「上半身の時代」が始まる


──庵原さんは何か工夫しているんですか?

庵原 部屋の照明では顔が暗くなってしまうので、ライトスタンドを買ってモニターの方から光を当てています。色調も、昼と夜では変えています。また、Zoomをするときはリビングから植木鉢を持ってきてさりげなく映るようにしていますし、背景を作るためにスノボをベッドの上に載せています(笑)。

私は「上半身の時代がくる」と言っていますが、オンラインのコミュニケーションが主流になると、上半身と背景しか映りません。上半身映え、つまり画面の中の上半身と背景にこだわらないと、いいファーストインプレッションを与えることができないということです。一人ひとりがYouTuberになる感覚です。

──リアルコミュニケーション中心の時代には戻らない?

庵原 ある程度は戻るかもしれませんが、今回のコロナウイルスによって人類の考え方は変わったと思います。これまでライブやパーティは楽しいことでしたが、人類は密集した場所が最大のリスクだと知ってしまった。なくなるとは思いませんが、避けようとする人は増えると思います。

僕も、今のリモートワークの状況を完全に元へ戻そうとは思いません。ヤプリは昨年、オフィスにかなりの金額を投資しました。当社オフィスが令和版「東京ラブストーリー」(注:FOD、Amazon Prime Videoで配信)のロケ地に起用されたのも、社員が働きやすい、優れたオフィスだと評価されたからだと思います。かなり背伸びをした投資でしたが、採用や社員のエンゲージメントなど、あらゆる指標が大きく改善しました。



ただ、2020年になってオフィスが最大のリスクになってしまいました。賃料などのコストを考えると非常に手痛い状況ですが、コロナ問題が収束したからといって、リモートワークを完全にやめようとは思いません。繰り返しますが、人類は最大のリスクを知ってしまった。リスクを冒して、満員電車に揺られてオフィスに行こうとは思わないでしょう。そのような会社に優秀な人材は来なくなるでしょう。もう元の世界に完全には戻りません。ならば、次の時代に適応すべきです。