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情報セキュリティ、消費者保護、電子政府の課題等社会施策を国際的視野に基づき提言。米国等海外在住日本人に好評。

英国、豪州等の詐欺対策組織が取組むロンドン・オリンピックやパラリンピック対策の最新動向

2011-11-03 17:08:06 | Phishing ・新型詐欺問題



 筆者の手元に届いたオーストラリアの「連邦競争・消費者委員会(Australian Competition & Consumer Commission:ACCC)」が運営する詐欺阻止専門サイト(SCAM watch)からのニュースを改めて読み直した。
 その言わんとする内容は、ロンドン・オリンピックやパラリンピックの宿泊予約詐欺に遭わないよう具体的な詐欺手口の説明を含む警告である。
 わが国でも円高等を背景に多くのオリンピック観光客が英国に向かうことは言うまでもなく、この機会に英国の詐欺阻止強化体制と英国の関係機関等が発したオリンピック関連の警告内容を概観すべくまとめてみた。


1.ACCCの詐欺阻止の具体策

(1)詐欺の手口
・詐欺師は詐欺ゲームの間、偽の予約用のウェブサイトを用意し、そこで偽の宿泊ルームや本物のウェブサイトの貸し部屋広告を掲げたり、あるいは偽の宿泊施設や予約チケットのパッケージ・サービスを提供する。
 そこに掲げられた宿泊施設は、実際に存在しないものやあるいは利用不可のものである。
 以前に見られた貸し部屋や宿泊施設予約詐欺では、詐欺師は施設の所有者、予約業者、旅行代理店あるいは施設の経営者等を装い、また宿泊施設や旅行用のウェブサイトに区分された本物の貸し部屋広告を載せた。
・あなたが偽の広告に応じ申し込むと、詐欺師は前もっての「貸し部屋の敷金(bond)」「賃貸料や預け金(deposits)」の支払を要求してくる。
・詐欺師の中には、なりすまし詐欺に使うため申込者の個人識別(ID)証やその他の証明文書のコピーを求める者もいた。
・被害者は正当な宿泊施設の鍵を受け取ることはなく、詐欺師はお金と共に失せるのである。
・また、詐欺師が競技観覧チケットの販売をも売り込むことに注意すべきである。唯一安全な競技観覧チケットの購入は、「2012年ロンドンオリンピック・チケット販売ウェブサイト(London 2012 ticketing website)」そのものや、あるいは同サイトで確認できる自国のオリンピック委員会やパラリンピック委員会で行うべきである。

(2)詐欺被害に遭わない方法
・公式な照会手続を有する知名度の高いホテルや評判が高い旅行会社に直接予約する。
・インターネットの検索機能や地図検索を使い、あなたが泊まろうとするホテルや宿泊施設が実際にそこに実在するか調査する。
・旅行代理店等に対し、多くの宿泊施設の写真を要求すべきである。もし相手が拒否する時は相手は本物の広告サイト等から写真を盗んでいる場合で、その他の多くの写真は持たないのである。
・あなたが旅行代理店やウェブサイトを通じて予約を行おうと考えたときは、まず初めにオンラインで詐欺業者でないか調査すべきである。このことで知られている詐欺を特定すべくレビューやブログを調べる。
・評判の良いウェブサイトに載っているからといって、宿泊施設の正当性(本物)を信じてはならない。詐欺師はこれらのサイトにも偽の広告を掲げている。
・可能であれば、知らない相手に対し為替(money order)、電信送金(wire transfer)や国際資金送金(international funds transfer)による前払いの契約は避けるべきである。このルートで支払われた資金を取り戻せるのは極めてまれである。(筆者注)
・宿泊施設の広告について正確な施設名を入力して、インターネット上でチェックすべきである。詐欺サイトでは多くの類似名の施設がある。
・宿泊施設の賃貸については当、該物件について調査すると主張すべきである。車で近くを走るだけでは調査としては不十分である。事実その施設は存在するかも知れないが、別の者が所有している可能性があるからである。

(3) 英国ロンドン警視庁のオリンピック詐欺警告リリース「Olympic and Paralympic Games Policing Accommodation Fraud 」の宿泊施設詐欺に関するアドバイスも参考になる内容である。

2.英国内務省の詐欺取締庁(National Fraud Authority:NFA)と詐欺報告センターの報告・支援センター(UK’s National Fraud Reporting Centre )」の役割

(1) 詐欺取締庁(NFA)の説明サイトにもとづく概要
次のとおり説明している。政府による「2006年11月詐欺調査(2006 Fraud Review)」の直接の成果としてNFAが生まれた。同調査において政府はイングランドとウェールズの市民に対し直接、経済的損失にかかる莫大なコスト・損害および詐欺の原因を調査した。その解決策として2008年10月1日、正式な着手作業をもとに“National Fraud Strategic Authority”を創設した。さらに2009年には“National Fraud Authority”と改称した。
 2010年/2011年の主な業績は「年次報告(Annual Report)」および「年次会計報告書(Annual Accounts)」で詳しく記している。

(2)“Action Fraud” サイトの概要
 NFAが監督・運営する「詐欺報告・支援センター(UK’s National Fraud Reporting Centre )」は1日24時間電話受付(0300 123 2040)する窓口“Online Fraud Report Service”を開設し、具体的な詐欺問題の阻止に対処している。なお、“Action Fraud”では一般的な詐欺予防のためのアドバイスや手口別詐欺の解説等を行っている。
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(筆者注) では、どのような決済方法が安全といえるかについては同サイトでは説明がない。筆者なりに補足すると、安全性が高く信頼度が得られるクレジット・カードによる決済ということになろう。なお、筆者のブログではかつて詐欺警告として次のような解説を述べている。
 「詐欺師は通常“Western Union”や“MoneyGram”を通じた電信送金を要求するが、それは「赤旗(red flag)」が立ったものとみなすべきである。これら電信送金で送られた資金は詐欺師によりいったん受け取られるとその追跡は極めて困難で法執行機関や銀行でも取り戻しは不可である。」

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