あの頃(新入生)16

2020-07-01 07:11:01 | 日記
ジャズの流れる喫茶店で、ケーキを頬張っていると、あゆみが現れ、雑談が盛り上がって、急激に親しくなった。

団子屋へ行けば、Aがいるかも知れない…と、思いつつも、美味しいコーヒーとケーキに惹かれて、ジャズの流れる喫茶店に足は向かった。

今日もあゆみがケーキを食べている。

あゆみは、心なしか、今までと別人みたいによくしゃべる。

「あんこさんと話しが出来るのが楽しみで!」

「ありがとう!私も楽しいよ!」

考えてみると、あゆみは後から入ったせいか、特に親しい仲間はいない。

しかも、あゆみは、有名な劇団に居た…という噂が先行してしまって、近寄りがたさを放っていた。

「聞いてもいい?」

「…え?」

「どうして、Aが主演のチェンジして欲しいという提案を断ったの?」

「ライバル役に魅力を感じていたから!」

…たぶん、嘘だ…。

そんな気がした。

誰にも言えない、何か、よほどの理由があるんじゃないだろうか?

…そうだ!いいチャンスだから、例の件も聞いてみよう!

「あの…あゆみさんは、劇団◯◯に居たって本当?」

「…あ、その話し?」

…あ、これも、聞いたらまずい話し?

「本当だよ」

「…そうなんだ!すごいね!」

『…何で辞めたの?』…と、聞きたかったけど、今はやめておこう…。