インスタント・メッセンジャー」や「メッセンジャー」などという。これも「IM」と呼ばれる。現在、よく使われているメッセンジャーはマイクロソフトの「Windows Messenger」(Windows XPに標準)やWindows Live Messenger(Windows Vistaに標準)。Yahoo! JAPANが提供する「Yahoo!メッセンジャー」やGoogleの「Google Talk」も人気がある。(ITpro「インスタント・メッセージとはなにか」より引用)

(筆者注6) 「ショート・メッセージ・サービス(Short Message Service:SMS)」とは、携帯電話やPHS同士で短文を送受信するサービスである。Text Message(テキストメッセージ)とも呼ばれる。

(筆者注7)「 MMS(Multimedia Messaging Service)」とは、携帯電話を使ったメールシステムの1つで、テキストのほか、静止画/動画/音楽といったデータを送受信することができる。欧州の携帯電話で一般的に使われているSMSが発展したもので次世代SMSといわれている。

(筆者注8) 「インターネット・ポップアップ広告」とは、ある特定のウェブページを開いた時に自動的に一番手前に表示される広告用の小さなウィンドウをいう。

(筆者注9) オーストラリア刑法(Crime Act of 1914)4AA条における「罰則点数 (penalty unit) は、110豪ドルを意味する」と規定する。従って、例えば法律に”1,000 penalty units”と規定されていれば具体的な罰金金額は「11万豪ドル」となる。

(筆者注10) 同命令は、「差止命令」とともに連邦裁判所に頻繁に申し立てられている。その例として、「利益吐出し(disgorgement)」が挙げられるが、これは違法行為により得た利益を強制的に取り上げる行為である。なお、発生した損害に対する填補賠償(restitution)は認容されても、被害者の金銭を利用して利益を得たという証拠がない以上は、利益吐出し(disgorgement)は認められない。

(筆者注11)スパム法 第6章に定める「当局との間の強制力を持つ合意(enforceable undertakings)」とは、「規制当局(ACMA)は、スパム・メールまたはアドレス収集目的とする違法ソフトに関し、大臣の命令に基づき、規制対象者による規制の自発的執行の提案を受け入れることができるものである(38条)。規制の自発的執行を強制することはできないし、ACMAの同意が前提となるが対象者はその撤回や変更ができる。提案を受け入れた場合、当該の規制対象者は、自発的執行の不履行が確認されるまで、訴追を受けたり、定額罰金または裁量的要件を科されることはない。合意に基づく法執行違反に対し裁判所の命令を求めうる。(39条)」

(筆者注12) ACMAの法執行行為である「違反通知(infringement notice)」は同法30条および別表3(schedule 3)に定めるものである。すなわち、違反行為の通知だけでなく法律に定める罰金額を適用するものである。わが国で言うと独禁法の違反行為に対する「課徴金」(課徴金とは,カルテル・入札談合等の違反行為防止という行政目的を達成するため,行政庁が違反事業者等に対して課す金銭的不利益のことをいう)に相当するといえる。

[参照URL]
・ACMAの「2003年スパム法」に基づく法執行行為の一覧
http://www.acma.gov.au/scripts/nc.dll?WEB/STANDARD/1001/pc=PC_310314

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本ブログは、2010年11月9日掲載文の改訂版である。
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