GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

ガッカリな科捜研の男

2019-01-11 11:32:54 | MUSIC/TV/MOVIE

フジテレビは何を勘違いしてるのか。

新年明けて今期クールの新しいドラマがスタートし始めた。
『トレース~科捜研の男~』
関ジャニ∞の錦戸亮くん主演のドラマ。
個のドラマにちょっと期待すると昨年末に書いたのだが、これがまったく期待外れ。
ダメだこりゃ。

原作の「トレース 科捜研法医研究員の追想」をわざわざ「科捜研の男」と変えたタイトルからわかるように、沢口靖子主演の人気ドラマ「科捜研の女」を意識した作りをしようとしたんだろうが、これがまぁひどすぎる。

肝心の科捜研の分析シーンはルミノール反応(残存血液反応)だけ。これは鑑識の仕事の範疇だろ。確かに他にもちょっとした分析(切断された手から「特殊な珪藻が付着」「マンガンが通常の20倍検出」とか)という分析結果は行っていたみたいだが、科捜研の女のようにあらゆる最新器具を使ってリズムよく解析するシーンなど皆無。CGなどによる照合や分析とかも無し。月9なのに低予算なのか?これじゃぁ科捜研の女が好きなファンもガッカリだ。

いやいや、原作に忠実に作ってるからだと言われる方もおられるかもしれないが、俺も原作漫画は読んでる。
その上であえて言おう。フジテレビは何か勘違いしていないかと。

このドラマで一番嫌なのは、船越英一郎が錦戸や新木優子に暴言を吐いたり怒鳴ったりするシーン。
椅子を蹴飛ばしたり、人を見下したり、大声でわめいたり。
科学的根拠のみが正しいとする科捜研錦戸と、「俺の勘が」という古いタイプの刑事船越の対立というところが描きたいんだろうけど、これがまぁ見ててイラってしてしまうほどひどい。映画「県庁の星」で共演してた時よりひどい。

怒鳴ったり罵倒したりするシーンを仕事始めの月曜の夜に見たいと思ってるのか?
新垣結衣主演なのに見事にこけた『獣になれない私たち』の轍をあえて踏もうと?
あれだって田中圭を始め全員のクズっぷりだけではなく、何と言っても山内圭哉演じる社長の恫喝シーンが見るに耐えれないからじゃないのかね。見ててストレスがたまり、他のシーンなんかもうどうでもよくなってしまうもの。(ちなみにこのドラマは水曜日だったけど)

開始早々見つかるバラバラ死体。死体に慣れていないから嘔吐しかかる新木優子。妻と娘に煮えたぎるシチューをかける吹越満演じる父親。DV受けても逆らえない母親の不甲斐なさ。父と決別し新しい人生を踏み出そうとした矢先に隣の住民の狂信的変質行為に巻き込まれる。
これら不快なシーンのオンパレードで、事件が解決しても何一つ爽快な気持ちにならない。

原作漫画では錦戸演じる主人公には過去のトラウマのような事件があり、当時事件が見立て捜査によりろくに捜査もされなかったから科捜研に入り、証拠を集め分析し真犯人を見つけ出すというストーリーが裏ストーリーで進行する。
ドラマでも、子供の頃に一家惨殺されたシーンがフラッシュバックで断片的に組み込まれてるのだが、ここまで現在の事件をグロい描写で出してしまうとなぁ。過去の事件が全然惨殺事件に見えないのだよ。

ひょっとしたら石原さとみ主演の『アンナチュラル』のようなエッセンスも入れたいと欲張ったか?あれもTBS系で他局だが・・・。
意味深に登場させた千原ジュニア。警察上部に真の悪がいたり、隠蔽もみ消しが行われてたという設定なら「絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜」でもうやっただろうし。
木村拓哉・中山美穂主演の「眠れる森」のように、「一体誰が真犯人なんだぁ」って毎回やきもきさせ「次週も見なくては」と思わす作りにするのならともかく、これじゃぁ何が描きたいのかわからない。

根拠のない刑事のカンとやらを連発する船越に対して錦戸がつぶやく「気持ち悪い」。
何もかもが中途半端なこのドラマ。見てて「気持ち悪い」。




post a comment