あの頃(スター)27

2020-08-09 10:18:35 | 日記
プリンセスととぼとぼ歩くある日の帰り道。

男の子が数人近づいて来た。
「あのぅ…。⚪⚪さんですよね?握手してください」

「サインしてください」

「もう、お仕事辞めてるので…」

プリンセスは、私に気を使ってくれているようだ。

戸惑っていると、さらにそれに、気づいて何人かが近づいてくる。

「私は、いいので…(対応したら?)」と、私。

「いいの…いいの…。(男の子たちに向き直って)…ごめんなさい。」頭を深く下げ、丁寧にお断りをすると、プリンセスは歩き出した。

「あの…」

男の子が食い下がる。

「握手だけでいいです。ボクのお兄ちゃんもファンで…。」

「ありがとうございます」

プリンセスは、笑顔になったが、少しひきつっている。

「ボクも、握手だけでいいです。」

もうひとりも、手を差し出す。

遠巻きに見ていた人たちも、ゆっくり近づいて来た。

プリンセスは、このままではキリがない…と思ったのか、根負けをして、仕方なく握手に応じた。

「あ、やっぱり、サインも!」

『握手だけでいい…』と言ってたのに、さらなる注文。
がんばってお願いすれば、応じてくれる…と、思われたのかも知れません。

プリンセスは、困ったような顔で私を見つめた。『余計な時間を取らせてごめんね』…と言ってるような気がした。

まぁ、こんな雰囲気は滅多に体験出来ないので、プリンセスの困り顔を傍目に、興味津々で見つめていた。

「サインは、本当にごめんなさい。今は仕事してないので。」

「しつこいと、嫌われますよ~」

困り顔のプリンセスを助けた声があった。

フイに現れて、冗談混じりに男の子たちを牽制してくれたのは、スターさんだった。

カッコいい~❗