あの頃(悪役)16

2020-06-14 07:31:21 | 日記
「K君と会いましたか?私とも会う予定だったんですよ」

先輩はすべてを悟って、黙ってしまった。

「先輩を尊敬してました。とても魅力的な人だし…。だけど、私が大切だと思っているモノを盗った先輩は嫌いです。」

そこで、先輩から返ってきた言葉は、例のセリフです。

『未熟なあなたに彼は似合わない。彼ははじめからあなたを好きでは無かったと言ったわ。』

正確には…、

「Aちゃんは未熟ね。彼はあなたを本気で好きでは無かったと言ってたわよ。かわいそうだけど…認めた方がいいよ。」

そして、高笑い…。

(正確には、高笑いではなく、鼻で笑われた…と言ってました)

Aは、カウンターパンチを受けて、何も言い返せず帰ったそうです。

そんなこともあって、胸の奥に沸々と怒りをくすぶらせていたAは、『何か』を確認するために、稽古を休をんでまで、先輩が居るカフェにゲリラ的に駆け込んだ。


「先輩に聞きたいことがあります!」

「どうしたの?Aちゃん」

「先輩は本当にK君が好きですか?」

「何言ってるの?」

Aは、何も言わず先輩の本心からの言葉を待った。

「あの時、私は、先輩に勝てないと思って、何も言えませんでした。だけど、本当に彼が好きなのか…、それを聞いていなかったのが心残りで、もやもやしたままなんです。

「今もうまくいってるよ」

それだけを聞くと、Aは先輩に頭を下げると、帰ってきた。

自分が入り込む隙は、あるのか…無いのか…。

とにかく、入り込む隙も無いことを確認したかった。