「電車ですか?」
たまたま、帰り道に、プリンセスと一緒になった。
「電車です。⚪⚪駅なので」
「近いですね」
「あんこさんは?最寄り駅は?」
「⚪⚪駅です。乗り換えがあるから面倒で💦」
「近いじゃないですか」
「…そうですね」
………。
しばらく沈黙で歩くと、駅にたどり着いた。
「それじゃ、来週!」
「はい。お疲れ様!」
はじめてまともに話をしたが、思った以上に感じいい。
しかも、いつの間にか姫と王子のせいで皆に『おねえさん』と呼ばれていたのに、プリンセスはあんこさんと呼んだ。
悪くない。
おねえさんと呼ばれるのが嫌だったワケじゃないんです。
当時やはり、ある一定の年齢を過ぎると、周囲からは『結婚』を意識させられるような空気で包まれはじめるんです。
イベントなどの運営側がいい感じで育てても、『結婚』のひとことで、辞めてしまう女性たち…という良くないイメージがありました。
年頃を迎えた女性は、どんなに力を入れて育てて来ても、あっさりと辞めて行ってしまう…と、思われていたみたいです。
なので、姫がマウンティングするかのように、『おねえさん』と呼ぶことは、マイナスのイメージと感じました。