いつ頃のことか私にはわかりませんが、「大学は出たけれど」
と題名の映画があったそうです。調べてみると第1回目の作品は
小津安三郎監督、高田稔、田中絹代、飯田蝶子、笠智衆さんらが
出演した1929年のサイレント作品だそうです。この記事は、
映画についての話ではなくもっと現実の話です。
報道によると、大学で借りる奨学金は4年間で約4百万円(A)
に達するということです。大学院まで進学するとこの金額にさら
に5百万円(B)が加わるということです。大学および大学院を
卒業して就職できたとして毎月手に入る給料は20万円前後だとし
たらどうでしょう。自宅から通勤する人にはまあ何とか生活して
いけると思いますが、地方から転居した人には生活するのが精い
っぱいの金額になってしまうでしょうね。しかし借りたものは返
却しなければなりません。毎月2万円ほどを返却するとすると、
ますます生活を圧迫してしまいます。
それで最近の若い人たちの結婚の条件の中に、奨学金返済が必
要かどうかということが重要な条件の一つになっているというこ
とです。笑い話とも言えないですね。もっとひどい場合には、自
己破産申請をすることもあるということです。
これでは奨学金を利用する意味がなくなってしまいますね。借
りた奨学金は生活を維持するために使われるそうです。奨学金制
度の所期の目的からズレたとはいえ、なんともやり切れない話で
す。
私が学生の頃、なかには奨学金を貯蓄しているという学生がい
ました。ちなみに私は奨学金を借りすことなく過ごしてきました。
それは上に4人の兄と一人の姉がいたものですから経済的に困って
いないだろうという理由でした。
今は大学の数が増え、高等学校卒業生のかなりの人たちが大学へ
進学するということです。自己破産を招くような奨学金制度の見直
しをすると同時に大学へ何のために行くのかを考える時期になって
きたのかもしれませんね。