「どうしたの?何があったの?」
Mちゃんは、胸をおさえ、
堰を切ったように泣き出した。
そして、Mちゃんは、泣きながらテーブルの上の箱の中から紙を持ってきた。
持ってきた小さな紙には、『カオリ』『キライ』『イナクナレ』と定規で書いたようなカタカナで書かれていた。カオリは、Mちゃんが今関わっている作品の役名だ。
彼女あてに届いたハガキだった。
正確には住所が書かれていない…だから、直接彼女の家のポストに投函したんだろう…。
彼女は、このハガキを見てから悩み続けていたのだ。
「…なんで、こんな…」
「たぶん、私が演じてる役柄に対してだと思う。」
「ひどいね…💦」
「直接、ポストに入れたのかな?」
「住所は無いし…たぶんそうだと思う…」
「誰かに相談した?」
「ううん、誰にも…。おばあちゃんに知られたら凄く怒られる。もともと私がお芝居なんてするの反対だったから…。」
おばあちゃんの反対を押し切ってMちゃんにお芝居をさせているおかあさんのことを心配していたようでした。
Mちゃんは、誰にも相談出来ずに、ひとりで不安と闘ってきて、限界を迎えていたようだった。
「現場には行ってるの?」
「うん。…行ってる…。」
ハガキを直接投函したのなら、差出人
は、Mちゃんの家を知っている…というのが、一番コワイ…。
家族にも相談出来ず悩み続けたMちゃんは、そのままレッスンも辞めた。
まだまだ可能性がたくさんあって、魅力的な彼女だったのに、悩みに悩んで彼女が選んだ道、私たちには衝撃でした。