どうなる、日産

注:以下、やや長文かつ「車オタク的お話」ですので、興味のない方は遠慮なく「戻る」ボタンを押してください。

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 15日に「一人負け 背水の日産」と題する小文を書きました(こちら)。そのわずか3日後の18日には「ホンダと日産 経営統合に向け協議」とにニュースが飛び込んできましたが、驚きはしませんでした。15日には控えめに「やっぱり頼みの綱はホンダかなぁ?」、ホンダには「こちらから助け船を出すという発想はない」らしいとは書きましたが、そうならざるを得ないだろうと思っておりましたので、まぁ、既定の路線が明るみになっただけ。

 ところが、話はそれでは済まなかったのだ。18日夜には「台湾のホンハイ(鴻海精密工業)が日産の買収を考えている」との情報が流れたのです。

 ホンハイは、国営企業である台湾中油を上回る台湾最大の企業です。リンゴ教信者にはiPhoneの製造会社として以前から知られた企業でしたが、日本の一般消費者にその名が知れ渡ったのは2016年に家電メーカーのシャープを買収した時でしょうか。そのホンハイは2022年に自社で開発したEVを発表し、2025年にはEVで300億ドルを売りあげるのだとブチ上げているのです。

 そのホンハイのEV事業の最高戦略責任者(CSO)が、かつて日産のナンバー3(執行役副最高執行責任者)であったS氏です。S氏は、日産の現取締役兼代表執行役社長兼CEOである内田 誠氏とトップの座を争ったのでしたが敗れ日産を去り、日本電産CEOである永守重信氏に誘われ氏から同社の最高経営責任者(CEO)を引き継いだのですが、2022年には執行役員兼最高執行責任者(COO)に降格され、経営不振の責任を取るとして退任。そして、2023年1月にホンハイ(EV)事業のCSOの座に就いたのでした。

 そもそも日産の社長レース、社内ではS氏が有力と目されていたようでしたが、ルノーの覚えめでたい内田氏に敵わず紆余曲折、ホンハイのEV事業のCSOに至ったことから、日産を自らの企業・事業の傘下に収めることにより、永年の遺恨を晴らさずにはおられないと云う強い思いがあることは想像のできるところです。

 そうは云っても世界規模の企業が一個人の怨念だけで動くことはないでしょうから、ここは何よりもホンダの意向、日産の株式の約1/3を保有するルノーの意向、さらには日本を代表する企業・ブランドが外国企業に渡ることを懸念する日本政府(経済産業省)の思惑などが複雑に絡んでくることでしょう。本小文のタイトルを「どうする、日産」としたい思いはあったのですが、残念ながら今の日産にはもはや自身の未来を決める力はなく、残念ながら「どうなる、日産」とせざるを得なかったのはそのためです。

 自動車は日本の基幹産業ですから、日産の行方が日本の産業、経済に与える影響は少なくありません。また日産の将来如何によって、どのモデルが消えそして残るのか、クルマ好きが欲しいと思うようなクルマ登場の有無が大きく左右されることになりますから、クルマ好きはこの「日産問題」からしばらくは目が離せなくなりますね。


 と云う訳で今日の一枚は、日産が一番輝いていた時代の名車、3代目ブルーバード(510系)1600 SSSクーペ(1969年式)。郷秋<Gauche>的には6代目(910系)、8代目(U12系)も名車であると信じております。
画像はhttps://www.nissan.co.jp/HERITAGE/DETAIL/242.html より。クリックいただくと510ブルーバードの諸元もご覧いただけます。

横浜市青葉区の住宅地の中に残された小さな里山の四季の移ろいを毎週撮影・掲載しているblog「恩田の森Now」に、ただいまは12月14日に撮影した写真を5点掲載いたしております。晴天なれど冷たい風の吹く森の様子をご覧いただけたら嬉しいです。
https://blog.goo.ne.jp/ondanomori/e/17f4374738bd844ed70cec3c66daa7a4

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#日産自動車 #日産業績不振 #日産経営危機 #ホンダ #経営統合 #ブルーバード #名車 #ホンハイ #鴻海精密工業 #EV

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コメント
 
 
 
Unknown (月下の走術師)
2024-12-21 08:40:15
おはようございます。

クルマネタにすぐ飛びつく走術師です。もう時効だから何でもばらせますが日産内部でのホンダ攻撃は根強かったですよ。一般的にはプレリュードの大ヒットに対抗してシルビアが発表会で偉い人がライバルはプレリュードと名指ししたのはあまりにも有名です。遡ればプリンスとの合併の時でさえ各社員に温度差があったらしいですし。

ブルーバードというとジュリー(沢田研二さん)がイメージキャラクターをやっていたモデルが一番好きです。その後出た鉄仮面スカイラインも多少なりとブルーバードの大ヒットが無関係ではないと思います。

今後ホンダとの統合が進んでも上記のように内部対立が起こるので上手くはいかないんじゃないかなと思いますが..。
 
 
 
Unknown (郷秋<Gauche>)
2024-12-21 20:22:45
月下の走術師さん
お待ちいたしておりました(^^)

 当然といえば当然ですが、企業風土が大きく異なりますので経営統合とは云っても日産の企業風土・文化を短時間で変えることは難しく、競合部分を整理しつつ技術提携的な2社(2ブランド)共存にならざるを得ないような気がします。
やはり政府(通産省)の意向を汲んだ、日本を代表する企業・ブランドの海外流出を阻止すると云う側面が大きいのではないでしょうか。

>ジュリー(沢田研二さん)がイメージキャラクターをやっていたモデル
910型でしょうか。ブルーバードにも「当たり外れ」はありますね。
 
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