「今からお茶でも、どう?それとも、お酒でも?」
「え?私と?」
「もちろん」
達也さんの思わぬ提案に、結子さんは嬉しくて顔が赤くなってるのではないかと、下を向いた。
「あの、少し歩いたところに、焼き鳥の美味しいお店があるの。そこ、どう?」
「やきとり、いいねぇ!」
会社の近くの駅付近だと、誰かに見られるのではないか…、達也さんの彼女に見られるのではないか…と、心配して、一度行ってみたことのあるお店を提案した。
お店までの道のりは、特に会話もなく、黙々と歩いた。
"話しも盛り上がらず、黙々と歩くなんて、つまらない女だと思われただろうか…、誘って失敗した…と思われていないだろうか…"と、道々結子さんは考えていた。
おそらく、会社の人は来ないだろう…と思える店にたどり着いた。
「ごめんね、急に誘って」
「いえ、そんな!嬉しいです」
"嬉しいです!"と、思わず言ってしまったことに、急に恥ずかしくなった。