筆者の手元に11月19日付けEU の外交および安全保障問題のspokeswomanであるNabila Massrali 氏によるEU上級代表の声明が届いた。(注)
従来、筆者は北朝鮮問題はEUでは大きくは取り上げてきていないという印象を持っていたが、今回はこのような声明が出された意義について考える意味であえて取り上げ、以下で仮訳する。
Nabila Massrali氏
EUは、北朝鮮(DPRK)による11月18日に日本の排他的経済水域に着弾した大陸間弾道ミサイル(intercontinental ballistic missile)の発射を強く非難する。EUは、このような危険で違法かつ無謀な行動を深く懸念している。
大量破壊兵器(mass destruction)を運搬するためのこれまで以上に威嚇的な手段を開発するための平壌の継続的な努力は、すべての国を脅かしている。EUは、北朝鮮に対し、国連安保理決議に違反し、国際的および地域的緊張を高める不安定化行動を直ちに停止するよう要請する。
EUは、北朝鮮に対し、国連安保理決議の下での義務を遵守するよう求める。北朝鮮は、すべての核兵器、その他の大量破壊兵器、弾道ミサイル計画(ballistic missile programmes)、既存の核計画(existing nuclear programmes)を、完全、検証可能かつ不可逆的な方法で放棄し、関連するすべての活動を直ちに停止しなければならない。
北朝鮮は、核不拡散条約(Nuclear Non-Proliferation Treaty.)の下で核兵器国の地位を持つことはできないし、決してできない。北朝鮮が国際の平和と安全にもたらす脅威の増大に対処するために、国連安全保障理事会が適切な方法で対応することが重要である。EUは、すべての国連加盟国が国連安全保障理事会によって課された制裁を完全に実施するために行動を起こす義務を想起する。
EUは、北朝鮮が非核兵器国としての核不拡散条約及びIAEA包括的保障措置協定(IAEA Comprehensive Safeguards Agreement)の完全な遵守に戻り、追加議定書を発効させることを主張する。同時に、EUは平壌に対し、包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear-Test-Ban Treaty)に署名し批准するよう要請する。
EUは、日本及び韓国との連帯を表明し、北朝鮮に対し、全ての主要当事者との有意義な対話を再開するよう改めて要請する。EUは、あらゆる意味のある外交プロセスを支援する用意があり、持続可能な平和と安全の基礎を構築し、朝鮮半島の完全で検証可能で不可逆的な非核化を追求することを目的とした措置を講じるために、関連するすべてのパートナーと協力することを約束する。
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(注)この声明は正確には欧州連合外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長ジュゼップ・ブレイ・フンテーリャス:ジョセップ・ボレル・フォンテイレス(Josep Borrell Fontelles)(スペイン)(任期:2019-2024)氏が行ったものである。
Josep Borrell Fontelles氏
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