椹野道流著 角川文庫 平成28年5月25日 初版
最後の晩ごはんシリーズも6作目。
今作は『ばんめし屋』の主人 夏神留二より、その店の店員で居候の(住み込み店員というべきか?)五十嵐海里がメイン。
夏神は冬山で恋人や仲間を失い、ひとりだけ助かったつらい過去を持つ。
海里は元イケメン俳優ながら、つまらないスキャンダルに見舞われて芸能界をやめ夏神の店で働いている身。
ばんめし屋には時々幽霊も現れて、彼らがこの世に思い残すことが無くなったら見えなくなる、、、という設定を忘れかけていた(苦笑)
・・・幽霊は夏神と海里にしか見えないが・・・
まぁ、そういった縁やあちこち張り巡らされた伏線で、いろんな登場人物が現れるわけだが、今回は隣の警察署に勤務している刑事が市民からの相談を持ってきて・・・という設定。
夏神は精神面のリハビリ中で、刑事を手助けするのが海里。
海里は昔取った杵柄で。。。
木版画作家の市民から持ち込まれた難題を無事解決。
というストーリー。
夏神も海里も今作でひと皮剥けたというか、一回り成長した部分を見せる。
前作までに比べて、ちょっと雰囲気が違う作品に仕上がっているように感じた。
夏神の作る『うまそうな』ご飯が出てこないせいかもしれないけれど(笑)
多分、今作を起点に、夏神と海里の人生が少しずつ変わっていくんだろうな、というのを予感させるものでした。
例によって、巻末には小説で出てきたお料理のレシピ(今回は海里が作ったもの)と、初回出荷分限定で、『書き下ろしショートストーリーレシピペーパー』がついていた。
付録?のレシピは夏神作の・・・たぶん・・・なんちゃってアップルパイ(笑)
煮リンゴを春巻きの皮で包んでフライパンで焼く、というもの。
これはこれで美味しそうで、冷凍のパイシートじゃなくても春巻きの皮で簡単なデザートができて便利かも。
ちょっと泣ける場面もあって、やっぱり面白い。
夏神留二は坂口憲二、 五十嵐海里は山崎賢人でよろしく(笑)