また会う日まで

 朝日新聞朝刊で連載されている池澤夏樹氏の「また会う日まで」がいよいよ最終盤となり、あと五日で連載が終了するようです。2020年8月に始まったこの連載小説は、一年で終わるのだろうと高を括っていた郷秋<Gauche>の予想に反して本日現在で526回目ですが、先週、1月末で完結ことが先週アナウンスされました。

 これまで新聞小説など余り読んだことがないので調べてみところ、全一段だと19文字✖49行(挿絵を除く)で931文字、これが531回となりますから全494,361文字、400字詰原稿用紙にすると1236枚となります。小説は300枚を越えると「長編」と云うようですから、「また会う日まで」は堂々たる長編ですね。

 この連載小説は池澤氏の大伯父である秋吉利雄(聖公会信徒にして旧日本海軍少将、理学博士(天文学)。1889-1947年。池澤の実父である福永武彦が秋吉利雄の甥に当たる)の伝記的小説です。時折登場し、時代背景とその時代の空気を伝える「M氏」を除いては概ね事実に沿って書かれているようです。

 その終盤、秋吉利雄の帰天の部分がやけにあっさりと書かれているのが気になりました。一年半年前、連載の最初に今際の際の秋吉利雄が己の生き様を回想するシーンが描かれていたことを思い出したのですが、詳細はほとんど忘れてしまっておりました。単行本として出版されてものであればページを繰って確認することができるのですが、そのあたりは新聞小説の宿命と云うことになりますね。

 池澤氏の父である福永武彦は「また会う日まで」にも描かれているようにある時信仰を捨てながら、死の2年前に信仰を取り戻し召天しています。池澤氏の作品をこれまでに読んだことがありませんので、その思想的な立ち位置がどこにあるのかまったくわかりませんが、いずれ推敲され単行本として出版されることと思いますのでその折にはじっくり読んでみたい「また会う日まで」です。

 横浜の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは1月22日に撮影した写真を5点掲載しております。冬枯れの中にも春の気配が感じられるようになってきた森の様子をご覧いただけたら嬉しいです。
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