3度目からの稽古からあゆみの本領を発揮してきた。
最初の読み合わせでは、かなり低めのテンションでの発声だったので、周りの出演者たちが、思わず顔を見合わせるほどだった。
ところが、ところが❗
おそらく、周りの出演者たちの力量を見極める"様子見"だったのでしょう。
これぞ、あゆみさん❗…と言うくらいの勢いです。
ところが、一番の被害を被ったのは主演のAです。
このままでは、ライバル役のあゆみか主演の物語になってしまいそうだ。
Aの動揺が見てとれた。
「あゆみ。やり過ぎじゃない?」
来た~~💦💦
もちろん、本人には言えない。
陰でこっそり、私たちのいる場所にやって来て愚痴った。
「負けずにパワーアップしたら?」
Uがすかさず答える。
「周りの空気を読んで、あゆみも演技をおさえるべきじゃない?」
「最初、あゆみはテンションをおさえた読み方をしたけど、私たちの力量を見たんだと思う」
「力量を見て、空気を読んで、あのテンション?」
「…私たちの力量が彼女の思惑に達して無い…として、だからと言って、あゆみが力量をおさえる…というのも、おかしな話しじゃない?」
「私たちがあゆみに合わせるべき?」
「う~ん、すべてにそうはいかないけど、ある程度はね…。」
「私は、この主演はおさえた演技がいいと思うの」
「100%のエネルギーを50%におさえるのと、はじめから50%しか出さないとでは違うと思う」
「私が、50%しか出してないと思うの?これこらよ‼️」
突然のスター、あるいはモンスターの出現に、皆戸惑っていた。