結局、利奈さんは沙友理さんの存在も真央さんの存在も知っていた。
「私って、彼からしたら母親みたいなものなんでしょうね」
「…そうなのかな?」
たぶん、そうなんだと思う…。
だけど、最後に自分のところに帰ってくる…という不確かな自信もあるのかも知れない。
「たくさん浮気して、最後は自分のところに帰ってくる…なんて思ってないです。」
「……。」
…見透かされた?💦
「例えば彼が、最終的に他の人を選んでも仕方ないかな…と思うんです。春が長過ぎますものね。だけど、春をたっぷり過ごせて良かった…と思うようにしてます。例えば彼が私を母親のように思っていたとしても…、息子だって母親の思うようにならないじゃないですか…。彼もひとりの人間ですから、いくら長い時間を一緒に過ごしても、私の"物"ではないですし、彼はひとりの男性として彼の思う道を進むと思います。」
さすが…と思った。長く付き合ってこんな考えにたどり着くなんて…、人間が出来ている…。