同窓会への誘い

高校を卒業することン十年。
はじめて、同窓会のお知らせが届いた。

大学の1年の夏、親はそれまでの赴任地、富山から三重の工場へと転勤した。
高校の卒業名簿には、私の住所は富山の呉羽というところになっている。

しかし、それも親が転勤して住処を変えればそこまでのこと。
私が行方不明になるのは思いのほか早かったと思われる。

中学だってそう。中2の春休みに転校した私は、それまで２年間通った学校は勿論、
最終学年で在学した学校からも、行方不明になっている。

そうやって遡れば、小学校も、幼稚園も、すべて卒業・卒園のときに登録？した
住所からは何年もしないうちに消えていなくなっている。

大学だってそうだったのだ。
学生時代を過ごしたアパートは引き払われ、就職が決まって住みだした場所は学校には訂正をしていない。卒業して暫くは当時親が住んでいたところに同窓会報が届いていたらしいが、親がまた転勤すればたちまち行方不明になった。

そんなこんなで、私は全ての学校から行方不明者扱いになっていた。
大学には、石川に住む先輩が知らせてくれてリストから外され、高校も去年、
同級生が知らせてくれた。
おかげで、はじめて高校からの同窓会の案内状が届いたという次第。

卒業生の関西にすむ人ばかりを集めて、大阪であるようだ。なんとそれも20回目。
新大阪からすぐのところなので、行ってみたいような気もするが、実際のところ、
転校生の性で、今でこそ関西に住んでいるものの根っこは富山にあります、という彼女たちと多分、心からは馴染めない。

こればっかりは、転勤族の家族としてあちこちを転々とした人にしか分からないと思うけれど、私たちはボヘミアン。
富山だと『旅の人』
そう、一時、その地に留まっても、根を生やすことはしない。
ある時間が来れば、また私たちはさすらっていなくなる。
私の記憶にもその地は薄く、私を一時住まわせてくれた地にも、私の影は薄い。

どこもかもが落ち着きのない、居心地の悪さとセットになって。

京都に住んで、何十年と時間が過ぎても、私はやっぱり京都人にもなれなくて。

同窓会の案内で、出席か欠席か、という選択のほかに出席してもいいのか？という
迷いもあるというのが本当。
企業は、簡単に人をあちこちに飛ばすけど、私はこの繰り返された転校、というのは私の性格形成にかなりなウェイトを占めていると思う。