あの頃(悪役)5

2020-06-02 14:15:05 | 日記
Mちゃんの家を訪ねた。

Mちゃんは、笑顔で迎えてくれたが、

また、少し痩せたような気がする。

「Mちゃん。大丈夫?お休みがちだから心配してるよ」

「うん…大丈夫だよ。」

それだけ言うと、目をそらす。

いつも素朴で気を使う彼女が、とても不機嫌そうに見えた。

「何かあるんでしょ?」

一緒に行ったUが一歩踏み込んだ。

「大丈夫だよ。」

「最近、『大丈夫』ばかり、人って大丈夫じゃない時に『大丈夫』って言うよね」

ぐっと堪えたような顔をした彼女が突然伏せた。そして再び顔を上げると、

ポロポロと大粒の涙を流した。



あの頃(悪役)4

2020-06-02 07:23:57 | 日記
ここのところ、具合が悪そうなMちゃん、ちゃんとした理由も聞けないまま、私たちは静かに見守っていました。

そして、いよいよ、彼女はレッスンにも来なくなった。

私とUは、Mちゃんを訪ねてみることにした。

前にも書きましたが、Mちゃんは、老舗の和菓子屋さんのお嬢さん。

お店のすぐ裏手に大きな自宅。

広い庭と池。松の木が植えられていて平屋の大きな家。

いかにも老舗の和菓子屋さん❗というイメージの建物です。

当時メールなどはありませんでしたから、『これから訪ねていい?』なんて連絡も出来ず、ほぼ突然の訪問です。

もちろん、自宅に電話はしました。

電話に出たのはMちゃんのお母様。

「Mちゃんは、大丈夫ですか?」

「ありがとうございます。ご心配お掛けして💦」

「これから、うかがってもいいですか?」

少し間があって

「…はい。」

なんか、まずいのかな…💦💦

「あの💦まずいですか?」

お母様が何か戸惑っている空気を感じたので、たじろいだ。

「いえいえ!そんなことは…!ぜひ、お越しください❗」

「はい、では、お邪魔します」

…なんだろう…。急に不安になった。