あの頃(スター)14

2020-07-27 07:19:40 | 日記
ある日の帰り道。

お酒の場に居た。

『頑張ろう会をしよう!』

…という、王子の呼びかけで、ほとんどの役者が集まった。


王子は相変わらず女性に囲まれて大人気だ。

王子の取り巻きには、珍しくアイドルの姫もいた。

二人とも、ちやほやされ捲りで、ご満悦だ。



私はというと、遠く離れた席で、私に近い年齢の男性役者さんと飲んでいた。

「どうですか?この作品」

唐突に聞かれた。

「いい作品だと思います」

正直、つかみどころの無い作品だと思うけど、そんなこと言えない。


「ねぇねぇ、おねえさんも、こっち来て~!」

姫が声を掛けて来た。

ちょっと面倒だったので、聞こえないふりをすると、

「おねえさん~!こっち来て~!」


今度は、王子のお呼びだ。

…いやだなぁ…。


…女子(しもべ)に囲まれてて、充分ではないか…、こんなオバサンは必要無いのでは?

「はい。」

…と、満面の笑顔で微笑むと、また、年の近い男性役者さんとの会話に戻った。

「ここに来る前も、舞台やってたの?」

「はい、少し…」

「ね、おねえさんも、こっちおいでよ!」


また、王子がお呼びだ。


『…うるさいなぁ…💦』


と、私の心の声が聞こえたのか、王子は黙ってしまった。