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MIU404が始まった。
このMIU404は星野源と綾野剛のW主演の警察バディもの。
初回放送を見て思った。
多分このドラマは面白い。
最近の警察ドラマによくある、警察組織にうごめく陰謀や隠蔽とか闇の部分がどうたらとか、とりあえずそんなことがメインではなさそうだ。その手の警察ドラマはちょっともう飽きているのでね。
今回二人が所属してるのはMIU。
MIUはMOVILE INVESTIGATIVE UNIT、つまり機動捜査隊の略。機動捜査隊は、ジュラルミンの盾持ってる機動隊じゃ無くて、初動捜査や逃走容疑者の追跡をする部署。事件や事故の通報があった時に最初に動くところね。
で、範囲も広く複数の都道府県警察署の管轄にまたがった広域地域の捜査に当たることができる(という設定)。
したがってヨレヨレのコート着た刑事が主人公のあのドラマのように、「所轄は黙ってろ」とか「県警捜査本部が仕切る」なんてのもなさそうだ。
いいよ、実際は階級組織社会で、警視庁他県警所轄署間には見えない壁があるとしてもドラマだもん。気楽にしてよ。
今回のMIUではなんか訳ありの星野源と、色々問題起こして僻地の巡査(奥多摩の人ごめん)になってた綾野剛がバディ。この二人のコールサインが404、だからタイトルMIU404。すごく安直だけどそれでいい。
チームは警視庁刑事部庁の生瀬勝久に「女性活躍推進」とか言われて記者会見までさせられた麻生久美子が隊長。第一機動捜査隊と新設の第四機動捜査隊兼任。階級は警視。
女性警察官がとか言うとすぐ「男女平等なのに!」って声高に批判する人がいるけど、警察組織はやっぱり男社会なのよね。今までの警察ドラマでも女性の幹部っていたけど、キャリアじゃなければまずなれないもんね。「働き改革」とか「女性活躍推進」とか、絵に描いた餅のような政策あたりも上手く描いてる。
そしてあと二人、以前は星野源とバディ組んでいたベテラン刑事・橋本じゅんと、警察庁刑事局長を父に持つキャリア組の岡田健史がバディを組む。
橋本じゅんはようやく売れ始めたなぁ。劇団☆新感線など舞台俳優としてキャリアの長い人だけど、知る人ぞ知る俳優って感じだったもんね。ちょい役とかゲスト出演が多かったから今回のメインキャスト入りはちょっと嬉しいぞ。個人的にはTVerの見逃し探偵が好きだ。うどん作ってる場合じゃないぞ。
岡田健史は有村架純主演ドラマ「中学聖日記」くらいしか知らない。っていうか彼何歳?新型コロナの影響で各局新ドラマ延期の穴埋めに過去ドラマを放送してたのだが、「中学聖日記」も再放送やってた。
でもあれ、2018年の年末ドラマだったよね。あのとき岡田くんは中学生役じゃなかったか?2年足らずでキャリア(大卒または国家公務員Ⅱ種合格)の刑事(キャリアだから階級は警部補)って・・・、ちょっと怖いなぁ。
おっといけない、話をMIU404に戻そう。
この初動捜査に当たるMIUの仕組みなどを、ドラマの中にうまく組み込んで説明されてる。麻生久美子が喋ったり、星野源が綾野剛に諭したりする台詞でね。
さすが野木亜紀子さん。
って言いたいところだけど、この人、原作がある話を脚本書くのはめっちゃ上手いんだけど、オリジナルはたまに外すからなぁ。
「空飛ぶ広報室」(有川浩)「掟上今日子の備忘録」(西尾維新)「逃げるは恥だが役に立つ」(海野なつみ)であれだけ新垣結衣の魅力を存分に引き出した脚本だったのに、オリジナルの「獣になれない私たち」では見事コケたもんな。
でも「アンナチュラル」はめっちゃ良かったし、1月期クールで放送された「コタキ兄弟と四苦八苦」もむちゃくちゃ良かった。古館寛治と滝藤賢一から依頼されたからとは言え、見事なアテ書きっぷり。タイトルからして古(館寛治)滝(藤賢一)でコタキ兄弟だものね。二人の自由すぎる演技に負けずにぶっ飛んだ演技の芳根京子もめっちゃ良かった。
まぁ今回のMIUも期待しようっと。
やはり太陽にほえろや西部警察など石原軍団制作警察ドラマで育ったものとしては、刑事一人一人に個性がありながらもリーダー中心にチーム一丸となって犯人を追い詰めるってのが好きね。
その過程で地味な聞き込みや地道な裏付け捜査が描かれたり、そうかといえばラストは手に汗握る派手な追跡劇、カーアクションや銃撃戦もしてほしい。
なんかさ、古畑任三郎や相棒のヒットから、推理劇タイプの警察物が増えたよね。刑事コロンボから続くこのタイプも悪くはないんだけど、地味に心理戦で落とすってやつより、やっぱり派手な追跡劇が見たいのよ。スカッとしたいのよ。
武器を持って抵抗する犯人は殴っても良し。コンプライアンスがどうした。ドラマじゃないか、大目に見てくれよ。
銃をバンバン撃ってくる犯人は渡哲也のようにヘリコプターから狙撃してくれてもいいよ。人権がどうしたとか規定がどうたらとか、画面の中に対してうるさいよ。
取調室でふてぶてしい態度をとる容疑者はライト当てて「吐け!オマエがやったんだろ」ってやっても良し。カツ丼とってあげてもいいよ。利益なんちゃらだ、自白強要だとか、そんなクレームをフィクションのドラマに対してマジで入れてどうする。そんなことだから現実でも弁護士に「調書を取る過程で問題があった」とか突っ込まれて不起訴になったりするんだ。
そりゃ事件の前までは普通に暮らす善良な市民だったのに、衝動的や偶発的に犯人(加害者)になってしまう場合もある。
そんな時こそドラマだ、立件して検察庁に送検したら終わりじゃなくて、取り調べの段階だけじゃなく裁判までは真実を探るための捜査をしてくれ。現実では人手も足りないだろうし、そこまで手をかけられないのはわかるけど、ドラマだもん、やってよ。
そういった点からいえば今回のMIU404は結構警察ドラマの原点回帰してる部分が結構ある。
綾野剛はちょっと元ヤンキー気質が抜けきれてないキャラで、組織とか常識とかルールとか面倒臭いって感じ。でも、悪い奴は捕まえる、ただそれだけって正義感の塊。
今はやりのあおり運転してくる馬鹿にはマウント取るために煽り返す。足が速いって設定で、ラストは走って犯人(容疑者)を追いかけてった。
ひと昔前の刑事ドラマでは、容疑者も犯人も刑事も走る走る。柵を飛び越え塀を乗り越え通行人を突き飛ばし逃げる犯人。二手に分かれ必死に追う刑事。狭い路地ではゴミ箱を投げ自転車につまづいてコケ、それでも逃げようとする犯人を、最後ははさみ打ちからの格闘で御用!
今回、綾野剛は走る。星野源も走る。
そして最後は倉庫だ。
これもいい。
これまたひと昔前の刑事ドラマではクライマックスは倉庫で犯人と対峙するのだ。ある時は港で取引してて近くの倉庫に逃げ込む。カーチェイスの後に港の倉庫へ逃げ込むってパターンもある。
欲を言えばそこで銃撃戦ね。SITとか特殊部隊突入しちゃダメよ。刑事が拳銃片手に追い詰めなきゃ。
ダーティハリーやドーベルマン刑事のように大口径マグナムで、なんて贅沢言わないよ。コルトやベレッタなどオートマ銃じゃ無くてもいい。支給(標準)の回転式リボルバー小口径でいいのよ。で、予備の弾薬はバラでポケットに入れててほしいな。パンパン撃って柱の陰で薬莢取り出し、弾を詰め替えるあのシーン好きなのよ。
でもさ、それができたのは「あぶない刑事」くらいまで。今回のドラマでも星野源が綾野剛に「警官の9割が拳銃を構えないまま退職する」なんて無慈悲な現実を言うもん。発砲しないどころか銃口も向けないのよね。これで最近多発してる犯罪取り締まれるのかね。
そんなわけで今回、残念ながら銃撃戦は出てこない。
冒頭いきなり保管庫で銃を装備するシーンだったから、ちょっと期待してたんだけどね。図書館戦争の時のように派手にバンバン撃って欲しかったのだけど、まぁ仕方ないね。
だが、今回のMIU404は期待できる要素がまだあるのよ。
それは何かと言うとカーチェイスだ。
第一話目で早速一台もう廃車になった。(犯人の車も合わせたら二台ね)
最初のあおり運転するバカを諌める際、綾野剛の運転は言葉とは裏腹に「あぁいつもの交通法規に準じた追跡ね」って感じだった。
しかし、番組後半、駐車場からバックでアクセル全開、道路に出てきたらスピンターンかまし、そのままサイレン鳴らして派手に追跡劇。
犯人の車に置いついたら並走し、ヤケクソで横断歩行中の人々に突っ込もうとしてる気配を察したら車を追い越して前に出てサイドターン。横にしてぶつけて滑りながらも車は止められた。犯人の車は大破。MIU404の二人の車も横転。
星野源が全部やりました。結構キレッキレキャラなのね。いいぞいいぞ。
ひと昔の刑事ドラマにはお約束のように必ずあった派手なカーチェイス。最近は無くなったよな。
無線が入り反対車線へスピンターン。同時にサイレン鳴らして追跡。「止まりなさい」という警告を無視し2-3台パトカーをクラッシュさせなおも逃げる犯人の車。最後は派手にぶっ飛んでひっくり返って逮捕。
えっ?危ない?逃げる方が悪いの。
追跡されてパニックになった?いや、逃げる方が悪いんだって。
真似したらどうするの?捕まります。
以上。なんか文句アル?
でもさ、コンプライアンスがうるさくなって、ドラマでもシートベルトはしてるし、車線はハミ出さないし、逆走もしないし。もちろん中央分離帯に突っ込んでひっくり返ったりもしない。暴走族でさえヘルメットちゃんんとかぶってるもん。
あの「あぶない刑事」で、シリーズ途中からいきなりタカとユージが愛車レパードで追跡する際に、シートベルトをした時はぶっ飛んだぜ。「あぶない刑事」なのに全然危なくない刑事、安全刑事やんってね。
しかし、今回のMIU。派手なカーチェイスを見せてくれた。
予算は大丈夫か?車のスポンサーメーカーからクレームこないか?なんていらない心配はよそう。
ガス会社がスポンサーならガス中毒で殺す(自殺も)はNo。電気会社がスポンサーなら感電死はダメ。薬品メーカーだと薬物系中毒系はご法度だと何かとうるさい(らしい)。したがって最近の警察ドラマの事件は、階段から突き落とされ脳挫傷とか、鈍器で頭を殴られ撲殺とかばっかりだった。
最近また刃物殺傷は刑事ドラマで復活してきたね。
体に凶器が刺さったままのもあれば、抜かれて凶器は現場に見つかりませんってのもある、だけど共通してるのは大量の血が流れるシーンはないってこと。「名探偵コナン」のように黒い血にするか、シャツの傷跡ににじむ程度って決められてるのかな。自主規制か。
でも「美食探偵」では、首切られて血噴出すわ、ゴリゴリ死体を風呂場で解体するわってやってたな。ちょっと変わってきたのかな。
じゃぁMIU404、せめてカーアクション、カーチェイスだけは、往年の刑事ドラマのように派手な演出してほしいな。
「俺たちの勲章」(松田優作/中村雅俊)、「噂の刑事トミーとマツ」(国広富之/松崎しげる)、あぶない刑事(舘ひろし/柴田恭兵)・・・。同世代の刑事がバディ組む刑事ドラマの名作多々あるけど、このMIU404もなれるといいな。
でも野木さんって、「ラッキーセブン」で途中いきなり瑛太を出さなかった事あるからなぁ。独自で調査してたって設定にしてラスト前で復活したけどさ。ちょっと不安。オールバックでティーカップ片手に推理するあの人のドラマのように、バディは変わらないままでシリーズ化されたらいいな。
期待してます。
あ、主題歌は米津玄師「感電」。
これまたいい曲なんだ。
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