プリンセスととぼとぼ歩くある日の帰り道。
男の子が数人近づいて来た。
「あのぅ…。⚪⚪さんですよね?握手してください」
「サインしてください」
「もう、お仕事辞めてるので…」
プリンセスは、私に気を使ってくれているようだ。
戸惑っていると、さらにそれに、気づいて何人かが近づいてくる。
「私は、いいので…(対応したら?)」と、私。
「いいの…いいの…。(男の子たちに向き直って)…ごめんなさい。」頭を深く下げ、丁寧にお断りをすると、プリンセスは歩き出した。
「あの…」
男の子が食い下がる。
「握手だけでいいです。ボクのお兄ちゃんもファンで…。」
「ありがとうございます」
プリンセスは、笑顔になったが、少しひきつっている。
「ボクも、握手だけでいいです。」
もうひとりも、手を差し出す。
遠巻きに見ていた人たちも、ゆっくり近づいて来た。
プリンセスは、このままではキリがない…と思ったのか、根負けをして、仕方なく握手に応じた。
「あ、やっぱり、サインも!」
『握手だけでいい…』と言ってたのに、さらなる注文。
がんばってお願いすれば、応じてくれる…と、思われたのかも知れません。
プリンセスは、困ったような顔で私を見つめた。『余計な時間を取らせてごめんね』…と言ってるような気がした。
まぁ、こんな雰囲気は滅多に体験出来ないので、プリンセスの困り顔を傍目に、興味津々で見つめていた。
「サインは、本当にごめんなさい。今は仕事してないので。」
「しつこいと、嫌われますよ~」
困り顔のプリンセスを助けた声があった。
フイに現れて、冗談混じりに男の子たちを牽制してくれたのは、スターさんだった。
カッコいい~❗