猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

まともな日本人なら急激な日韓関係悪化を憂えて言え

2019-08-26 23:38:56 | 日韓関係


今年の7月から急激に日韓関係が悪化した。

安倍晋三は、6月28日29日のG20サミットで、来日したムン・ジェイン大統領と首脳会談をもたなかった。理由は、元徴用工問題の具体的解決策を韓国政府が用意しなかったからとしている。

そのすぐあとの7月1日に、日本政府は韓国への半導体製造などに使われる化学製品3品目の輸出管理強化を発表した。8月1日には輸出許可手続きが免除される対象国(ホワイト国)からも韓国を外すと発表した。

この間、日本政府関係者は必死でこれが元徴用工問題への対抗措置ではないとしてきたが、ところが、安倍晋三は8月6日の広島市での会見で次のように言った。

「現在の日韓関係の最大の問題は、国家間の約束を守るのかどうか、という信頼の問題だ。日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基礎となった国際条約を破っている。」
「約束を守らない限り、ムン・ジェイン大統領と会談しない。」

7月以降の日本メディアは、日韓問題のこじれは、韓国のムン・ジェイン大統領が一方的に悪いという報道をしている。とくに、民放がひどい。NHKはまだ慎重な報道をしている。

私は、昭和のはじめのメディアの転向を思い浮かべる。満州事変あたりで新聞の論調が急激に変わった。軍部を礼賛し、戦争を煽るようになった。

いまこそ、まともな日本人は、ジャーナリストや野党は、この日韓関係のこじれを解きほぐさないといけない。共産党や山本太郎(れいわ新選組)はまともな対応をしているが、立憲民主党は対応を避けている。

「約束(=1965年の日韓請求権協定)を守らない限り、ムン・ジェイン大統領と会談しない」という態度を安倍晋三がつづけている限り、日韓関係は悪化しつづけてしまう。

なぜなら、問題は1965年の政府間の協定を守るか否かではなく、韓国の慰安婦支援グループが日本大使館前に設置した慰安婦像を韓国政府が力で撤去するか否か、韓国の最高裁が日本企業に元徴用工に賠償金の支払いを命令したことを韓国政府が超法規的に覆すことができるか否かである。

日本政府や日本の最高裁は、これまでアメリカ政府から何か言われると、超法規的措置をして、アメリカの言うことを聞いてきた。

安倍晋三は、これと同じ対応を韓国政府に求めている。

ムン・ジェイン政権はこれまで日本に好意的であったが、このような韓国を見くだしたゴリ押しは受け入れられない。

これまで、在日の韓国系コメンテーターは、日本の保守層に合わせて、日本政府の立場に立った意見を述べてきた。

しかし、今回は、あまりにも、日本メディアがひどいので、彼らは危機感をもって本当のことを言うようになっている。

例えば、テレビでの保守派の金慶珠(キム・キョンジュ)や辺真一(ピョン・ジンイル)がそうである。彼らは身の危険を冒して、日本人に警告しているのである。まともな日本人なら、彼らに耳を傾けるべきだろう。

キム・キョンジュは7月31日、8月23日、8月26日、TBSのゴゴスマに参加し、韓国の立場への理解を訴えているが、ところが、これに対するツイッターの反応がひどい。単なるヘイト発言である。たとえば、次である。

 《金慶珠「温かい #ゴゴスマ なんじゃないの?凄いアウェイ感なんだけど。」 増田「ここ、日本ですから」。 金慶珠、反日過ぎて何で日本に住んでるのかめっちゃ謎なんだけど。 嫌韓な日本を私が変える!!とでも思ってんの?? 帰化してないんだし 韓国帰れよ

 《スゲーな。 金慶珠が大声でヒステリックに韓国の主張をまくしたて、他のコメンテーターが冷静に正論を言う構図。 このオバサン、日本に住んで何やっているんだ?(笑)

 《金慶珠氏「報復の連鎖はどこかで止めなければならない」 #ゴゴスマ #TBS #CBC 殴りかかって大騒ぎして、追い詰められて問いつめられて、なにいってんだ。もう、許さないよ。》

 《日韓関係悪化について、まだ 「お互いに…」 いやいや 慰安婦問題はねつ造だし 徴用工問題は日韓請求権協定て決着済み ホワイト国は、韓国の不正輸出が原因。 そういえば、金慶珠さんに聞きたい。 「竹島は日本の領土ですか?」》

あなたは、ひどいと思わないのか。

悪いのは安倍晋三であって、ムン・ジェインではない、GSOMIA

2019-08-23 23:09:04 | 日韓関係


このところ、日韓問題のこじれは、韓国のムン・ジェイン大統領が悪いという本末転倒の論調一色に、日本のメディアは流されている。
きょう、びっくりしたことに、GSOMIAに関して、テレビ朝日の『大下容子ワイド!スクランブル』で、ムン・ジェイン政権が軍事クーデターで倒れれば良いという発言まで飛び出した。

メディアは、もともと、このこじれは、安倍晋三に原因があることを忘れている。
また、韓国の抱える本当の問題にも気づいていていない。

韓国人の抱える本当の問題は、いまだに、北朝鮮との戦争が終わっていないことである。1953年7月23日に休戦協定を結んだだけで、もう66年たつのに、両国は平和条約締結にいたっていない。私は、外資系にいたので、韓国人と話す機会が結構あったが、韓国人の最大の関心事は、戦争を終わらすことである。

韓国人にとってのもう1つの問題は、現在の自由と民主主義を軍のクーデターから守ることである。韓国と北朝鮮との戦争は、アメリカと中国との代理戦争であった。すなわち、アメリカにとって、韓国軍人こそ真の味方なのだ。当然、軍人が大事にされる。1961年5月21日のクーデターで軍事独裁が韓国で始まった。軍人以外が初めて大統領になったのは1992年である。

安倍晋三が、韓国が賠償請求権を放棄したと言うのは、1965年の日韓基本条約のことである。韓国は、戦後、日本と平和条約を結んでいなかった。1965年まで、日本と韓国の戦争状態が続いていたのである。アメリカは、韓国の経済を復興させ、韓国の政治を安定化させるため、韓国と日本の両方に条約を結ぶよう圧力をかけた。

この日韓基本条約を結んだ日本の首相が安倍の大叔父の佐藤栄作で、韓国大統領が朴正煕である。

日韓基本条約は日本側優位のまま結ばれた条約であるから、韓国人の一部にとって不満が残るのはやむをえない。しかし、1992年に文民政府になってからも、ムン・ジェイン政権を含め、日韓基本条約そのものを今のところを否定していない。起きていることは、あくまで、民間レベルの運動であったり、日本の企業への訴訟であったりであって、政府レベルの争いにしなかった。

なぜ政府間の争いに韓国が持ち込まなかったのか。それは、韓国は、自由と民主化に、日本の恩を感じていたからである。韓国民主化の闘士、金大中は1973年に滞在中の日本で韓国中央情報部に拉致され、韓国に送還された。このとき、日本政府が、金大中が殺害されないよう、海上保安庁を動員して、守ったからである。金大中は1998年に韓国の大統領になる。ムン・ジェインは金大中の部下である。

韓国の文民政府にとっては、軍人独裁より、自由と民主主義の日本政府のほうが好きなのである。ムン・ジェイン政権で、日韓関係は良くなるはずだったのである。最大の関心事は、北朝鮮と韓国の戦争を終結し、平和条約を結ぶことであったのだ。

それなのに、安倍政権は、慰安婦像がけしからんと言ったり、元徴用工問題の韓国での判決を撤回せよといったり、韓国への内政干渉を行っている。韓国政府を日本政府の言いなりになるものだと安倍晋三は考えている。

安倍晋三は、不平等な1965年日韓基本条約に触れないで済ましてきた韓国政府の立場をぶち壊している。

慰安婦像を日本大使館の前に建てても別に実害はない。元徴用工問題は裁判の中で争うことで、韓国の最高裁で判決がでたのだから、日本企業は賠償金を払えば良い。

日本政府がこのことで韓国政府に命令できる権利はない。不満を言うだけでいいのだ。

ところが、安倍晋三は、この7月、世耕経産相に輸出規制という経済制裁をさせた。安倍晋三は、米国との外交、ロシアとの外交など、失敗続きである。外交の失敗から国民の目をそらすために、安倍は韓国叩きに走っているだけだ。

メディアは安倍晋三をきちんと叩かないといけない。安倍は、これまでの、韓国と日本との良好な関係を壊している。

着地点のない日韓経済戦争、安倍晋三の国際政治音痴

2019-08-07 23:44:58 | 日韓関係


安倍晋三首相は8月6日、広島市での記者会見で、役人や元役人にとって言って欲しくない本当のことを言ってしまった。

安倍は元徴用工問題を念頭に「現在の日韓関係の最大の問題は、国家間の約束を守るのかどうか、という信頼の問題だ。日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基礎となった国際条約を破っている」と韓国政府を批判し、「約束を守らない限り、ムン・ジェイン大統領と会談しない」と言った。

「国家間の約束」とは、1965年の日韓請求権協定のことをいっている。この協定は、韓国政府が、韓国併合時に起きたことに対する日本政府への損害賠償請求権を放棄するという協定である。

韓国を植民地化していた日本が敗戦し、独立した韓国と敗戦した日本が国交を開くのであるから、韓国が損害賠償権を放棄する必要はなかった。

それなのに、このような協定を結んだ理由は、1965年の韓国の経済も政治も悲惨な状況であったからだ。韓国の安定化を望んだアメリカは、軍事政権下の韓国政府と、安倍晋三の叔父佐藤栄作を首相とする日本政府の間に急いで、国交を正常化するよう圧力をかけた。当時の韓国と日本の力の差を反映した協定となった。

この辺の裏事情は安江伸夫の『今さら聞けない「日韓関係」…対立の構造と背景にある歴史』(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63796)に詳しい。

日本の役人も韓国の役人も恐れるのは、この不平等条約そのものの正当性が韓国民の間で議論されることである。韓国では、当時の外交文書が公開されているから、知っている人は知っているわけだ。

したがって、政府間の請求権は放棄されたが、民間同士の請求は裁判で決着つけるのが望ましいと、役人は考える。

裁判に負けた企業が元徴用工に賠償金を払えば、協定そのものが問題とされない。

しかし、安倍晋三は、大叔父の佐藤栄作のやったことはすべて正しいという、身内ヨイショの男である。安倍は、ムン・ジェイン大統領を困らすために、役人に求め、経済戦争を始めてしまった。

安倍晋三は、この落とし前を、どうつけるつもりなのか。外交音痴の暴走は両国民を苦しめるだけだ。しかも、アメリカは、1965年のような調停の力がない。トランプ大統領は、日本と韓国に貢物の額を競わせるだけで、より、国際政治を混迷させるだけだ。

日韓関係のこじれを安倍政権が拡大しないでほしい

2019-08-05 20:20:09 | 日韓関係


最近、テレビは、ナショナリズムの暴走に、腰が引けているのではないか。日韓関係の悪化を憂いなければいけないのに、ムン・ジェイン大統領の悪口を言って憂さを晴らしているように見える。TBSの『ひるおび』がとくにおかしい。「国に誇りをもとう」の安倍晋三が暴走して、政府間の争いに、両国民を巻き込むという、とんでもないことをしでかしているのに、コメンテーターの誰もがそれを止めようとしない。

問題の本質を考えてもらうために、今年の2月22日に他で書いた小論を、ここで、もう一度載せる。
 - - - - - - - - - - - - - - - -

昨晩、BS1スペシャル『中国「改革開放」を支えた日本人』(再放送)に思わず引き込まれ、遅くまで見てしまった。

中国の経済改革開放を支えた一人が、新日鉄会長の稲山嘉寛であったという。彼は、中国に恩義を感じているとも言っていたが、尽力した他の日本人と同じく、戦前、日本が侵略した中国の人々に申し訳ない気持ちがあり、それゆえ、当時の難しい日中関係のなかで、最新の製鉄所を上海の宝山に建設するのに尽くした。無償で技術を提供したという。

その新日鉄(現在は新日鉄住金)が元徴用工問題で韓国の裁判所に訴えられ、最高裁まで争い、今年の1月30日に新日鉄は負けた。ひとりあたり、およそ1000万円の支払いが命じられた。

よくわからないのは、新日鉄は、裁判で何を争い、そして、判決が出たのに、どうして従わないのかである。

思うに、稲山が生きていたなら、進んで賠償金を支払ったのではないのか。安倍晋三が総理大臣でなければ、不満があろうとも、新日鉄は、韓国の最高裁の判決に従ったのではないだろうか。すくなくとも、韓国のムン・ジェイン大統領の悪口を日本政府関係者が公の場で言わなかったのではないか。それは、日本の公人が韓国の民主主義をバカにすることだ。

日本での報道にもとづくかぎり、新日鉄側は、事実問題や損害賠償額で争っていない。戦前の新日鉄は、韓国からの徴用工に、労働の正当な対価を支払ったのか、強制労働はなかったのか、休憩時間を適切に与えていたのか、が事実問題である。そして、それに呼応して、損害賠償額が大きすぎるのか、いくらならば適切なのか、を争うのが本筋だと思われる。

ところが、報道では、新日鉄が、1965年の国交正常化の際に締結された日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」という立場で、裁判を争ったとのことである。

訴えられているのは徴用工を雇った日本の私企業で、訴えているのは雇われた徴用工である。政府間の問題ではない。常識的に考えて、法廷戦略が根本的におかしかったのではないか。

しかも、日本政府関係者から現在のムン・ジェイン大統領への非難が出てくるとは、前大統領パク・クネと安倍晋三首相の間に密約があったのではないか、と疑いたくなる。パク・クネは、軍事クーデターで大統領になった独裁者パク・チョンヒの娘である。1965年の日韓請求権協定を結んだのは、パク・チョンヒである。日本政府関係者は、韓国の司法制度をバカにしていたのであろう。

昨日、元銀行家と食事をともにして話しをした。判決の損害賠償額は、新日鉄にとって、払えない額ではない、とのことである。新日鉄は、安倍晋三にまとわりつく極右に気兼ねせず、払って終わりにしてよいのではないか。

国際政治学者の藤原帰一は、2日前の朝日新聞夕刊の「時事小言」のなかで、厳しさをます日韓関係に憂いて、次のように書く。

「歴史問題では謝罪の有無が繰り返し議論されてきた。日本政府が謝罪を行ったと私は考えるが、何が起こったのかを知らなくても謝罪はできる。謝る前に必要なのは、何が起こったのかを知ることだ。」

藤原帰一は本質を押さえている。私の親の世代は、中国、韓国に後ろめたさを感じたり、あるいは、謝罪を口にしたり、するが、大日本帝国政府が近隣諸国に具体的に何をしたのか、話さない。私の親の世代が口にするもおぞましいことを、大日本帝国政府がしたのは、聞かなくても、私の世代には肌で伝わる。ところが、私の世代の次の世代になると、言葉にされていない事柄は伝わらないのだ。

自虐史観とか馬鹿げたことを言う奴がいるが、いかに、口にしたくない残虐行為だろうが、事実は事実で、伝えないと、安倍晋三にまとわりつく極右の連中のように、慎重さを欠く行動をしてしまう者が出てくる。

自衛隊の哨戒機が韓国軍にレーダー照射されたということも、哨戒機がわざわざ韓国護衛艦に近づいて、挑発したからではないか。そうでなければ、ことをメディに公開して、騒ぎを大きくすることを防衛庁がしなかったはずである。微妙な日韓関係を考え、秘密裏に、事務レベルで再発防止策を話し合えば良かっただけである。騒ぎたい奴が防衛庁にいたのである。

4年前の3月に外務省北東アジア課が出した「日韓関係の基本的考え方」には、次のように書かれていた。

「良好な日韓関係は、アジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠。時に困難な問題が起きるとしても、大局的な観点から、政治・経済・文化の各分野で、重層的で未来志向の協力を進めることが重要。」

その通りである。今も同じである。

3日前のNHKの時事公論で、出石直NHK解説員が次のことを指摘する。

「去年、日本を訪れた韓国人は750万人を越えました。韓国を訪れた日本人と合わせると年間1000万人以上が往来していることになります。」

民間レベルでは、韓国と日本との距離が縮まっているのだ。彼はまた、次の事実を指摘する。

「(韓国は)かつては日本に大きく引き離されていた経済力や国際社会での発言力も身につけて『日本何するものぞ』という意識が芽生えてきているのかも知れません。」

実際、昨年、韓国のGDPは世界第11位になっている。また、韓国の貿易相手国に大きな変化が起きている。2000年は、韓国の貿易額の20%が米国、16%が日本、9%が中国であった。ところが、昨年は、24%が中国、12%が米国、7%が日本となっている。さらに、前国連事務総長は、韓国籍のパン・ギムンである。日本人が国連事務総長になったことはない。

ドル建で日本のGDPをみると、安倍政権時になって減少している。すなわち、安倍政権になってから、日本の国際的な地位は劣化一方で、トランプのご機嫌をうかがうように、安倍晋三は、トランプをノーベル平和賞に推薦している。

国力が他国に追いつかれるのは仕方がないが、日本は他国に尊敬される国であってほしい。着地点を見据えない国際紛争をわざわざ起こさないでほしい。

日韓問題はすべて安倍晋三のナショナリズムが悪い

2019-08-04 20:48:20 | 日韓関係


ナショナリズムは、人間から考えることを奪うから、私は嫌いである。

人間は自分に誇りをもつべきである。自分に誇りをもてず、帰属先に誇りをもつとは、異常なことである。帰属先が出身大学であれば、学閥主義になる。帰属先が人種であれば、レイシストになる。帰属先に誇りをもつことは、レッテルで人間を評価し、差別主義者になり、権力者に容易に操作される人間になる。

私は、2001年9月11日ワールドトレードセンター襲撃事件の直後に、ニューヨークの街頭に星条旗を振る若者が繰り出したことを忘れられない。移民の国であるアメリカが、偏狭なナショナリズムの熱狂に侵され、ジョージ・ブッシュが大統領に再選され、アフガニスタン侵攻、イラク侵攻で、中東に混乱を引き起こした。

私の愛すべき多様性の国アメリカが、ナショナリズムによって壊れたままで、アメリカ・ファーストのトランプの暴走を許している。

ナショナリズムがゆがんだ地球を生む。

私が生まれた国、日本は、憲法によってナショナリズムを封じ込めたはずだった。ところが、憲法には、いろいろな穴があって、ナショナリズムが復活している。天皇制を廃止すべきだった。岸信介を許すべきでなかった。義務とか責任は、自由を否定する概念で憲法で使うべき用語ではない。

道徳教育を小学校、中学校に導入し、父母への愛は郷土への愛と同じく、郷土への愛は国への愛だと教え始めた。監督のバンド命令に従わず、二塁打を打った子供を、約束に背いた悪い子だと教えている。愛とは対等な関係であるのに、一方的に尽くすことが求められている。

そして、日の丸を振らず、君が代を歌わない教師を解雇する社会になっている。

現在の日韓関係の混乱は、「国に誇りをもとう」と言う安倍晋三を総理大臣に選んだことによって、ひどくなった。安倍晋三の思想に韓国が反発したという意味ではない。安倍晋三が、強い日本を装うために、トランプ接待外交を隠すために、わざわざ、韓国をいじめているのだ。

彼の『新しい国へ――美しい国へ完全版』を読んでも、国のどこに誇りをもつのか、さっぱり、わからない。ただ、日の丸と君が代に涙することをたたえているにすぎない。情動に流されよ、と言っているのにすぎない。

4年前の戦後70年談話で安倍晋三が「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいたことも、忘れてはなりません」と言いながら、韓国政府に「慰安婦像」の撤去を求める。戦前の日本政府がおこなった誤りを日本政府が忘れないために、「慰安婦像」が日本大使館を見つめることは、必要なことだ。

元徴用工問題だって、戦争中の日本企業が、併合した韓国からの徴用工に、労働の正当な対価を支払ったのか、強制労働はなかったのか、休憩時間を適切に与えていたのか、などの事実と損害賠償額が、韓国の裁判所で争われたことである。

韓国の最高裁まで争って、昨年、日本企業が負けて、ひとりあたり、およそ1000万円の支払いが命じられた。だったら、日本企業は賠償金を払えば良いだけの問題である。

ところが、日本企業は、1965年の国交正常化の際に締結された日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決された」という立場で、裁判を争った。これは、個人と企業の問題を国家間の問題に格上げしたことで、「自由と民主儀」のもとに育った私としては、理解できない。大間違いである。

安倍政権が、日本企業の弁護方針に圧力をかけて、わざわざ、日本企業が裁判に負けるよう、画策したのではないか。

そして、トランプにバカにされ、プーチンにバカにされた安倍晋三は、7月1日に経済戦争を韓国に仕掛け、8月1日にその戦線を拡大した。韓国を「ホワイト国」から外すという暴挙に出た。

経済は国境を越えて、国民と国民を結びつけるものである。それなのに、「国を誇る」というおかしな考えに染まった安倍晋三は、経済という絆をみずから断ち切ろうとしている。世耕も麻生も河野もバカだ。公明党はなぜ反対しないのか。

日本人の多くも、ナショナリズムに脳が侵され、トランプ政権と闘えない弱虫の自分を、韓国国民をいじめることで鬱憤をはらしているのではないか、と思わざるを得ない。とても愚かしいことである。