GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

川柳居酒屋なつみ トーク番組は難しいぞ

2019-05-07 23:53:58 | MUSIC/TV/MOVIE
川柳居酒屋なつみという番組がある。
宇賀なつみが女将の小料理屋で、常連客がムロツヨシ。毎回ゲスト(たまに来る馴染み客という設定)が店にやってきてトークする番組だ。
これがまた危なっかしいんだ。面白くないかといえばそんなことはないのよ。
女将の宇賀なつみがゲストからトークを引き出すってよりは、ゲストが勝手に自分から喋ってる感じ。常連客役のムロツヨシも立ち位置(店の椅子に座ってるけど)がよくわからん感じ。自分はどう動いていいの?喋っていいの?って遠慮してる。川柳は別になくても良かったんじゃないかとか、まだ始まったばかりだから制作側も構成とか方向性とか模索中なのかな。そこらへんも含めて危なっかしいのよ。

宇賀なつみは、今年3月にテレビ朝日を退社してフリーになったらしい。よくわからんのだが、「フリーのアナウンサー」って何?テレビ局に勤めてたアナウンサー(いわゆる局アナ)が、局をやめて(退社)してフリーになったというところまではわかるよ。そこまで馬鹿じゃない。
フリーになったアナウンサーはその後、他局のニュース番組で報道したりアナウンサーしたりはほぼしないよね。せいぜいタレントになるだけじゃない。それならフリーのアナウンサーじゃなくて、局アナ辞めてタレントになりましたってことじゃないのかな。そりゃ一部の人は報道番組でキャスターと呼ばれるようになったりするけどさ。小倉智昭とか羽鳥慎一がそうじゃなかったっけ。みのもんた、宮根誠司、徳光和夫なんかもそうだね。

でも女子アナでは少ないね。メインキャスターとか司会(MC/マスターオブセレモニー)とか以前に、アナウンス仕事をできる人はかなり少ない。ほとんどはタレント化する。小宮悦子や安藤優子とかは別格だが、安藤優子は局アナじゃなく最初からフリーだったんじゃなかったっけ。加藤綾子や内田恭子のようにMCできる人さえ少なく、タレント活動してバラエティで喋ってる方が多いのではないかな。高橋真麻とか田中みなみとかね。まぁこの人達はアナウンサー時代は全然知らなかったんだが。結婚を機に退社してフリーになる人が多いからかな。中井美穂(元ヤクルト古田)、青木裕子(ナインティナイン矢部)、高島彩(ゆず北川)、なぜかお相手はスポーツ選手とかタレントが多いのは関係ないか。でも結婚生活話とか、恋バナ、子育て話などアナというよりは完全にゲストトークしてるもん。アイドル引退〜結婚〜出産〜ママドルってパターンと同じく、局アナ辞めた〜フリーになる〜タレントになってる人が多い。

まぁ今じゃ局アナウンサーでもニュースだけじゃなく、リポーターやナレーションやったり、バラエティのMCやアシスタントやったりだもんね。とてもじゃないけどニュースキャスター(ニュースプレゼンター)とかアンカーと呼べる人はめっちゃ少ない。中には局アナなのにタレントに混じってバラエティ出たり、グラビアやったりしてるもんね。テレビ局も変なモデル上がりのタレント使ったりするくらいなら局アナ使ったほうが安上がりだし安心だしね。結果、フリーになるのは大抵こんな感じの仕事してたアナウンサーが多いから、必然的にフリー後はタレントになっちゃうのかね。

そんな中で「川柳居酒屋なつみ」。フリーになっていきなり自分の名がタイトル(冠)に着く番組を任されるなんてすごいことだ。
タイトルだけ見ててっきり「これはそこらへんの居酒屋で毎晩おっさんたちが繰り広げてる、酒を飲みながら時事ネタをあぁでもないこうでもないって喋ってるのを再現するような番組だな」なんて勝手に思ってた。女将(宇賀なつみ)がMCとしてテーマとか仕切って、それをゲストが酒を飲みながらトークする番組かな?って。でも宇賀なつみはただ酒を飲んでるだけで、ゲストにネタを振ったりしない。ゲストは自ら勝手にしゃべりだす。そこにテーマもへったくれもない。

せめて川柳が生きてくればいいのだが。ニュースをテーマに川柳にしてもらうとか、ゲストにネタを振ってそれを即興で川柳にするとか。今はゲストが事前に短冊に書いて準備してきた川柳を詠むだけ。これはただのトーク番組にさえなっていないぞ。

酒を飲むのが大好きな宇賀なつみのために、どこか(テレビ朝日)のプロデューサーかディレクターが「それなら番組でやるかい?」って安易な考えで作ったんじゃないかね。「フジテレビでやってるダウンタウンの『ダウンタウンなう』(内の『本音でハシゴ酒』)当たってるし便乗しちゃえ」とか「そういや『たかじんnoばぁ〜』ってのもあったな」って。想像だけどさ。

トーク番組は予算が少なく済んで視聴率が取れるからってけっこう最近多い。ドラマのように予算たんまり必要でロケや撮影が長引くこともない。何人ものひな壇ゲスト集めるバラエティとかクイズ番組ほど手間もかからない。ウッチャンの「行ってQ」や所さんの「ポツンと一軒家」のように海外や遠方に取材やロケに行って、その行程や出来事をスタジオであーだこーだしゃべる番組よりもさらにお手軽だ。MCとゲストがしゃべるだけで番組が成立するんだもんね。

でもさ、トーク番組って難しいよ。
ゲストを呼んできて話をしてたらそれで番組成り立つかって問題。有吉とかマツコデラックスとかは、素人相手でも芸人相手でもうまくトークしてるように見せてるけど、実はトーク番組としてはほとんど成り立ってない。呆れたり、驚いたり、いじくったりして落としてるだけだ。まぁ、それが面白いって思われてるから深夜帯では引っ張りだこなんだろうけどね。

明石家さんまは『さんまのまんま』とかでゲストとトークに花を咲かせるが、あれはうまくさんまがトークを引き出してるし、彼はどこからでもボケれるし突っ込める。トークの内容から外れていってもそれはそれで面白い。『明石家電視台』や『恋のからさわぎ』のように相手が素人でも大丈夫だ。

タモリは『笑っていいとも』の『テレフォンショッキング』でもわかるように、基本質問を投げかけ、ゲストに喋らす形だ。よほどのことがない限りタモリがゲスト押しのけて話すことはない。基本相槌とツッコミ。『ミュージックステーション』でもこのスタイルは変わらない。
たけしは逆にゲストに話をさせるというよりは自分が喋ってる。自分でボケて自分で突っ込む一人完結型。相手のトークを引き出すのが苦手だからか自分がメインでゲストとトークする番組はほぼない。だから大物になった今でも、ゲストとしてトーク番組に出る方が多いような気がする。

鶴瓶は真夜中に『チマタの噂』というトーク番組をやっている。6角形の部屋にゲストと二人で入って、そこでトークをしながら、気になるチマタの噂を街でルポした映像を見てさらにトークって番組。でも鶴瓶はMCとしては欠点がある。彼は人のトークを止める。彼の口癖は「ヤメェや」「なんて言ったぁ」「ちょっと待ちぃな」である。ゲストが調子に乗って話してても、平気で「ちょっと待ちぃな」って止めて自分のペースで喋る。したがってゲストは言いたいことが全部言えないことが多く、不完全燃焼ってパターンが多いが、それは『パペポ』の頃から変わらない。

基本1対1のトーク番組といえば『徹子の部屋』。1万回を超え40年以上続く長寿番組だが、これは黒柳徹子さんのゲストに対するトークの姿勢がブレないからだろう。結構無茶ぶりも多く、聞いておいてスルーとか話をいきなり変えるとか平気でする。決してトーク番組の司会としては上手くないんだけど、そこがまた面白いのだろう。ネタになるくらいだものね。このスタイルは『サワコの部屋』に受け継がれてる。阿川佐和子さんは黒柳徹子のように人の話を聞かないことはないから、こちらの方が安心してみれる。

そう考えたらトーク番組の司会っていうか MCは大物(ベテラン)の方がいいのかな。若いとかキャリアが少ないと、ゲストにベテラン(俳優とか歌手)が来た時に恐縮しちゃって、「怒らせない」とか「機嫌損ねない」ってとこばかり気にして結局「無難な話」で終わっちゃうケースが多いもの。
ムロツヨシだって、今は売れっ子だけど売れるまで長かったからさ。今んとこゲストが、リリーフランキー、立川談春、石原良純って微妙なところだからいいけどさ。みんな自ら面白トークしてくれるし、話をふってくれるしね。本来それはMCの宇賀なつみの仕事なんだけどね。酒ばっかり飲んでる場合じゃないぞ。

いっその事以前桑田佳祐がやってた『音楽寅さん』みたいにしちゃうか。トーク番組って触れ込みで始まったが結局は楽器持って歌ってる方がメインになった。まぁ、桑田佳祐のトークよりは歌が聴きたいって人が多いし成り立ったんだろうけどね。酒飲みながらそこに音楽を加えてトークする番組は福山雅治もやってたね。『ウタフクヤマ』。酒を飲みながらトークして、途中で楽器おもむろにとって往年の名曲をセッションしたりする。番組内でアドリブで小室哲哉とともに曲まで作ってた(これはかなり凄かった)。

酒を飲んでじゃぁ一曲セッションでもしない?ってノリ。いいなぁ。結構そこらのバンドマンの家飲みである光景だ。このノリを『川柳居酒屋』にも取り入れたらどうだ?ほろ酔いトークしながら、「どうですか、そろそろ一句」。いい感じだと思うけどなぁ。
まぁ問題は、俳句をやってる人がバンドマンとか楽器経験者のように、そこらへんにいるかどうかだが。芸能人に多いのか?俳句好き。いなきゃセッションで俳句ってのは無茶だけどさ。
サラリーマン川柳であれだけいい作品が集まるんだ。どこかにはいるだろう。それまで番組が持てばいいが・・・。いらん心配か。