雨の日の平日の遊園地はガラガラ…。
暇な日のアルバイトは断る事も多いので、
し~んとするお城ってわりと怖い。
暇な日は、昼間でも2階が気になるわけです。
園内に音楽は流れてましたが、ホフブロウにまでは届かず、
音楽をかけるのもイメージに合わないとマネージャーに反対されてたので、本当に静かでした。
ある日のアルバイトさん達が帰った夜8時頃、先輩と二人で奥の多目的スペースでその日の売り上げの集計をしていた時、
2階から、
「ドスンッ」と物が倒れる様な音がした…。
先輩にも聞こえたみたいで、天井を見上げている。
「見て来ましょうか?」と、勇気ある後輩の私が立ち上がったのはいいけど…かなり怖い…。
言い出した手前、とりあえず私は勇気を奮って階段へ向かうと…、
「いいよ。俺が行くよ。」
と先輩が勇敢に立ち上がり、階段を昇る。
後を追う私。
階段を昇る途中の先輩が振り返り、
「足音が聞こえない?」と低い声でつぶやく…。
怖さMAXの私は、呼吸さえ出来なくなりそうなくらいの緊張感に包まれた。
真っ暗な踊り場を進み、扉の前まで来ると、先輩は何を思ったか、
重厚な扉をノックした。
「せ、先輩、やめて下さいよ。誰もいないんですから、ノックなんて💦💦」
至って冷静を装って階段を降り、
「気のせいですね」と笑い飛ばした。
売り上げの集計を終え、ホフブロウの明かりという明かりを消し、
二人が外へ出る瞬間だった…、
「コン、コン…」
2階からノックの返事が聞こえたんです💦💦
人って、本当に怖い時、とりあえず“聞き違い”にしてしまうんですね。
当然、先輩に「聞こえました?」なんて確認も出来ず…。
ただ、真夏なのに先輩の腕に鳥肌を見たのは確かです。
何故、そこで、先輩に「聞こえました?」と聞けなかったかと言うと、
結局、そんな事があったからと言って逃げ出すわけにもいかず、
誰かに言っても信じて貰えないと思うし…、その“何か”を聞き違いにしないと、仕事にならなかったからです。
その後、大分経ってから部長に“2階の鍵を何故貸して貰えなかったか?”を聞く機会がありましたが…、「2階は開かないんだ」とだけ言われました。本当なのか…他に理由があるのか…。
真実は闇の中のままです。