銀幕大帝α

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ヒメアノ~ル

2016年11月19日 14時48分19秒 | 邦画サスペンス
2015年
日本
99分
サスペンス/コメディ
R15+
劇場公開(2016/05/28)



監督:
吉田恵輔
『純喫茶磯辺』
原作:
古谷実
脚本:
吉田恵輔
出演:
森田剛森田正一
濱田岳岡田進
佐津川愛美阿部ユカ
ムロツヨシ安藤勇次



<ストーリー>
ビル清掃会社のパートタイマーとして働く岡田は、同僚からカフェ店員・ユカとの恋の橋渡し役を頼まれる。彼女が働くカフェへと足を運んだ岡田は、そこで高校の同級生・森田と再会し…。

めんどくさいから殺していい?

-感想-

「お母さん、麦茶持ってきて!」
事故を引き起こし血塗れとなり片脚失ってようやく楽しかった頃の自分の姿を思い出す。
耳障りな言葉に支配され続けられてきた脳が正常に解放された瞬間でもあった。

岡田がユカからまさかの逆告白を受け動揺。
盗み見していた安藤が奇声を発してその場から逃走、それを見て何故かユカも奇声を上げながら逃走。
ポツンと残される岡田。
我慢する事はない、ここだけは声に出して大笑いしておけ。

一組のカップルが誕生した時に、一人の狂人が動き始める。
開始から40分弱、凄いタイミングでタイトルテロップが映し出され不安を齎す音楽も同時に流れ出す。
これを起点に平和な日常が一気に地獄行きと化していく。

直後の岡田とユカとのセックスシーンと森田の凶暴性を帯びた殺人シーンをカットバックで映す演出が絶妙で、エロス・殴打・喘ぎ・失禁・後背位挿入・痙攣・幸福の絶頂、そして殺り遂げた事での絶頂と同時刻に起きた対象的な絵面の切り替えしには、これからの嫌でも目撃せざるを得ない悲劇を予兆させ、変な汗が全身から出てきてしまった。

手が邪魔っ!

後半は狂っている。
狂い過ぎて逆に目を背けるのも忘れてしまう程だ。
森田の暴走に歯止めが利かなくなり、不穏な空気が辺り一面を覆い尽くすと一時の安らぎも与えないまま物語はラストまで一気に突き進む。
100分も無い作品だが、余りにも救い様の無さが続く為に2時間以上鑑賞した様な猛烈な精神の疲れを感じてしまう位に引き込まれてしまう狂気の展開。
頭が完全にイカれてしまっている森田。
サイコパスと言うに相応しいその邪魔者を次々と己の手で排除していく危険の度が過ぎる森田を演じたのがV6の森田剛。

役作りが完璧過ぎて顔がヤバイ事になってしまっている。
アイドルの肩書きを捨て、サイコキラーという難役を全身全霊を傾けて遣り遂げた事で強烈なインパクトを残してくれていた。
あのヤバイ顔は今でも頭に思い浮かべると身震いしてしまう。

原作漫画は読んでいる。
あちらも危険な香りがする内容だったが、本作を観て私は確信した。
間違いなく原作を遥かに超越している危ない映画だ、と。
登場人物を絞った事でかなりテンポの良い流れとなっているし、森田くんにしろムロツヨシさんにしろ癖者の役者を揃えたてのも功を奏し、作品全体の株を上げるのにも成功している。
昔から濱田岳が出演している映画にはハズレ無しと思っている自分だが、これも又当たり、大当たりだった。

日本のサイコサスペンスもので、精神的にダメージを大きく食らったのは園監督の『冷たい熱帯魚』があったが、あの作品から久しぶりに衝撃を受ける事になるのがまさかこの作品になろうとは正直予想にもしていなかった。

現実社会でも問題となっている「イジメ」。
これは本当にやってはいけない。
受けた人間の心の傷は一生涯消えないし、誰に対しても得にもならない。
「イジメ」は人を変え、「イジメ」は人を壊す。
そんなメッセージ性を込めた本作だが、見応えは十分にあると断言出来る。
だが、不快な気持ちを抱き、心が沈んだままエンドロールを迎える事も否定は出来ない。
楽しい映画を観たい人にこの作品を薦めるのは気が引けるが、日常に潜む怖さを体感したければ鑑賞しても損はないだろう。
但し、苦しく欝になる事を承知の上で臨んで欲しい。
色んな意味でトンデモな作品に出会えた事に嬉しさを感じ、迷わず満点評価としたが、これだけはキッパリと書き残しておく。
二度と観たくはない。

評価:★★★★★
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メーカー:ハピネット

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