あゆみが稽古を休んで3日目、誰より早く稽古場に来るあゆみは、今日も来ていない。
いよいよ、アウト…だよね💦
すると、演出と連れだって、あゆみがやって来た。
「あゆみは、事情があって、今回の舞台を降板する」
「ーーーえっ‼️」
皆が叫んだ。
誰もが「なぜですか?」「どうしてですか?」
と、聞きたかったが、うつむいたあゆみが涙を流していて、とても聞けない。
心なしかあゆみは、やつれている。
あゆみは、見る限り元気そうだし、降板するほどの『理由』とは何だろう…。
あんなに熱心で、人一倍がんばり屋で、芝居に集中できるのが嬉しいと、幸せそうに微笑んでいたあゆみ…よほどの事情じゃないか…と思った。
その日あゆみは、稽古を見学することなく、帰って行った。
ここを辞めるワケでも無ければ、雑務もたくさんあるんだから、手伝いで残ってもいいものなのに…。
まぁ、見学もつらい事だと思うけど…。
ーーーーー結局、あゆみが抜けた舞台は、無事に本番を終えた。
あゆみは手伝いには来たが、誰とも会話をしたく無さそうな空気を放っていた。
端役とは言っても、物語の展開に必要な役だったあゆみの役は、新人の女の子が引き受けた。
あゆみは、舞台袖から、輝く新人の女の子を羨ましそうに見つめていた。