さる2月5日付け筆者ブログで、イタリアの情報保護機関GPDP(Il Garante per la protezione dei dati personali :Garante)はEU「一般データ保護規則(GDPR)」の国内法準拠の観点から「イタリアの移動体通信事業者である「H3G」の子会社である同国の移動体通信事業者(MNO〔mobile network operator〕「 Wind Tre S.p.A(以下,Wind Treという)」 (筆者注)は、迷惑ビジネス通知を止めさせるべく、電話や販売促進目的のSMS(promotional sms)を管理するうえでの合併後の手順を見直す必要がある。この措置に伴い、自由意思によりかつ有効な同意を表明していない主体の個人データをマーケティング目的で使用することはできない」という警告を行った点を述べた。
これを受けたGPDPの具体的な法執行命令が2019年2月7日にWind Treに下した旨リリースした。その内容は、テキストメッセージによるものを含む電話マーケティング活動の過程における個人データの保護に関する法律の重大な違反に対し、60万ユーロ(約7,440万円)の罰金の支払い命令を下したというものである。
今回のブログは、GPDPサイトの2月7日のリリース内容を仮訳するとともに、その違法性判断の根拠等について解説部分を引用するものである。
1.Garanteが明らかにした違法性の根拠
この制裁処分は、新しいEUのDGPRが2018年5月25日に発効する前に採択された措置の後に行われたものであるが、Garanteは、多数の報告に基づいて、電話会社によって行われたマーケティング目的でのそのようなデータのさらなる使用を行ったとする顧客データの違法な取り扱いの事実の存在を宣言した。Wind Treは、実際には販売促進の目的で「同意なし」に顧客データを使用しており、常に「同意なし」にそれらを商業パートナーのネットワークに伝達していた。ここでいう違法な取り扱いは主に次の2つの違反行為に由来する。
1つ目は、信用情報機関において存在していた、会社が保有している広告目的での連絡を希望しない人のリスト(「ブラック・リスト」)を検証しなかった点である。
2つ目は、第三者つまり正確にはビジネスパートナーへの体系的で長期にわたる不法な顧客データの通信に依存していた点である。事実、同社は販売時点(POS)情報の大部分をデータ管理者としてではなく、独立した保有者として誤って認定していたため、不正な通信が行われていた点である。
今回の制裁金の算出額を定義する際に、Garante当局は、さまざまなコンタクトチャネル(電話、テキストメッセージ)が宣伝キャンペーンの侵入を急激に増加させて使用されているという事実など、問題となる事実の重大性を考慮に入れた。なお、Garaneは Wind Treが、禁止措置の採択前に重大な問題を排除するための自律的なイニシアチブを実施したことや、その後、EU規制(GDPR)によって導入された変化に適応するためにさらに強化されたという事実には好意的でである。
2.イタリアの制裁金の支払い規定及び一般裁判所への反訴手続き
当該罰金命令の通知から30日以内に、添付の書類に記載されている手続に従って、60万ユーロの合計額を支払うことである。
また、被告たるデータ管理者は命令の伝達の日から30日以内(海外に居住している場合は60日以内)に、データ管理者が居住する場所の通常の裁判所に反訴を提案することができる。
なお、GPDPによるとWnd Treは定められた期限内に罰金を支払い始めたとある。
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(筆者注) 香港特別行政区のCK Hutchison Holdings (長江和記実業)とオランダのVimpelComはイタリアにおける移動体通信事業者を統合した。
CK Hutchison Holdingsは3 Italiaブランドを展開するH3Gを通じて、VimpelComはWind Telecomunicazioniを通じてイタリアで移動体通信事業を手掛けていた。
H3Gを存続会社とする吸収合併方式でH3GとWind Telecomunicazioniの合併を完了し、合併後の会社をCK Hutchison HoldingsとVimpelComの合弁会社としてイタリアで移動体通信事業を継続する。
合弁会社は2016年12月31日より正式に発足しており、正式社名をWind Tre S.p.A.に変更している(Blog of Mobile記事から一部抜粋)。
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