GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

週刊少年ジャンプ 創刊50周年

2017-06-27 23:38:25 | BOOK/COMICS
子供の頃親が厳しくて漫画の本を買ってもらえなかった。
「あんなもん読んでたらバカになる」「読む価値ない」「漫画読む暇があれば本を読みなさい」
それが親の口癖だった。

本は何でも買ってくれたのだが、漫画は買ってくれなかった。おかげで世界や日本の名作と呼ばれる本はほとんど読んだと思う。漢字や言葉の使い回しや想像力はついたと思う。
国語のテストは90点より低い点数を取ったことはないと思う。ただしグレてた頃はテストで「〜部でこのとき主人公はどう思ったか答えよ」なんて問題にひねくれて「そんなん知るか」とか「俺と主人公では考え方が違うからわからん」なんて答えて散々な結果になったことはあるが。

友達の家に遊びに行った時が唯一漫画の本を読むチャンス。貪るように読んでたな。少年マガジンは散髪屋で読むのが楽しみだった。
集中して読んでたからなのか、未だにあの頃の漫画はストーリーやシーン、セリフを覚えてるから不思議だ。

絵と文字を同時に理解できるのは日本人特有らしいね。確か文字は右脳、絵や図形は左脳で判断するらしい。海外の人はそれができないからそれをアートと呼ぶのだそうだ。映画の字幕なんて海外ではほとんどみないし、水墨画に筆で文字お書かれてるのを別々に理解しようとするんだってね。
漫画のストーリーを絵で追いながら同時にセリフという文字を認識して覚えるから、いつまでも記憶にあるのだろう。

少年マガジンは「愛と誠」「あしたのジョー」「巨人の星」「天才バカボン」の頃からだな。「翔んだカップル」とかが始まった頃はもう自分で買えてた。そのあと「バリバリ伝説」とか「カメレオン」「ドクターK」とかだね。
水島新司はマガジンで「野球狂の詩」を連載してて、サンデーでは「男どあほう甲子園」を連載してた。この関係で少年チャンピオンで連載が始まった「ドカベン」は最初柔道漫画だった。男どあほう甲子園の連載が終わってから野球漫画になった。

少年サンデーはあまり読んでない。友達があまり買ってなかったからのせいもあるが、自分で漫画を買うようになってからもサンデーはあまり買わなかったな。あだち充の「タッチ」や石渡治の「B.B.」、藤田和日郎の「うしおととら」「からくりサーカス」が連載してる頃には毎週買ったが。サンデーはマガジンと発売日が同じだったので、お金のなかった当時は結構きつかったのよね。


少年チャンピオンも好きだった。
鴨川つばめの「マカロニほうれん荘」はいまでもバイブルだ。最後の方は作者が病んでしまって無茶苦茶になってしまったが、この漫画でレッドツェッペリンなどを知った。

「らんぽう」とか「がきでか」とかも好きだったね。チャンピオンはギャグ漫画が多かった気がする。
チャンピオンの秋田書店はコミックスを作ってなかったので、当時はサンデー(小学館)のコミックスとして売られてた。生まれて初めて自分で買ったコミックスが「サイボーグ009」なんだけど、これもサンデーコミックスになっている。


少年ジャンプの集英社も実は小学館の子会社としてスタートしたってのはあまり知られていない。創刊当時、持ち込みの漫画家が小学館のビルはわかるのだがその裏にある集英社のビルにたどり着けなかったらしい。そのあたりは島本和彦さんの「アオイホノオ」にも描かれてる。
ジャンプはその関係か、手塚治虫とか石森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫と言った有名作家が使えなかった。だから新人を発掘して、さらにそれを人気投票で決めるといった手法を取った。未だにこの伝統は続いてる。ジャンプで長期連載するのはどれだけ大変なことなのか、読者はわからないけど。

ジャンプは根性物や熱い漫画が多かった。

本宮ひろ志の「男一匹ガキ大将」が好きだった。(月刊少年ジャンプで連載された「硬派!銀次郎」もヤングジャンプで連載された「俺の空」も好きだ)

池沢さとしの「サーキットの狼」はハマった。この漫画の影響で日本にスーパーカーブームが巻き上がった。この漫画のおかげで(せいで)俺もフェアレディZをその後買ってしまう羽目になる。

本宮ひろ志のアシスタントをしてた宮下あきらの「私立極道高校」も好きだったなぁ。漫画で描かれた学校名や校章が実在の学校のものだったからって理由で打ち切りになってしまったが、その後「激!極虎一家」で復活したからよかった。ちなみにあんな洋ランきてボロボロのぼんたん履いてる学生は当時でもいなかったと思うのだが。


車田正美の「リングにかけろ」も好きだったなぁ。最初はちゃんとしたボクシング漫画だったのだが、どんどんエスカレートして、必殺ブローで相手が会場突き破って飛ばされるようになってからは何が何だか。中学生ボクサーであんな必殺ブローが打てたらいいよな。「風魔の小次郎」とか「聖闘士星矢」も好きだけど、やっぱりリングにかけろが一番面白い。

平松伸二の「ドーベルマン刑事」はハマったなぁ。今読み返すと羽田のデモや沖縄問題なんかも書いてて、今だったらすぐクレームが入ってしまうような過激な描写だ。だって平気でマグナム44(あれ?マグナム356だったかな)で犯人や悪人を問答無用で撃ち抜くんだもの。最終回が泣けるんだ。太陽にほえろのジーパンの最期とダブってしまうのだよ。

ジャンプのコンセプトの一つ「友情」のせいか、ジャンプの漫画は今までのライバルがその後味方になってさらに巨大な敵に立ち向かうってのが多い。
キン肉マンもそうだし、北斗の拳もそうだし、シティハンターもある意味そうだ。ドラゴンボールではピッコロやベジータまでも仲間になったりしてしまうもの。クリリンやヤムチャだって最初はライバルだものね。なんか今やってる続編ではブウやピッコロ、フリーザまでも仲間になるらしいが・・・。


スラムダンクは唯一ライバルがライバルのままだ。もし強引に連載を終了してなかったら、翔陽高校、陵南、海南大附属や山王工業高校のメンバーでドリームチームかなんか作ってアメリカ選抜かなんかと戦うストーリーになってしまったかもしれない。
山王との戦いで終わらせて正解。あの試合シーンは漫画史上ベスト10に入る(誰がなんと言おうとそう思う)。最後に流川とタッチするシーンなんかもうサブイボもの。


ジャンプはギャグ漫画も多いのよね。
コンタロウの「1・2のアッホ」とか小林よしのりの「東大一直線」とかね。秋本治の「こち亀」もマニアックな内容で面白かった。最多コミックス発行巻数を誇るだけある。残念ながら連載は終了してしまったがよく毎回毎回ストーリーを思いつくものだと感心。

江口寿史の「すすめ!パイレーツ」は好きだったなぁ。連載の途中からどんどん絵が上手くなってくるの。YMOもこの漫画で知った。「ストップ!!ひばり君」や「ひのまる劇場」も好きだった。でもさ、途中で病んじゃって描けなくなってしまったのよね。

「HUNTER×HUNTER」の冨樫義博さんも描けなくなった人だな(また連載再開するらしいが)。


漫画家で描けなくなった人は多い。
初期ジャンプで人気だった「ど根性ガエル」の吉沢やすみさんなんかその典型的だろう。「アストロ球団」の中島徳博さんもそうだし、ジャンプじゃないけど前出の鴨川つばめや川崎のぼるさんなんかもそうだろう。
少女漫画でも「NANA」の矢沢あいさんなんかそうじゃないかな。

あずまひでおさんも逃亡したし。
漫画と侮るなかれ。小説などと同じく作者の産みの苦しみは読者にはわからない。書き下ろしという方法もある文章の本と違って、漫画は週刊だったり月刊だったりする。締め切りに追われ、アイデアに追われ、本当大変なんだと思う。

そんなこんなで少年ジャンプ50周年。
おめでとうございます。
いろんな漫画家の犠牲の上に成り立ってるのだろうけど、読者には関係ない。

なぜか続く。