「K君と会いましたか?私とも会う予定だったんですよ」
先輩はすべてを悟って、黙ってしまった。
「先輩を尊敬してました。とても魅力的な人だし…。だけど、私が大切だと思っているモノを盗った先輩は嫌いです。」
そこで、先輩から返ってきた言葉は、例のセリフです。
『未熟なあなたに彼は似合わない。彼ははじめからあなたを好きでは無かったと言ったわ。』
正確には…、
「Aちゃんは未熟ね。彼はあなたを本気で好きでは無かったと言ってたわよ。かわいそうだけど…認めた方がいいよ。」
そして、高笑い…。
(正確には、高笑いではなく、鼻で笑われた…と言ってました)
Aは、カウンターパンチを受けて、何も言い返せず帰ったそうです。
そんなこともあって、胸の奥に沸々と怒りをくすぶらせていたAは、『何か』を確認するために、稽古を休をんでまで、先輩が居るカフェにゲリラ的に駆け込んだ。
「先輩に聞きたいことがあります!」
「どうしたの?Aちゃん」
「先輩は本当にK君が好きですか?」
「何言ってるの?」
Aは、何も言わず先輩の本心からの言葉を待った。
「あの時、私は、先輩に勝てないと思って、何も言えませんでした。だけど、本当に彼が好きなのか…、それを聞いていなかったのが心残りで、もやもやしたままなんです。」
「今もうまくいってるよ」
それだけを聞くと、Aは先輩に頭を下げると、帰ってきた。
自分が入り込む隙は、あるのか…無いのか…。
とにかく、入り込む隙も無いことを確認したかった。