ある日の帰り道。
お酒の場に居た。
『頑張ろう会をしよう!』
…という、王子の呼びかけで、ほとんどの役者が集まった。
王子は相変わらず女性に囲まれて大人気だ。
王子の取り巻きには、珍しくアイドルの姫もいた。
二人とも、ちやほやされ捲りで、ご満悦だ。
私はというと、遠く離れた席で、私に近い年齢の男性役者さんと飲んでいた。
「どうですか?この作品」
唐突に聞かれた。
「いい作品だと思います」
正直、つかみどころの無い作品だと思うけど、そんなこと言えない。
「ねぇねぇ、おねえさんも、こっち来て~!」
姫が声を掛けて来た。
ちょっと面倒だったので、聞こえないふりをすると、
「おねえさん~!こっち来て~!」
今度は、王子のお呼びだ。
…いやだなぁ…。
…女子(しもべ)に囲まれてて、充分ではないか…、こんなオバサンは必要無いのでは?
「はい。」
…と、満面の笑顔で微笑むと、また、年の近い男性役者さんとの会話に戻った。
「ここに来る前も、舞台やってたの?」
「はい、少し…」
「ね、おねえさんも、こっちおいでよ!」
また、王子がお呼びだ。
『…うるさいなぁ…💦』
と、私の心の声が聞こえたのか、王子は黙ってしまった。