GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

なんてったってアイドルな小泉今日子 KYON2はタフだ

2020-05-28 22:28:46 | MUSIC/TV/MOVIE

小泉今日子が「#さよなら安倍総理」とハッシュタグをつけてツイートした。

東京高検の黒川検事長が、コロナ禍のさなかに新聞記者と賭け麻雀してた問題について言及。

小泉今日子は先日も「#検察庁法改正法案に反対します」というハッシュタグツイートをして話題になったから、今回はその続編ってところか。

 

どこの誰かわからん人が始めた「#検察庁法改正法案に抗議します」ハッシュタグツイートなんてどうでもいいし、以前も書いたが芸能人が政治的な発言(ツイート)しても何も問題ないと思ってるが、何かと騒がしい。

メディア・マスコミはこぞって「小泉今日子も」とか「キョンキョンも」とか、やたらと騒いでる。今回のことは他にも浅野忠信や宮本亜門、水原希子、井浦新なども同調(便乗?)してるのにだ。

その裏は、「キョンキョン(でさえ)」なのか「(不倫騒動を棚に上げて)キョンキョンが」なのかよくわからんが、とにかく小泉今日子を取り上げたがる。

 

小泉今日子。

今の若い人は「あぁ元アイドルね」って感じだろう。マスコミ・メディアも元アイドルで女優、そして豊原功補と禁断の愛をした女ねって扱いだ。

 

しかし、この小泉今日子、相当タフな女である。

山口百恵の結婚〜引退に伴い、ポスト百恵の座を狙うアイドル群雄割拠の戦国時代に突入した1980年

松田聖子と中森明菜という超2大アイドル全盛期に、ダークホースのような存在で、自分のスタイルを確立し、したたかに生き抜いた女、それが小泉今日子、自称コイズミ、通称キョンキョンである。

 

そもそもアイドルで自分のことをコイズミ」と呼んだり、ファンやマスコミには「キョンキョン(記載はKYON2)」とニックネームで呼ばせたりするのは当時小泉今日子くらいなものである。

普通はオカダナナ、オオバクミコなどフルネーム、そして名前で聖子ちゃん、ミーちゃん、ランちゃん、と「ちゃん」付けかされるかだ。ニックネームはジュリー(沢田研二)やショーケン(萩原健一)、女性ではチーター(水前寺清子)くらいである。キョンキョン以降はノリピー(酒井法子)までほぼいない(いるのはいるが一般的に浸透していない)。

 

花の82年組とのちに呼ばれる黄金世代にデビューした彼女。

同期は英語ペラペラのバイリンガル・早見優、自分で書いた本の内容聞かれて「まだ読んで無いから分からない」と答える天然・松本伊代、ドジでのろまなカメな悲愴感漂う堀ちえみ、のちに梨園の女になる三田寛子、のちにこれまた同期の寿司くいねぇ・シブがき隊の薬丸くんと結婚する石川秀美。そして一歩先にスター街道まっしぐらの聖子を追随する少女A・中森明菜という黄金メンバーである。

 

小泉今日子のデビュー曲は「私の16才」。今では多分知る人ぞ知る曲だろう。俺は1フレーズも思い出せん。

小泉今日子ははっきり言って歌が下手だ。

声が出てないとかリズムが合ってない方じゃなく、音程がちゃんと取れてない方の音痴ね。

音痴アイドル先駆者に天地真理と浅田美代子がいたことがあった。

しかし、山口百恵・桜田淳子・森昌子のなんとかトリオやキャンディーズ、ピンクレディなどが出てきてから、「アイドルだからって歌が下手でもかわいければいい」時代はすでに終わってた。

本来歌手で歌が下手、しかもアイドルでは致命的である。

しかし、ラッキーなことにコイズミの時代には田原俊彦という、ルックスとスタイルが良くダンスは上手いが歌はめっちゃ下手という男性アイドルがいたのだ。ついでに言えば同期でも中森明菜以外は大して歌は上手くないけどさ。

 

小泉今日子は「まっ赤な女の子」という郷ひろみ路線?って感じの曲からちょっと売れ始めた記憶がある。多分俺が知ったのもこの頃だ。髪型も当時はやりの聖子ちゃんカット(レイヤーカット/タマホームのCMで今田美桜ちゃんがしてるやつね)だったが、よく覚えていない。

そう、小泉今日子はデビューからしばらくはまだキャラ立てが確立されていなかったのだ。

当時のアイドルといえば百恵や淳子の「学生とアイドル両立しています」派(山口百恵がさだまさし作の「秋桜/コスモス」を歌った時まだ17歳だったから驚きだ)か、石野真子、榊原郁恵、河合奈保子と続くグラマラスボディ(通称ボイン=死語)派かだ。

80年代に入り、嘘泣きがバレてもぶりっ子と言われても、それを逆に代名詞にしてしまい歌唱力とフリフリのドレスでアイドル路線王道勝負の松田聖子。少女Aからツッパリ路線と意味深な歌詞で山口百恵路線を継承し、ポップアーティストから曲を提供してもらってた妖艶な中森明菜。

 

この二人を筆頭に比べても、他の82年組同期と比べても、コイズミは別に特出してキャラクターが抜き出てたわけでもない。

 

しかし「渚のはいから人魚」あたりから彼女は一気にブレイクする。

当時のアイドルの代名詞だった聖子ちゃんカット(パーマ&レイヤーカット)をバッサリ切ってショートカットにして登場。可愛いとかナイスバディとか、そういったいかにもアイドルって武器に背を向けて、ボーイッシュを通り越してさらに刈り上げという、もはや自暴自棄か?ってなくらいの変わりようで現れた。

 

ハイカラって言葉自体が当時すでに死語に近かったはずだし、さらにそれに渚と人魚を加えたタイトルの意味も全く不明だが「キュートなヒップにズッコン・バッコン」と替え歌されるほど売れた。

 

そして「迷宮のアンドローラ」。

このMVがすごく良かったのよ。俺もこれで一気に好きになってしまった。歌が下手?そんなものはヴィジュアルとアートとポップでこれが時代だともみくちゃにしてごまかしてしまえって、当時のバブルにはびこってた自称CITY派広告代理店の思惑にハマったように、コイズミはこの後、ポップアイコンとしてアーティスト化していく。

そのあと「ヤマトナデシコ七変化」とか「常夏娘」とか、POPEYEとかHotDogPressとか読んでる男をターゲットにメロメロにするのだが、驚いたのはある雑誌で、ヌードで魚拓(人拓)を撮ったり、黒塗りでグラビアしたりしたこと。ほんま「時代は俺たちが作るぜ〜」といきってた広告代理店が我先にと起用したがるポップアイコンになった。当時はアイドルがアーティストと呼ばれることはほとんど皆無の時代だ。

 

そして「なんてったってアイドル」の登場である。

せっかくポップアイコンとしてアーティスト路線で行くのか?となってきたところにこれだ。

アイドルが自分で「私はアイドルだ」と宣言する。「I am IDOL」当時、タブーのように暗黙の了承だったこの言葉をノリノリBEAT POPに乗せて宣言されたら、もう他のアイドルは勝てっこない。相手はなんてったってアイドルだからな。仕掛け人は秋元康(作曲は筒美京平)。

 

じゃぁやっぱりアイドル全開でいくのかと思えば、次に秋元康・筒美京平コンビが手がけたのは「夜明けのMEW」というミディアムテンポのバラード。ノリノリでアイドル全開!って仕掛けておきながら、歌唱力の求められるバラードをあえてぶつけるとは、なんという冒険。

 

そしてさらに究極のロッカバラードが登場。

「木枯らしに抱かれて」

アルフィーの高見沢俊彦が手がけたこの曲は売れた。歌詞もいいしメロディも切なく悲しくて良い。当然女子にカラオケで歌われた。聖子や明菜の曲と違ってキョンキョンの曲は音域があまり広くないから誰でも歌いやすいという利点もあるのだがね。

 

松田聖子はユーミン(呉田軽穂)や松本隆と組んでいくつものヒット曲、名曲を生み出してたが、キョンキョンも松本隆と組んで「魔女」や「水のルージュ」というミディアムバラードを歌ってる。大瀧詠一とも組んで「怪盗ルビィ」(歌詞は和田誠さん)も歌う。

小泉今日子は歌謡界を、もう好き勝手、したい放題、縦横無尽に飛び回ってた。

 

トドメを刺すように「学園天国」を出す。

あえてここでフィンガー5の誰もが知ってるヒット曲をカバーする意味がわからんが、売れに売れた。ヨッちゃん(野村義男)の ギターも良かった。そしてこの曲は現在学生吹奏楽の定番曲になっている。

 

「あなたに会えてよかった」(1991年)

これがまた良い曲なんだわ。作詞は小泉今日子、作曲は当時サザンオールスターズのプロデュースをしてた小林武史。この曲の大ヒットの後、Mr,Childrenのプロデュースをするのだが、当時はまだ知る人ぞしる人だった。

山崎まさよしがこの曲のカバーを歌っているのだが、そちらもかなり良いよ。

この曲は確か150万枚くらい売れたのではなかったかな。

松田聖子や中森明菜もヒット曲は多々あり、当時は誰もが口ずさめるほど売れてて「ヒット曲一体何曲あんねん」ってくらいの聖子&明菜より、実はミリオンセラーは小泉今日子の方が先なのだ。

松田聖子は1996年に出した「あなたに逢いたくて〜Missing You〜」が初めてミリオンセラーになったのだからね。

意外だけど、明菜はミリオン曲無いのだ。山口百恵も沢田研二も、あの女王・美空ひばりだって無いのだ。

つまり、この曲で小泉今日子は女性アイドルの頂点に君臨したと言っても過言ではないのだ。

 

そりゃ、EPの時代からCDに変わった時だったってのもあるだろうし、テレビドラマの主題歌、CMとタイアップしたら売れてミリオンっていうパターンができたのも、この1990年くらいからだけどさ。

確かこの「あなたに会えてよかった」もTV「パパとなっちゃん」の主題歌だったはずだし、KYON2のもう一つのミリオン曲「優しい雨」(1993年)もTV主題歌だった気がする。

でも、タイアップ曲が売れるっていうのなら、当時のタイアップ曲が全てミリオンだったかって言ったらそうでもないからね。やっぱ曲がいいから売れたんだと思うよ。

 

小泉今日子には女優という肩書きもある。

前出のドラマの他に数々のドラマ、映画に出演してる。古くは「あんみつ姫」、陣内孝則主演の「愛しあってるかい」など多数。近年ではスーパーサラリーマン左江内氏で演じた、家事放棄した鬼嫁役は上手かったな。

ただ、「踊る大捜査線 THE MOVIE」での猟奇殺人犯役は世間では評価高いけど俺はちょっと「・・・」なのけどね。レクター博士のパクリみたいな演出がね。

でも、アイドルって枠を超えての演技の幅はすごいと思う。

 

そして小泉今日子の功績がもう一つある。

それは芸能人同士の結婚を変えたことだ。

それまで芸能人同士の結婚といえば、多数の報道陣の前で幸せの報告。馴れ初めだの子供は何人欲しいだのおきまりのインタビュー、そしてダイヤ何カラットの婚約指輪はめた指を前にかざして二人でニッコリ笑ったところをフラッシュバシャバシャ。そして挙式はいつですーって感じが定番だった。

しかし小泉今日子、永瀬正敏との結婚発表記者会見では指輪無し。ダイヤとかプラチナどころか控え室で飲んだ缶ジュースのか?って感じのプルトップリングをはめていた。

それだけじゃない。大々的な結婚式もしないと言い切った。

それまで芸能人(しかも二人とも有名)なら、赤坂プリンスで招待客も歌手俳優著名人数百人、報道陣や記者多数、テレビ中継が入り視聴率の稼げるドル箱コンテンツだった。それが芸能人同士(特に大物ビックカップル)の結婚式って業界の暗黙のルールだったのだが、小泉&永瀬はやらないと言い切った。よく事務所が許したなぁ。

これで生まれた言葉が「ジミ婚」だ。

スモーク焚いてゴンドラから降りて、レーザー飛び交い、お色直し何回すんねんって感じの大物芸能人同士の派手婚は、コイズミ以降一気に廃った。バブルが崩壊したってのもあるんだろうけどさ、その後テレビ中継された芸能人の結婚式って、野口五郎と三井ゆり、陣内智則と藤原紀香くらいではないかね。

 

神田正輝との結婚はまだ良かったが、その後のジェフとか歯科ナンチャラとの浮世でどんどん沈んで行った松田聖子。

近藤真彦との恋愛がもめて、リストカットしただの睡眠薬飲んだの暗いイメージがついて、どんどん闇に落ちていってしまった中森明菜。

二人とも恋愛や結婚の絡みで人気に陰りが出てしまい、芸能界の表舞台から消えていった。

しかし、キョンキョンは、結婚しようが離婚しようが、そんなの関係ないぜってな感じで未だに表舞台にいる。

永瀬正敏とは10年足らずで離婚したのだが、西原理恵子さんの「毎日かあさん」実写版映画で平気で共演(ともに主演)したりするのだわ。

もう、敵なしである。

 

2013年の「潮騒のメモリー」でまたもブレイク。

クドカン脚本で大ヒットしたNHKの朝ドラ「あまちゃん」の劇中歌(挿入歌?)。主役の能年玲奈(現:のん)の母親を小泉今日子が演じ、役名の天野春子名義でリリースされたこの曲で、同じくドラマで女優・鈴鹿ひろ美を演じた薬師丸ひろ子や能年玲奈と共に久しぶりに紅白歌合戦に出場してる。

 

そう、キョンキョンはしたたかに、タフに芸能界を生き抜いてきた。

表現者としてアイコンとして。演技者として歌手として。

シビアな芸能界で現在も生き残っているアイドルで女優、それが小泉今日子だ。

 

さすがに豊原功補との騒動はダメージを受けたみたいだが、キッパリ開き直ぐって他。謝罪などしない。マスコミやアンチから「人の旦那をとったくせに」とか言われても「だから何?あんたに迷惑かけた?」って感じだ。

だいたい相手は怪盗ルビィだ。キャッツアイに「美術品を盗みやがって」とか、ルパン三世に「クラリスの大事なもの盗みやがって」と言うようなもんだ。

今回のハッシュタグツイートにしても「アイドルのくせに政治に口出すな」とか言われても馬耳東風。相手にさえしていない。「どうしたキョンキョン」と心配されても「大きなお世話」ってな感じだろう。

 

そんな彼女が生半可な誹謗中傷などに負けるわけがない。そして心配する必要もないのだ。

小泉今日子、彼女はタフである。

それは間違いない。