あゆみが新入生としてやって来て2度目の公演を迎えようとしていた。
かつては、有名劇団で大きな舞台を踏んで来た彼女が、今は端役ではあるけど、全力投球で楽しんでいる姿に、皆のあゆみに対する好感度が上がっていった。
ところが、ところが……💦
後、数回の稽古を残して、間近に本番が迫ったある日、あゆみは稽古を休んだ。
確か…、前回の稽古の時もそうだ…。
しかも、今度は事務所に連絡が来ていない…と言う…。…無断欠席だ。
…あり得ない❗
あのあゆみに限って、無断欠席だなんて💦
あゆみとジャズの喫茶店で会うようになってから、たくさん話しをして来た。
とても真面目で熱心で、『芝居に集中できるのが楽しい』とまで言ってた彼女が、みんなに迷惑をかけるなんて…。
「電話、お借りしていいですか?」
私は、稽古の休憩中に、事務所の電話を借りた。
「プルルル…、プルルル…」
呼び出してはいるが、出ない…。
稽古が終わってからまた、電話してみよう…。
「あゆみ、どうしたんたろう…」
仲間たちは皆、心配していた。
皆も、無断欠席はあり得ない…と感じている。
何かしらのトラブルに違いない…💦💦
稽古からの帰り道、自宅に着いてから…、数回電話してみた…。
…出ない…。
あらためて言いますが、その昔は、スマホどころか、携帯電話さえ無かったんです。
…なので、私が電話をしているのは、彼女の自宅ですね。
彼女が自宅に居なければ、電話には出られない…ワケです。
懲りずに電話していた。
………かちゃ。。
出た。
「あゆみ?!」
………ぷつっ。
切れた…!
まただ…。