あの頃(新入生)12

2020-06-27 08:45:34 | 日記
あゆみは、主演の座を断った。

そんなに、主役のライバル役に魅力を感じているのか…それとも、こだわりの役作りなので、今さら役のチェンジは嫌なのか…と、周りは噂をした。



紆余曲折、とりあえず公演の稽古は進められた。

Aは、以前よりはパワーを発揮している。

しかし、あゆみほどのエネルギーは感じられない。

悩みながらも前進していた。

稽古もあと少し…。いよいよ本番に向けての磨き上げの時、あゆみが休んだ。

風邪をひいたと言う。

なんとなく不自然さを感じた。

本番近くだし、少しくらいの体調不良だと、とりあえず出てきそうなタイプだ。

よほどの高熱なんだろうか…。


そして、翌日…。

また、あゆみは休んだ。

風邪が治らないらしい…。

大丈夫だろうか?

よほどことなのだろうか…。

彼女は特に親しくしている仲間がいなかったので、誰かに様子を聞くことも出来ない。



「電話してみましょうか?」

演出に申し出た。

「うん…。頼む…。よほどことかも知れない…」

演出も、不自然さを感じていたようだ。


電話をしてみた。

……………。

出ない…。

電話にも出られないくらいひどい状態?!

時間をおいて再度かけてみる。

………かちゃ。。

出た。

「あゆみ、あんこだけど…。大丈夫?」

………ぷつっ。

切れた?

あれ?間違い電話しちゃったかな?


もう一度かけてみた。

……………。

それからは、出なかった。

なんだろう…胸騒ぎがする。