ライバル 11

2022-05-25 07:45:47 | 日記
「今からお茶でも、どう?それとも、お酒でも?」

「え?私と?」

「もちろん」

達也さんの思わぬ提案に、結子さんは嬉しくて顔が赤くなってるのではないかと、下を向いた。

「あの、少し歩いたところに、焼き鳥の美味しいお店があるの。そこ、どう?」

「やきとり、いいねぇ!」

会社の近くの駅付近だと、誰かに見られるのではないか…、達也さんの彼女に見られるのではないか…と、心配して、一度行ってみたことのあるお店を提案した。

お店までの道のりは、特に会話もなく、黙々と歩いた。

"話しも盛り上がらず、黙々と歩くなんて、つまらない女だと思われただろうか…、誘って失敗した…と思われていないだろうか…"と、道々結子さんは考えていた。

おそらく、会社の人は来ないだろう…と思える店にたどり着いた。

「ごめんね、急に誘って」

「いえ、そんな!嬉しいです」

"嬉しいです!"と、思わず言ってしまったことに、急に恥ずかしくなった。



ライバル 10

2022-05-24 12:01:20 | 日記
…数日後、

結子さんは、仕事帰りに、達也さんを見掛けた。

同じ時間帯に、同じ電車に乗るのは久しぶりだ。

話し掛けようか…。

…だけど、彼女がいるなら、気軽に話し掛けて迷惑じゃないだろうか…。

達也さんの後ろ姿を見つめながら、とぼとぼと歩いた。

…やっぱり、話し掛けるのはやめよう。

あらたまって彼女が出来た…という話を、彼の口から聞かされるのはつらい…。

わざと用事を作って、彼と同じ電車に乗らないように…と、本屋に入った。


特に見たいものもない…のに、本屋をうろうろする。

『恋のすすめかた』『恋愛入門』

なんとなく、こんなタイトルを目にすると、立ち止まってしまう。

『恋のマニュアル』

手に取った瞬間…、

「今日は、早いんだね」

「…え?」

達也さんだ。

達也さんが、笑顔で横に立っていた。

「達也さん!達也さんも、早いのね」

結子さんは、手にしていた本『恋のマニュアル』を
あわてて本棚に戻した。


ライバル 9

2022-05-23 09:35:32 | 日記
結子さんのライバルが現れ、しかも付き合うようになったとか…。既に手遅れ。

結子さんは占いに向かった。

「達也さんが後輩とお付き合い?それは、本当?」

「私自身が確認した訳ではないので…。」

「誰から聞いたの?噂?」

「亜由美から直接聞きました」

話の出どころが亜由美さん…。

とりあえず、彼の身の回りを占ってみると、恋愛につながる女性関係が特に無い…ということに。。。


後輩と付き合うことになった…って、本当なのかな…?

結子さんも、疑問を持ち始めたが…、今のところ確かめる術がない。

「ところで、亜由美さんは、仕事は上手くいってるみたい?」

「順調だった仕事も、ここのところちよっとトラブルが起きて、ちょっとイライラしているみたい」

「なんだか、結子さん、いつも亜由美さんの言葉に右往左往してますね。真実は自分で確かめてみた方がいいんじゃない?」

「そうですね。自分で確かめてみます」


ライバル 8

2022-05-22 08:01:02 | 日記
そして、数日後。。。

結子さんは、次の飲み会で、達也さんの隣の席をゲットできて、やっと彼のプライベートなアドレスを手に入れた。

結子さん的には、精一杯の努力でした。

アドレスを手に入れたからと言って、むやみに連絡するわけにもいかずに、様子を見ていました。

それでも、達也さんと気軽に世間話しが出来るくらいに仲良くなれたし…、まぁ、まぁ、焦らずのんびり…と、構えていました。

ある時、亜由美さんが興味津々な表情で結子さんに話しかけてきます。

「ねえ、達也さんが後輩の女の子と付き合うようになったって知ってる?」

「え?後輩?」

やはり、占い通りライバル現れました。

……しかも、ライバルの存在に気づいた時には、既に手遅れ。


ライバル 7

2022-05-21 13:23:51 | 日記
数か月後…。
結子さんの状況は少し変わりました。

結局、仕事の席を亜由美さんに譲ってすぐに、亜由美さん自身が仕事が忙しくなって、その上、仕事が楽しくなったのか、達也さんとのガチの連絡も取らなくなって…フェイドアウト。
結子さんは?…というと、いまだに達也さんのガチのアドレス聞けず。

新たな占いによると、「のんびりしてると次のライバルが彼を狙ってる!」…とのこと。
結子さんは「彼…モテますからね…」とため息をついた。