「ユーミンは死んでおくべきだった」
まぁすごいことを言う奴がいたもんだ。
ネットでの誹謗中傷が問題になっている今、
「荒井由実のまま夭折すべきだったね。本当に、醜態をさらすより、早く死んだほうがいい」
こんな暴言を平気で吐けるバカが世の中にまだいたとは。
しかもこの白井聡という男、京都精華大学の講師(政治学・思想史)だというから尚更驚きだ。
松任谷由実が自身のラジオ番組「オールナイトニッポン」で、懇意にしてた安倍総理の辞任会見を見て「テレビで見てて泣いちゃった。切なくて」と言ったことへ対して、白井が自身のファイスブックに書き込んだのが上記の内容だ。
辞任会見を見て笑おうが、泣こうが、それは個人の勝手だろう。
だけど、いくら普段安倍政権を批判や揶揄することを生きがいとしてる人であっても、「あのアベなんかを応援してたなんてユーミンは最低な思想の女だな。こうなる前に荒井由実の時点で死んでおけばよかったのにと思う」などと、たかが大学講師風情が言っていいのか悪いのか。
「荒井由実のまま引退さすべきだった」
松任谷正隆さんがなんかの音楽雑誌や番組のインタビューでこう答えててたら「なんでだ?」って興味津々になってしまうかもしれない。あとは小林麻美か松本隆くらいだね。許されるのは。まぁ誰も言わんやろうけど。
売れたアーティストはファンや一般人によってピークみたいなのを勝手に決められたりする。それ以前とそれ以降とかにね。
ある時を境に全く売れなくなったりメディアから消えたり。
松田聖子や中森明菜などのアイドル、沢田研二、浜崎あゆみ・・・。
人は勝手に「あそこがピークだったとか「ここまでは良かったけどこれ以降はねぇ」などと勝手に線引きする。
ユーミンもそうだ。
学生時代付き合った女の子の家に行くと、そこには必ずユーミンのアルバムがあった。おかげでユーミンファンじゃなかったのだが、自然と曲は覚えた(カセットテープは偉大だ)よ。
アルバム出すたび、コンスタンスに売れてたね。ユーミンのすごいところはファンの好きな曲がシングル曲ではなくてアルバム収録曲なのよね。それぞれがそれぞれに思い入れがあったりするのよ。ユーミン聞かない女子が中島みゆき派ってのもちょっとあったな。
で、あれだけ女子のバイブル、カーステBGMだったユーミンは、ある時を境に陰りが見える。
時代が変わったのか、先を行き過ぎたのか、ファンがついていけなくなったのか。
だからユーミンの場合、「NO SIDE」までとそれ以降とか、
「ダイアモンドダストが消えぬ間に」が分かれ目だとか、「DOWN PURPLE」までとか色々いるだろう。シングルで言えば「真夏の夜の夢」とか「春よ来い」とかね。
もちろん「えっ?今も変わらず聞いてますけど?」ってファンも大多数いるだろう。
でもさ、「Delight Slight Light Kiss」「LOVE WARS」「天国のドア」・・・このバカほど売れたアルバムより、それ以前のアルバムの曲の方が思い入れが強いって人は多いね。
だってさ、みんなその時代をユーミンと共に生きてきたんだもの。
ある人は「流線型'80」がバイブルかもしれない。
ある人は「昨晩お会いしましょう」
「時のないホテル」
「SURF & SNOW」
「PEARL PIERCE」
「VOYAGER」
「REINCARNATION」
・・・
それぞれのアルバムに思い入れがある人がそれぞれいるのだ。
その恋愛のお供、いや神のようなユーミンに対して、「老いとは残酷なもんだ」などと宣い、「戦後の日本の劣化とともに劣化していったということかも」とまでいうこの白井。はっきり言ってバカを通り越して救いようのないアホである。
冒頭で「ネットでの誹謗中傷が問題になってるこのご時世に」と書きながらここまで個人をアホ扱いしていいのかどうかは知らん。知らんが、書く。アホにつける薬はないから。
この男はネットで騒がれ、大学からも注意受けたからかフェイスブックを更新し
「松任谷由実氏についての私の発言が物議を醸しているということですが、削除しました」「私は、ユーミン、特に荒井由美時代の音楽はかなり好きです(あるいは、でした)。それだけのいがっかりしたのですよ。」
まぁ往生際悪いこと。
全然反省なんかしていないのまるわかりの文章だ。こんな文章力でも大学の講師ってできるんだね。
だいたい考えてみろよ。
この白井聡、現在42歳である。
荒井由実が結婚して、松任谷由実に名義を変えたのは1976年だ。
この男は生まれてもいない。
生まれる2年も前の楽曲をこいつはどこで聞いて好きになったのか。
嘘はいかんよ。
そのうち「ジョン・レノンはあのときダコタハウスの前で殺されてて正解だった。ビートルズは好きだったのですよ(あるいは、でした)。」とか言い出すかもしれん。
どうせ後からジブリ映画で「やさしさに包まれたなら」を聞いたか、「卒業写真」あたりを聞いたくらいだろう(しかもハイファイセットVer.か浜崎あゆみVer.)。
多分こいつに「この卒業写真て曲は誰のことを歌ってる歌?」って聞いたら卒業した同級生ってすぐ答えるだろう。よく聞け。皮の表紙のアルバムに写ってるあの人は、人ごみに流されていく私を遠くで叱ってほしいあなたは、先生のことだ。(諸説・解釈あり)
多分「ベルベットイースター」も「翳りゆく部屋」も、歌詞の意味よくわかってないかもしれない。
ユーミンの楽曲で、世の女子たちがどれだけ勇気づけられ、憧れ、そして泣いたか。
観音崎の歩道橋に立ってドアのへこんだセリカを探したかもしれない。
ただの中央自動車道もユーミンにかかると夜空へと続く道になり、カンナが咲いてるだけで環状8号線はカンナ8号線と呼ばれる。
ちょっとコンビニっていう時でも安物のサンダルを履くのは躊躇してしまったりする。
ベッドの下に真珠のピアスを掘り投げておいたり、窓ガラスにルージュの伝言書いたりしたかもしれない。
ユーミンのせいで世の男たちは、クリスマスにサンタクロースにならなくてはいけない羽目になってしまったのだよ。
とてもこんなアホな男がちょっと聞きかじったくらいで、ユーミンワールドは語れるようなものではない。
だいたいユーミンは
「ひこうき雲」
「12階の恋人」(流線型'80)
「ツベメのように」(OLIVE」
「コンパートメント」(時のないホテル)
といった、死に関する歌を多数歌っている。
「翳りゆく部屋」でも、出て行った男を「たとえ私が今死んでも」と嘆いてる。
今回のことを歌にされたらこいつ笑いもんだな。
だいたい政治が如何の斯うのいうがユーミンは別に今まで政治色の強い発言はしていない。
バンバンに提供した「『いちご白書』をもう一度」では、70年安保闘争でゲバ棒持って暴れてたくせに大学卒業すると同時に髪を切って普通に就職する奴のことを歌っているがね。
「MISS LONELY」(時のないホテル)では、未だに戦場から帰ってこない男を待ちわびる女の悲愴を歌ってるけど、別に「戦争反対」「NO MORE WAR」とか声高に叫ばない。
ただプライベートで交流のある安倍総理の退陣会見を見てて悲しくなった、ただそれだけのことだ。
本来なら、ラグビーの試合を見て名曲「NO SIDE」が生まれたように、この経験で素晴らしい曲が生まれたかもしれない。
「未来は霧の中に」(OLIVE)のように1964年東京オリンピックやアポロの月面着陸のことを歌ったような叙情曲ができたかもしれない。
こいつのせいでパーだ。
人のピークを勝手に押し付けるな。
そして自分の考えだけで人の生き死にを指図するな。
この白井ってアホに言いたいのは、そこだ。
京都精華大学、大丈夫かこんな講師を雇ってて。
俺なら即刻解雇する。
言論の自由とはいえ、なんでも自由じゃないからな。