ジャズの流れる喫茶店で、ケーキを頬張っていると、あゆみが現れ、雑談が盛り上がって、急激に親しくなった。
団子屋へ行けば、Aがいるかも知れない…と、思いつつも、美味しいコーヒーとケーキに惹かれて、ジャズの流れる喫茶店に足は向かった。
今日もあゆみがケーキを食べている。
あゆみは、心なしか、今までと別人みたいによくしゃべる。
「あんこさんと話しが出来るのが楽しみで!」
「ありがとう!私も楽しいよ!」
考えてみると、あゆみは後から入ったせいか、特に親しい仲間はいない。
しかも、あゆみは、有名な劇団に居た…という噂が先行してしまって、近寄りがたさを放っていた。
「聞いてもいい?」
「…え?」
「どうして、Aが主演のチェンジして欲しいという提案を断ったの?」
「ライバル役に魅力を感じていたから!」
…たぶん、嘘だ…。
そんな気がした。
誰にも言えない、何か、よほどの理由があるんじゃないだろうか?
…そうだ!いいチャンスだから、例の件も聞いてみよう!
「あの…あゆみさんは、劇団◯◯に居たって本当?」
「…あ、その話し?」
…あ、これも、聞いたらまずい話し?
「本当だよ」
「…そうなんだ!すごいね!」
『…何で辞めたの?』…と、聞きたかったけど、今はやめておこう…。