あの頃(新入生)6

2020-06-21 07:48:54 | 日記
3度目からの稽古からあゆみの本領を発揮してきた。

最初の読み合わせでは、かなり低めのテンションでの発声だったので、周りの出演者たちが、思わず顔を見合わせるほどだった。

ところが、ところが❗

おそらく、周りの出演者たちの力量を見極める"様子見"だったのでしょう。

これぞ、あゆみさん❗…と言うくらいの勢いです。

ところが、一番の被害を被ったのは主演のAです。

このままでは、ライバル役のあゆみか主演の物語になってしまいそうだ。

Aの動揺が見てとれた。

「あゆみ。やり過ぎじゃない?」

来た~~💦💦

もちろん、本人には言えない。

陰でこっそり、私たちのいる場所にやって来て愚痴った。

「負けずにパワーアップしたら?」

Uがすかさず答える。

「周りの空気を読んで、あゆみも演技をおさえるべきじゃない?」

「最初、あゆみはテンションをおさえた読み方をしたけど、私たちの力量を見たんだと思う」

「力量を見て、空気を読んで、あのテンション?」

「…私たちの力量が彼女の思惑に達して無い…として、だからと言って、あゆみが力量をおさえる…というのも、おかしな話しじゃない?」

「私たちがあゆみに合わせるべき?」

「う~ん、すべてにそうはいかないけど、ある程度はね…。」

「私は、この主演はおさえた演技がいいと思うの」

「100%のエネルギーを50%におさえるのと、はじめから50%しか出さないとでは違うと思う」

「私が、50%しか出してないと思うの?これこらよ‼️」

突然のスター、あるいはモンスターの出現に、皆戸惑っていた。